足環をつけた鳥が教えてくれること の商品レビュー
共通テーマは「足環」のみで、専門の先生によって多様な鳥の知識がふんだんに盛り込まれたいい本でした。イラストに鈴木まもるを動員してくるのはさすがと感じた。ヤンバルクイナ発見時の回顧談と「日本のトキを野生絶滅させたのも自分たちで」は印象的でした。
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鳥について知りたい事、たくさんある。 ・冬に東京に来ていたジョウビタキ、日本が温かくなると何処に行くの? ・温暖化で地球の気候が変わっているが、渡りの季節や生息地も変わっている? ・ジョウビタキは1日でどのくらいの距離を移動するの? ・去年も今年も姿を見せたジョウビタキ、同一個...
鳥について知りたい事、たくさんある。 ・冬に東京に来ていたジョウビタキ、日本が温かくなると何処に行くの? ・温暖化で地球の気候が変わっているが、渡りの季節や生息地も変わっている? ・ジョウビタキは1日でどのくらいの距離を移動するの? ・去年も今年も姿を見せたジョウビタキ、同一個体の確率はどのくらい? ・ジョウビタキは何年くらい生きるの? ・ジョウビタキの生息数は増えている?減っている? このような情報を得る手段として足環で個体識別をしている。 沖縄にいた鳥がオーストラリアで見つかった。 去年巣作りしたツバメが今年も同じ巣に戻ってきた。 など、足環を付けた鳥を再確保(再確認)することでいろんなことが分かる。 日本では1924年から標識調査が行われており、今年で100年になるということで本書が作られたようです。 実際に調査を始めると多々困難にぶつかる。 「最近、すずめの数が減っている?」という疑問が生じても、 過去のすずめの数の信頼できるデータがない。 すずめは人家の近くにいるが、野鳥調査の場所は人家のそばではないことが多い。 など、調べたいことに特化した調査が必要になる。 私は台風が来るといつも「すずめたち、避難場所をみつけたかな」と心配する。 台風通過後にすずめたちの姿を確認するとホッとする。 渡り鳥と台風のレポートがあった。 台風の季節に渡りをする鳥はどうしているの? 答えは、台風を避けている。 どうやって察知しているのか不明だが、台風が通り過ぎてから渡りを開始している。 温暖化で変わる鳥たちの渡りのレポートもあった。 桜の開花時期も早まっているが、鳥の渡りの時期も変化している。 食べ物となる虫の発生時期も早まっているのも影響していると考えられている。 なぜか渡りの時期を変えない鳥もいるようだが、こうした種は(エサが不足するため?)生息数が減っているようだ。 性別や年齢を正しく判別するのも難しいらしい。 年齢は1年未満の幼鳥と、1年以上生きている成鳥の区別ができるくらいだそうだ。 オガサワラカワラヒワも登場した。 川上和人さんの「鳥類学は、あなたのお役に立てますか?」で主役となった鳥だ。 川上和人さんから血液サンプルのDNA鑑定の依頼があり、調べた結果106万年前に分岐した古い系統群だと分かったそうだ。 私も5年程前に足環を付けたすずめ(の死骸)を見つけたことがあるが、生息期間や生息地の貴重なデータになるので、 足環を付けた鳥を見つけたら「山階(やましな)鳥類研究所」まで連絡してください。
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