男子禁制ゲーム世界で俺がやるべき唯一のこと(6) の商品レビュー
この巻は丸々ぎっしりと三寮戦を詰め込んでいる事も有り、かなり迫力ある内容となっているね 各寮の力関係を比べる一大イベントだからこそ寮長であるミュールの真価が問われている 前巻の中盤頃までは実力どころか人望すら無く、また家の支援すら望めないとなれば彼女に期待する者なんて皆無の筈...
この巻は丸々ぎっしりと三寮戦を詰め込んでいる事も有り、かなり迫力ある内容となっているね 各寮の力関係を比べる一大イベントだからこそ寮長であるミュールの真価が問われている 前巻の中盤頃までは実力どころか人望すら無く、また家の支援すら望めないとなれば彼女に期待する者なんて皆無の筈。けれど燈色やクリスが彼女の頑張りを肯定し後押しする事で少しずつ変わっていく様子には感極まるものを覚えたり この巻でもその傾向は継続。序盤は尊大な態度に終止して笑われていた彼女が畳に額を擦り付けてお願いし、寮生達がその姿に心震わせて戦意を高めるなんて、あの頃には考えられない光景 ミュールはそれだけ大きくなった ただ、その程度で覆すなんて難しいのが三寮の実力差 だから燈色もクリスも全力以上の実力を行使しなければならない。特にレールガンに対する燈色とクリスそれぞれの超カウンターには興奮させられたよ それだけに燈色の無理に限界があると告げられたのはどこか予想できた話では有ったけど 以前から限界があると通告されてきた燈色の払暁叙事の限界の意味合いが全く異なるものであったというのは驚かされたし、それを知っても燈色が行動方針を変えなかった点には納得と衝撃が有ったよ… 誰かの為なら簡単に自分を捨てられる燈色が、あと少しでミュールの願いが叶うという段で自分を甘やかす筈がないんだよね… そのような燈色に推されているからミュールもきっと諦めずに居られるんだろうね 燈色やクリス、そしてミュールによる奮闘は認められつつも劣勢も認めざるを得ない重苦しい状況だっただけに、黄の寮に味方したお嬢はマジ清涼剤でしたよ……! てか、お嬢の大言壮語は今に始まった話ではないけど、「たとえ、仲間たちに糾弾されようとも、わたくしはわたくしの正義を貫きますわ」と言い切ったシーンには痺れてしまったね けれど、実力は無いものだからお笑い草な扱いになるのだろうと思ったら一応役に立っているし、おまけに大逆転に繋がる重要情報まで届けてくれるし この巻における主役はミュールだけど、MVPはお嬢だったんじゃなかろうか、マジで 正道でやったのでは勝ち目が薄い三寮戦。それでもミュールの価値を示すには真っ向勝負で勝ちに行くのか…?と思っていたら普通に卑怯な手段を燈色だけじゃなくミュールまで使ったのが驚きだったり 勿論、そこに辿り着くまでに血を吐くような思いを経由しているのだけど どのような方法であろうとアレはミュールが皆の力を借りながら一人で立ち上がる事でしか到れないチャンスであり、そこに到ってしまえば後はミュールが全ての頑張りを背負うしか無いというのはかなりドギツい展開と感じられたよ… ミュールがそのように自分の限界に押し潰されそうになりつつ自分にも他の寮長にも親の加護にも勝とうというなら、彼女を見守る燈色も限界を超えなければならない そのような背景が有るからって、まさかここで燈色がフェアレディ世界での記憶を取り戻す段取りになるとは思わなかったが。てっきり、クリスとの睦み合いを知らないままクリスの好意に気圧されていくものかと思っていたが ただ、ミュールの為に戦うという理由付けが有る事で、そしてクリスが純心から燈色を好いていると理解したからか、クリスに好かれている状況にある程度の吹っ切れを見たのは大きな変化であるように思えたよ ミュールも燈色も自分の限界を超えなければならない その代表格が人としての在り方か。ミュールの願いを叶える為に人間である事実をあっさり捨ててしまった点には瞠目せざるを得ない 自分より圧倒的強者の劉に勝つにはその手段しか無かったわけだ ならば、ミュールとて勝利の為に人である自分にこだわるなんて愚行。自分を貶める弱い自分を捨てて、皆が誇れる寮長に成ろうと絶叫する あの瞬間のミュールには本当に驚かされた。弱さに甘んじていたあの頃の彼女からは本当に考えられない姿だったから どのような方法であろうと不可能を可能に変えた彼女の価値には賞賛を送るしか無いね ただ、この状況って燈色もミュールもボロボロを通り越して生きてるのが不思議なレベルだけど次巻どうなるの……?
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