はじめてのクリスマス の商品レビュー
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
シドニー・スミスと言えば水辺の風景ですが、今作の舞台はサンタクロースの家。氷と雪の世界です。でも全編通して温かく、じんわりぬくもるような絵本です。 誰しもにとって特別なクリスマスという季節ですが、実はサンタはクリスマスを全然特別な日として過ごしていないと知ったホッキョクグマと小人たちは、サンタのためにクリスマスらしいことをしようと奮闘します。 クリスマスイブには世界中のこどもたちにおもちゃを配達し、その翌日のクリスマスにはさっそく来年のクリスマスのおもちゃづくりを再開している働き者のサンタが、みんなのやさしい気持ちをゆったり受け取って、思いやりが連鎖していく様子に、欧米での「クリスマス」というシーズンの精神性のようなものを感じます。クリスマスというのはプレゼントやサンタクロースという象徴やアイコンではなくて、この思いやりの心の応酬が本質なんだなということが「はじめてのクリスマス」というタイトルとラストに現れていて、絵本を閉じた後もゆったりとした余韻が感じられる幸せな一冊です。 家の周りをライトアップするシーン、夜闇にうかびあがる灯りが本当にうつくしい。
Posted by
- 1