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イギリスだより カレル・チャペック エッセイ選集2
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イギリスだより カレル・チャペック エッセイ選集2

カレル・チャペック(著者), 飯島周(訳者)

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イギリスだより カレル・チャペック エッセイ選集2

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 恒文社
発売年月日 1996/10/30
JAN 9784770408938

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2023/08/28

1921年戯曲「ロボット」によって、一躍国際的名声を得たチャペックは、1924年ロンドンで開かれた国際ペンクラブ大会に招待されることになった。同時に、大英博覧会その他の取材を兼ねて最初で最後の2ヶ月間イギリス横断の旅をすることになった。その記録である。 チェコから見れば、イギリ...

1921年戯曲「ロボット」によって、一躍国際的名声を得たチャペックは、1924年ロンドンで開かれた国際ペンクラブ大会に招待されることになった。同時に、大英博覧会その他の取材を兼ねて最初で最後の2ヶ月間イギリス横断の旅をすることになった。その記録である。 チェコから見れば、イギリスは大国で尚且つ大都会である。万巻の書物でよく知っていると思っていたものが、初めて目の前に展開する。それは凡ゆる田舎県の日本人が、初めて上京した時に非常によく似ている。しかし、チャペックである。彼から紡ぎ出される文章は我々の一歩二歩先を行き三歩四歩斜め上を行っていた。 「イギリスがほんとうにイギリス的なのは、驚くべき現象だった。」(15p)例えばチャペックは、市街地でどの家もまるで同じ家である事に強烈な印象を受ける「まるで複製をつくりたがる熱病にかかっている」という表現が秀逸。 私がチャペックに遅れること70年後に、初めて飛行機に乗ったのも、初めて外国に降り立ったのも、このイギリスだった。空港に近づくと、まるでオモチャの国のように、全て橙色の街灯に照らされた同じ家が並ぶ街が見えた。あのときの私に、ここから始まる世界的文豪のイギリス体験を読ませてやりたい。世界を批判的に見るということは、こういうことなのだ。 「初めて」出会う大渋滞に、彼は20年後の世界を想像する。「現在のところ、屋根の上を通るのか、地下を行くべきかはまだ決定されていない。ただ一つ確実なのは、地上はもうだめだということだ」。ところが、その地上で相変わらず大渋滞が起きている100年後の今をみたら彼はどう思うのだろう。 彼は大きな目的の一つである大英博覧会に赴く。チャペックにレポートを要求した編集者の見識とは如何なるものだったのだろうか?チェコ国民に英国観光熱が上がるような効果をもし期待していたのだとしたら、アホというべきだろう。 膨大な人間の数に驚くと共に巨大な商品の展示市場について書いたあと彼は機関車、船、ボイラー、ほか不思議な機械類を見る。 「これは金属時代の神話だ。現代文明が達成した、なみなみならぬ完全性は、機械的なものである。機械類は素晴らしく、完全無欠だ。しかし、それに仕える、またはそれらに奉仕される人生は、少しも素晴らしくなく、輝かしくもなく、機械より完全でもなければ、機械よりうるわしくもない。(69p)」チャップリンが「モダンタイムス」(1936)で描いたことを早くも指摘していた。 その後、巨大な貧困街のイーストエンドに行き、有名大学をめぐり、スコットランドの自然に癒される。自然スケッチの何という美しいことか! チャペックはイギリス文化が好きでたまらない。それが読んでいてもよくわかるのに、ついつい悪口を言ってしまう。遂には、英国民に向けたラジオ演説の中で「悪口」と言い切っている。チャペックはイギリス人の「島国根性」を批判しているが、是非とも日本にやってきて日本人の「島国根性」をも、批判してもらいたかった。

Posted by ブクログ

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