音のない理髪店 の商品レビュー
親の気持ち 子の気持ち 障害者の気持ち 人を思いやる気持ち すごく考えさせられる内容です。 感動しました❢
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本屋で見つけた時から気になっていたこちらの本。 つばめの心情の変化が細かく綴られていて、時間をかけてゆっくり読み進めた。 聾者について何の知識もない私にこの本はたくさんのことを教えてくれた。 たくさんの言葉に心を揺さぶられた˘ ᴗ ̫ ᴗ ˘ とても良い読後感、出会えて良...
本屋で見つけた時から気になっていたこちらの本。 つばめの心情の変化が細かく綴られていて、時間をかけてゆっくり読み進めた。 聾者について何の知識もない私にこの本はたくさんのことを教えてくれた。 たくさんの言葉に心を揺さぶられた˘ ᴗ ̫ ᴗ ˘ とても良い読後感、出会えて良かったこの本に。
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良かった。 ⭐️五つでは評価できないくらいに感動した小説だった。 徳島で初めて聾者で理容店を営んだ五森正一とその妻喜光子。 その孫の小説家つばめが祖父と祖母の歩んだ道を辿っていくのだが…。 謂れなき差別に晒されて理髪店を始めた正一の信念と、障害を持つが故に貶められた喜光子の苦...
良かった。 ⭐️五つでは評価できないくらいに感動した小説だった。 徳島で初めて聾者で理容店を営んだ五森正一とその妻喜光子。 その孫の小説家つばめが祖父と祖母の歩んだ道を辿っていくのだが…。 謂れなき差別に晒されて理髪店を始めた正一の信念と、障害を持つが故に貶められた喜光子の苦悩を、戦前の昭和という時代の責任だけでなく現代にも訴えてくる力があった。 あまりに理不尽な祖父母に感情移入しないではいられないが、後半で明かされる事実に悲しいながらも安堵する展開は秀逸である。 この小説が読者に新たな知識や知見をもたらすだけでなく、大きく心を揺さぶる暖かさに溢れている事に心地良い読後感があった。
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Amazonの紹介より 「私の祖父は“日本で最初の、ろう理容師”です」 作家デビュー後、前に進めなかった五森つばめが祖父の半生を描くことを決意する。 ──時を超えて思いがつながっていく、実話に基づく物語 大正時代に生まれ、幼少時にろう者になった五森正一は、日本で最初に創設された聾...
Amazonの紹介より 「私の祖父は“日本で最初の、ろう理容師”です」 作家デビュー後、前に進めなかった五森つばめが祖父の半生を描くことを決意する。 ──時を超えて思いがつながっていく、実話に基づく物語 大正時代に生まれ、幼少時にろう者になった五森正一は、日本で最初に創設された聾学校理髪科に希望を見出し、修学に励んだ。当時としては前例のない、障害者としての自立を目指して。やがて17歳で聾学校を卒業し、いくつもの困難を乗り越えて、徳島市近郊でついに自分の理髪店を開業するに至る。日中戦争がはじまった翌年のことだった。──そして現代。3年前に作家デビューした孫の五森つばめは、祖父・正一の半生を描く決意をする。ろうの祖父母と、コーダ(ろうの親を持つ子ども)の父と伯母、そしてコーダの娘である自分。3代にわたる想いをつなぐための取材がはじまった……。 作者の祖父も、徳島でろう理容師をされていたということで、より主人公・つばめの思いが丁寧で、感情が豊かに表現されていた印象がありました。 「ろう理容師」ということで、「聴こえない」「喋れない」といった表現をどのようにしていったのか?そもそも経営できるのか?といったことが、正直読み始めの時は思いました。 いったいどのようにして、今迄の人生を歩んできたのか? 単なる理容師の成功物語ではなく、そこに至るまでの弊害や苦悩、そして周囲に影響を与えたことで生まれる「聾」に対する理解や苦悩が丁寧に描かれていて、感動しました。 今迄知らなかった世界に、恥ずかしさともっといろんな方に知ってもらいたいなと思いました。 物語の構成として、ちょっと変わっていました。 普通ならば、全編、祖父の正一視点で成功を治めていく展開で主流かなと思うのですが、この作品では、正一の孫・つばめが主人公です。つばめが、祖父の半生を書こうと、色んな人を取材していき、ピースを埋めるかのように正一の人生が見えてきます。 時折、取材された側の人が主人公となって、正一を語っていきます。正一自身の視点は残念ながらないのですが、それを埋めるだけの情報はあるかと思います。 あくまでも、これはつばめの物語でもあり、正一と向き合うことで、今迄嫌悪していた祖父母との蟠りや「聾」を知ることで垣間見る反省や苦悩、決意が描かれていました。 正一の思いだけでなく、コーダ(ろうの親を持つ子供)の思いも印象深かったです。 物語の中では、つばめの父親と父親の姉が該当するのですが、親が「聾」ということで、その苦悩はとてつもなく苦労されているなと思いました。 自分は言える、聴こえるのに、親は何も言えない、聴こえないということで、手話といったコミュニケーションで、周囲と繋がなければなりません。 周囲からは、偏見の目があったりと、その苦労は耐え難いものがあります。それでも親であり、支えなくてはいけません。父と父の姉では、立場が異なっていて、父は父で反抗期の姿も描かれています。 姉は姉で、孤独という文字がちらついていて、あまり知ることのなかったコーダとしての苦労に、胸が痛かったです。 つばめ自身も、幼少の頃、祖父母の所へ行くのが嫌だったということで、取材を通して、心の変化が見られます。 その他にも、様々な人を取材していくのですが、特に青馬という登場人物には驚きがありました。 隠された秘密が、つばめを含む家族に大きく影響を与えるのですが、時代ならではの波の影響からか、なんとも心苦しかったですが、最後は感動があって、良かったです。 次第にわかってくる正一の半生。「聾」を通じて、みんなが知ってほしいし、知らなくてはいけないなと思いました。 今回の作品を通じて、伝えることの素晴らしさ、人と人とを繋ぐことの大事さを噛みしめた作品でした。
