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その果てを知らず の商品レビュー

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2024/10/17

〈いいのだ、いいのだ、それでいいのだ。  というより、何だっていいのだ。  どうせ近々この世からおさらばするのである。となれば、おさらばしない現実の存在を認めたっていいだろう〉  リアルタイムで読んできたひとならば、あるいはその当時を知るひとならば、まったく違った感慨を覚えるの...

〈いいのだ、いいのだ、それでいいのだ。  というより、何だっていいのだ。  どうせ近々この世からおさらばするのである。となれば、おさらばしない現実の存在を認めたっていいだろう〉  リアルタイムで読んできたひとならば、あるいはその当時を知るひとならば、まったく違った感慨を覚えるのかもしれませんが、私は詳しくないので、読んだ素直な気持ちを綴ることしかできません。  著者自身を思わせる作家、浦上映生がたゆたう現実と幻想、生と死の境。ただの回顧ではなく、小説への、フィクションへの強烈な愛と意志を感じました。SFのひとつの時代を支え、そして長い年月、書き続けた小説家が、小説家としての軌跡を、小説として表現した偉大な作品に圧倒され、畏敬の念を覚えました。

Posted byブクログ