虚魚 の商品レビュー
横糸である怪談と、縦糸であるミステリが重なり上質な布を仕上げている。 と本書の選評で道尾秀介氏が語ったと記されていましたが言い得て妙であり、さらにはその布の上で主人公の2人が儚くも支え合い、物語を進む姿の果てに美しさを感じた。 主人公の怪談師であり、復讐の為に人を呪い殺せる怪...
横糸である怪談と、縦糸であるミステリが重なり上質な布を仕上げている。 と本書の選評で道尾秀介氏が語ったと記されていましたが言い得て妙であり、さらにはその布の上で主人公の2人が儚くも支え合い、物語を進む姿の果てに美しさを感じた。 主人公の怪談師であり、復讐の為に人を呪い殺せる怪談を探す美咲、人を殺せる怪談か祟りで死にたいと願う同居人であるカナちゃん。歪な信頼関係の2人の元に「釣ると死ぬ魚」の噂が舞い込み取材に乗り出すが‥ 怪談には被害者が存在し、その被害者にも家族や大切な人がいたはず。みだりに語ることはその人たちの心を踏みにじることになりかねないと、その恨みは怪異のごとく恐ろしいものを生み出すことになるのではないか。と本書を読んで感じました。
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※このレビューにはネタバレを含みます
いかにして怪談ができるかが語られていて、途中までは学術的なアプローチめいているが、理に落ちないのがホラー。(解説の小野不由美さんによると「怪談」。) 三咲も“カナちゃん”も昇も過去に縛られていて、怪談をよすがとしているようでもある。
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最近ホラーとミステリーが合わさったものがとっても面白く感じいて… というわけで しばらく積まれていた本のなかから一冊 思っていた話とは全く違っていたけど とっても面白く引きもまれた一冊 人が亡くなる怪談をひたすらに求め 本物かどうかを確認していく 三咲とカナちゃん 2人の...
最近ホラーとミステリーが合わさったものがとっても面白く感じいて… というわけで しばらく積まれていた本のなかから一冊 思っていた話とは全く違っていたけど とっても面白く引きもまれた一冊 人が亡くなる怪談をひたすらに求め 本物かどうかを確認していく 三咲とカナちゃん 2人の関係性と少しづつ明かされていく 後悔と罪悪感を背負った二人の過去 絡まり合った怪談を紐解き始めた先に明かされる事実 2人が過去の出来事をずっと引きずっていて 不思議な関係性だったのが 怪談を調べていく中で 少しづつ変わっていくのが興味深かった 怪談というちょいと私には怖さを感じるお話であっても なぜか人の気持ちを強く感じるお話で ゾクッとした感じを持つこともなく 怪談+ミステリ として面白く一気に読んだ 物語とは別に… なぜか松浦さんが出てくるとホッとするので意外と好きな人物かもしれないと思っている…… 怪談や幽霊物は好きだけど あまりに怖すぎるものは読めない…
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2021年第41回横溝正史ミステリ&ホラー大賞・ 大賞受賞作。 長野出身の会社員である新名智さんのデビュー作で、舞台も静岡県西部から長野へと続く天竜川流域に置かれている。 土地の記憶と水の流れが、物語と重なります。 私は探している、「人を殺せる」怪談を...
2021年第41回横溝正史ミステリ&ホラー大賞・ 大賞受賞作。 長野出身の会社員である新名智さんのデビュー作で、舞台も静岡県西部から長野へと続く天竜川流域に置かれている。 土地の記憶と水の流れが、物語と重なります。 私は探している、「人を殺せる」怪談を――。 怖いのに泣ける感動のミステリ、というKADOKAWAのキャッチコピー。 ですが、読後に残ったのは恐怖よりも、淡々とした“怪談の追跡記録”の印象だった。 怪異の連鎖というより、語り継がれる怪談の変化をたどる構成。 怪談を“恐怖の対象”としてではなく、“人から人へ語り継がれる現象”として捉え、語りそのものを物語としているかなあ。 と、思わせてラストにミステリーで落としてくるところが良いところです。 表紙が綺麗ですわ。
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最近ホラーやミステリーを手にとってないので新鮮で面白かったです。 あまりホラーは得意じゃないのですが、皆それぞれ隠し事をしながら何かに突き動かされてゆく様と、その関係性を描いた人間ドラマとして受け取りました。 人々の怪談への向き合い方とその弊害への、新しい視点を与えてくれる作品だ...
