男を殺して逃げ切る方法 の商品レビュー

ケイティ・ブレント(著者),坂本あおい(訳者)

2025/02/09

目を引くオレンジに思わず二度見しちゃうタイトル、そして服にベッタリ血をつけて颯爽と歩く女性。
一目見て、｢あ、これ好きなやつ｣と直感！
怖いもの見たさ、強い女性が活躍する痛快ストーリーを期待して即買い。

こ、これは……！？
想像のはるか上を行く展開でした。
女性を食い物にする卑劣な男にバッサバッサと“正義の鉄槌”が下ります。
人気インスタグラマー・キティの飛ばしっぷりに、ちょっと感覚がおかしくなる。

読みながら感じたのは、
どこの国でも、女性であることに不自由さを感じたり、男性からの脅威に晒されているのは同じなんだなぁということ。

性被害は無くならない。それに関して警察は動いてくれない。ほぼ捕まらないし、そもそも刑罰軽すぎ。
何かもう色々と憤りを感じるし、物申したいことはいっぱいあります。

今、頷いたひと。
そういう人は、これ読んでスカッとして！！
ちょっと狂気を感じないでもないけど、女性が反撃する物語って痛快でサイコー！！
続編もあるようなので楽しみです。

2025/02/11

★5 キティに会いたい！ブラックユーモアたっぷりのラブコメ犯罪ミステリー #男を殺して逃げ切る方法

■あらすじ
キティ・コリンズは美人でお金持ちの29歳、インスタグラムのフォロワーは百万人以上。今日もリッチな友人たちと派手なパーティを楽しみ、イケメンでセクシーな恋人と情事を重ねる。誰もがうらやむ生活を送っている彼女だったが、実は重大な秘密があって…

■きっと読みたくなるレビュー
★5 大好きだわー！ ブラックユーモアたっぷりのラブコメ犯罪ミステリーです。

超ド派手な生活を送るインスタグラマーのキティ、ぜひ一度会ってお話したみたい！まぁ間違いなく全く相手にされず、蔑んだ目で見られそうだけどそれでもいいのよ、垣間見たいの。

そのくらいパワー溢れる主人公のキティ、自分の気分が赴くままの人生を送っていて羨ましい。さらに最終的に気に入らなければ、暴力に訴えることすら憚らないという異常性の持ち主。フィクションでしかありえない潔さが読んでて気持ちイイ！

またトア、メイジー、ヘンの友人たちも同じようにクレイジーなんですよ。お金、男、酒、ドラックがどんだけ好きなんだと、いつも言動が下品極まりないんすよね。いつか警察に捕まるぞお前ら。

そうそう、特筆したいのは男女の愛情を確かめ合うシーンなんです。女性からの視点で艶めかしく描かれていて、そこらへんの官能小説なんかより圧倒的にエロいんです、ヤバい、ほんとドキドキしちゃう。

さて本作、こんなハイスペック女子が実は殺人鬼という世にも恐ろしいストーリー。とはいっても犠牲になる男どもは、いわゆるサイテー野郎。これまで弱き女性を泣かせてきた奴らばかりなんです。これが不謹慎にも痛快なんですよね、もっとやっちゃえなんて思っちゃうのよ。

さらに物語の中盤になってくると、優しいお金持ちイケメンが登場ですよ。キラキラしたカップルで羨ましい限りなんですが、心の持ちようは案外普通の男と女の恋愛だったりもする。どんなに美人でお金持ちでも、幸せな時間を過ごしたいという欲望は、誰しも同じなんですよね。

そしてこのお話、どう着地するのかが気になってしょうがなくって読み進めちゃう。キティの犯罪行為はバレてしまうのか、ずっと付きまとっていたネットストーカーは退治できるのか、そして終盤に予想も知れない出来事が… これ以上は言えない。ただ最後の最後までパワフルで好きっ！ ぜひ自分の目でお楽しみください。

■ぜっさん推しポイント
女性を主役に描いている物語ではあるのですが、本作の背景には現代で騒がれているセクハラ、パラハラ、NOと言えない権力などの社会問題もしっかりと描いています。

ジェンダー差別はもちろん、世代や年齢、国や人種や宗教などの平等は確立していきたいですね。しかし必要以上に権利を振りかざすのも違っていて、行きすぎちゃうとキティのようになっちゃうのかも。

弱い立場の人こそ、強い立場の人が守ってあげれるようになれば、みんな幸せだと思うんですが、なぜこんな当たり前のことができないんでしょうかね。人間って愚か。