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言葉でしか伝えられないことがある。でも言葉では伝えられないものもある。これは、どうやっったって言葉という形にはならないものをあえて言葉で伝えようともがく一人の女性の物語だ。 耳が聴こえない世界。音のない世界。そのなかで生きている人たち。彼らが使う手話という言葉。テレビであるいは街中で見かける手話での会話。音のない会話であるはずなのに、それがとても賑やかだと感じたことはないだろうか。彼らはその手の動きだけではなく、表情や身体全部から言葉を発している。そこにあるのは「伝えたい」という気持ちそのもの。手話自体は割と身近なものかもしれない。けれどその「手話」が世界共通ではない、もっと言えば日本国内でも共通の言語ではないことは意外と知られていない。地域によって、年代によって微妙に違いがある。そして耳の聴こえない人が通う学校で必ずしもその手話を習うわけではなかったということもあまり知られてはいない。その理由をこの小説で知って、日本という国での「障害者」に対する姿勢を目の当たりにして、自分のその認識の浅さに震える思いがした。健常者と障害者。それはくっきりと分かれている世界なのか。 視覚障害は人と物の間を隔てる障害で、聴覚障害は人と人を隔てる障害だという。生まれたときから聞こえない人と、途中で聞こえなくなった人、そして聞こえる人。その間にある溝を越えることはできるのだろうか。そもそもその溝とはいったいなんなんだろうか。 コーダ(チルドレンオブデフアダルト)の父を持つ作家五森つばめが、日本ではじめてのろう理容師の1人である祖父のことを小説に書こうと奮闘する姿。それは自分自身を、自分の存在自体をバラバラに解体し、そして一から組み立てる作業でもあった。 耳の聴こえない祖父母を持つ私。もし歯車が1つずれていたら存在しなかったかもしれない私。それを小説に描こうとする私。自分の心の奥深くまでもぐりこんで自分を見つめる作業は、とてつもなく苦しい。見たくないものを見る、知りたくないことを知る。そういう作業の上に、「私たちのことを知って欲しい、誰かに伝えて欲しい」という人たちの声を積み重ねていく。 つばめの祖父について語る人たちの物語の中に心を打たれるエピソードがたくさんある。そのひとつひとつを丁寧に受け取って欲しい。現実から目をそらさずに。 今を生きる私たちは、言葉にできない思いの、その向こう側から未来を照らす光を背に、歩いていかなければいけないのだから。
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SNSで見かけ、気になっていました。 ろう者が昔、色々苦労した様子がリアリティーをもって伝わってきます。なかなか面白い構成で、ふと、昔読んだ、『永遠のゼロ』的な展開を思い出しました。手話に全く触れていない方でも楽しめるし、むしろそういう方に手に取っていただきたい。 ・・主人公の書...
SNSで見かけ、気になっていました。 ろう者が昔、色々苦労した様子がリアリティーをもって伝わってきます。なかなか面白い構成で、ふと、昔読んだ、『永遠のゼロ』的な展開を思い出しました。手話に全く触れていない方でも楽しめるし、むしろそういう方に手に取っていただきたい。 ・・主人公の書いた小説を読んでみたいな。
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※このレビューにはネタバレを含みます
若手女性作家が、小説を書くために、自身の祖父とその家族の歴史を紐解き、取材を重ねていく過程を追ったお話。 印象的なのは、主人公のつばめが「これは私が書いて良いものなのか」と度々悩むところ。 「小説とは、身を削って書くものである」というのは耳にしたことがあるが、つばめの心境の移り変わりを読むにつけ、とんでもない覚悟がいることなのだと感じた。 特に今回の題材は、自分の家族の歴史を公にすることに繋がる。また、慎重に書かなければ、聾者本人やその家族、関係者たちの気持ちを傷つける可能性もある。 それでも「私が書くべきことがある」と覚悟を持って執筆にあたったつばめの信念が、「後世につなぐべきことがある」という覚悟を持っていた祖父の気持ちと通じ合った瞬間、鳥肌がたった。 たった一人の聾者の理髪師が、逆境の中でも真面目に取り組んできたことが、何世代にも渡ってつながっていく。 短い人生の中でも、残せるものはある。 そして、それはたった一人で成し遂げられることではなく、周りの人の色んなサポートのもと、つなげられるものだということ。 自分が今やっていることの意味を見失ってしまった時に読み返したい、勇気をもらえるお話だった。
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著者自身の聾者祖父の事に近づく物語として書いたとあり。この物語とリンクするんだなぁと思いました。あと聾者を扱ったコーダの作品として丸山茂樹さんの大好きなデフボイスシリーズを思い浮かべました。聾者が初めて理髪店を営むには想像を絶する苦労があった事をしみじみ感じました。つばめと青馬の...
著者自身の聾者祖父の事に近づく物語として書いたとあり。この物語とリンクするんだなぁと思いました。あと聾者を扱ったコーダの作品として丸山茂樹さんの大好きなデフボイスシリーズを思い浮かべました。聾者が初めて理髪店を営むには想像を絶する苦労があった事をしみじみ感じました。つばめと青馬の関係性にも心うたれました。あなたも読んで感動の嵐を感じて下さい。
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