最近ホラーやミステリーを手にとってないので新鮮で面白かったです。 あまりホラーは得意じゃないのですが、皆それぞれ隠し事をしながら何かに突き動かされてゆく様と、その関係性を描いた人間ドラマとして受け取りました。 人々の怪談への向き合い方とその弊害への、新しい視点を与えてくれる作品だと思いました。
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解説にある通り、ミステリーと怪談のバランスや長編小説として成り立たせるための構造は素晴らしかったが、綺麗に整いすぎていて、あっと驚く展開や意外な結末などはなかった。 文章自体は読みやすかったのでイッキ読みしたが、個人的感想としては再読や作者読みは今のところ検討していない。
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怪談を求める理由が今までありそうで無かったので良かった。 ホラー作品と言うよりはミステリー要素もあるから読みやすいですね〜。 ただあまり怖くは無いし、作品紹介では怖いのに泣ける感動ミステリと書かれてたが私は全く感動しなかったので残念だった・・・
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ちょっと舐めていたというか、怪談とミステリーという食い合わせが難しい要素が絶妙に料理されていて驚いた。 怪談それ自体に謎を纏わせることはもちろん、怪談を追う人間の関係性にこそ闇が潜んでいるという構図が良く出来ている。間接的な情報の集積からゾクッとさせる文章の構成も上手い。 ク...
ちょっと舐めていたというか、怪談とミステリーという食い合わせが難しい要素が絶妙に料理されていて驚いた。 怪談それ自体に謎を纏わせることはもちろん、怪談を追う人間の関係性にこそ闇が潜んでいるという構図が良く出来ている。間接的な情報の集積からゾクッとさせる文章の構成も上手い。 クライマックスにはしっかりとホラー味があり、シスターフッドの胸熱な展開ありと、エンタメ強度も高くて素直に面白く読める良作。 あわよくば、怪談の源流についてさらにおどろおどろしく、ジメジメとしたものであったらと贅沢な注文をつけたくなってしまったが、寝苦しい夏の夜長に読むのがオススメの一冊。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
総括すると流行を押さえた良質なホラーだった。 あえてこう表現するが、エンタメ性と怪談への真摯な姿勢のバランス感覚が絶妙で読みやすかった。 今時だな〜と感じたのは、美咲とカナちゃんのシスターフッド的な関係性が物語の大きな柱になっているところ。 なんなら、人を殺せる怪談を探す女と自殺したい女って、ラノベみたいな導入だな、と思った。 ところが読み進めると、怪談の調査には過去の事件記事やネットニュース、ひいては現地にも足を運んでおり、しっかりフィールドワークを行っているガチっぷり。本作はモキュメンタリーではないが、調査の過程で浮かび上がってくる怪異の数々は物語のリアリティを高めていく。 怪異の源泉を探る、というパターンも鉄板ではあるが、解説を担当されている小野不由美女史の『残穢』前後にまた盛り上がったような記憶があり、今作はより現代的にアップデートされていると感じた。 怪談をエンタメとして楽しむことの不謹慎さと実害が怪異の撒き餌になっている構図にも考えさせられた。巻末の解説といい、筆者も筋金入りの怪談好きと見た。だからこそ、「人は納得する為に怪談を求める」という美咲の気付きにとても共感した。
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虚ろな魚と書いて『そらざかな』と読む。 そんな言葉長く生きたつもりの人生に於いて一度も見た事無いぞ、と思い手に取りました。 ある目的の為に人が死ぬ怪談を集めている怪談師の女性と素性は一切明かさないけど兎に角死にたい女の子、互いの人生に踏み込んだり踏み込まなかったりしているこの2人...
虚ろな魚と書いて『そらざかな』と読む。 そんな言葉長く生きたつもりの人生に於いて一度も見た事無いぞ、と思い手に取りました。 ある目的の為に人が死ぬ怪談を集めている怪談師の女性と素性は一切明かさないけど兎に角死にたい女の子、互いの人生に踏み込んだり踏み込まなかったりしているこの2人がある時『釣った人を殺す魚』という怪談と出会うところから始まるホラーサスペンスです(ホラー7割サスペンス3割な印象を受けました)。 他人と交流していく中で経験する気持ち悪さと居心地の悪さが上手く表現されているので人によっては最後まで読めなくなっちゃうかもと感じましたが、最後まで読んでいくと気持ちの良いくらいの怒涛の伏線回収があるのでオススメです。 謎は謎のまま終わりますが、怪異なんてものはちょっと分からないくらいが丁度良いのかなと思いました。人間が手に負えないのが怪異なのですから。 これから湿った空気の初夏がやって来ます。カラッと晴れる夏がやってくる前に是非読んで欲しいです。
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