命みじかし恋せよ乙女 の商品レビュー
読んだことは多分ない作家さんの新作が、図書館の新刊コーナーに飾ってあったので喜んでかりてきた。御歳92歳の作家の話づくりの瑞々しいこと!江戸川乱歩作品を下敷きにしていることはタイトルからわかるけれど、ちゃんと骨太のミステリィで、夢中で読み切りました。作者の近年の作品は話題になって...
読んだことは多分ない作家さんの新作が、図書館の新刊コーナーに飾ってあったので喜んでかりてきた。御歳92歳の作家の話づくりの瑞々しいこと!江戸川乱歩作品を下敷きにしていることはタイトルからわかるけれど、ちゃんと骨太のミステリィで、夢中で読み切りました。作者の近年の作品は話題になっていたので、そちらも読みたいなあ。ごちそうさま。
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大正時代、奇妙奇天烈な「むの字屋敷」で起こった事件を追え #命みじかし恋せよ乙女 #少年明智小五郎 ■あらすじ 大正時代、新聞記者の可能勝郎は富豪の屋敷に取材に来ていた。当主である余介が屋敷になかむら座を招いて「番町皿屋敷」を上演するためだ。 開演日まで関係者に取材を続けてい...
大正時代、奇妙奇天烈な「むの字屋敷」で起こった事件を追え #命みじかし恋せよ乙女 #少年明智小五郎 ■あらすじ 大正時代、新聞記者の可能勝郎は富豪の屋敷に取材に来ていた。当主である余介が屋敷になかむら座を招いて「番町皿屋敷」を上演するためだ。 開演日まで関係者に取材を続けていた勝郎だったが、ある酔った宵、女性の死体を見かけてしまう。しかしドタバタの中、いつの間にか死体が消失してしまって… ■きっと読みたくなるレビュー 大正ロマンにしっとり浸れる作品。若干の艶っぽさがスパイスになって、独特の雰囲気に包まれますね。まるでお芝居を観てるかのような場面の移り変わりや台詞のやり取りで、大御所先生ならでは風格を感じられます。 時代小説を読むと、いつもその時代の文化や風俗だったり、人々の生活や職業に魅かれてしまう。身に着けているもの、食べ物や飲み物、住まいや街並み、移動手段など、どんなことでも新鮮で幻想的なんすよね。 特に歌、劇、絵画みたいな芸術に関しては、大きく現代とも変わることなく、現代とも距離が近いって感じちゃうんですよ。タイトルにもある「ゴンドラの唄」は大正時代の流行歌。今、聞いても耽美主義の世界を漂えます。 また登場人物がいいんすよ。イチ推しは滴、カネ、静禰の三人組。ちょっと特殊な奴らなんですが、屈託のないセリフが可愛くて。いい大人たちも太刀打ちできない様子に、つい微笑んじゃうんですよね。 また本作は、奇天烈な館ものでもあります。「むの字屋敷」ってなんなの?って思ってましたが、なるほどこういうことですか… むむむむむ。奇妙さだけでなく、しっかりと謎解きや物語にも組み込まれているところはさすがですね。 謎解きミステリーとしては、様々な事件が起こる上、人間関係や背景も込み入っているため大混乱。幻想的で愛らしい世界観なのに、かなり後半まで事件が巻き起こるんですよね。 しかし終盤、まさしくあっと驚く人物による、目から鱗の解決編が気持ち良すぎるんです! いやー、この切り口をぶちこんでくるのかぁ~。思わずミステリーファンとしてはニヤけてしまいました。 終章も明るい日本を感じさせてくれるし、ファンに向けたサービスも嬉しいですね。御年93歳の辻真先先生は、文芸作品はもちろん、アニメ脚本など多くの文化的な功績を残されている大先生。携わったアニメの一覧なんか見ると、もう涙がでてしまいます。まだまだ元気に、これからの人生を楽しんで欲しいです。 ■ぜっさん推しポイント いつの時代もひた向きに生きる若者たちに胸を打たれますね。天真爛漫な笑顔の裏に秘められた様々な想いが、何ともやるせなくって切なくなります。 「ゴンドラの唄」の歌詞をみて思う。 これからもどんどん時代は変わっていきます。周囲の価値観など影響されず、自分の意思で、好きなこと、正しく善いと思うことに突き進んで欲しいです。
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