敵国で冷遇された皇女様は夫の愛に気づかない の商品レビュー
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特にリスクなく過去に何度も戻ってやり直す物語だとは予想しておらず驚いた。 てっきり一度きりのやり直しだとばっかり。 しかも後にして思うと完全なるローリスクでもなかった。 過去に戻るたび、彼女は切り捨ててしまっていたのだ。 彼女のことを大切に思っていた、不器用ゆえに正しく伝えられなかった優しい、彼女の味方であるはずの夫のことを。 特に3周目から4周目のやり直しがしんどかった。 今までで一番彼といい関係が築けていただけに。 そして、彼が最後に伝えた言葉が4周目で彼女にとっては呪いに近い言葉になってしまった。 母国を滅ぼさないために過去に何度も戻り、夫からの思いも、4周目には夫への思いも犠牲にして独り戦い続けた皇女の物語。 最初の頃は(知らなかったとは言え)夫も含めて味方がおらず孤軍奮闘で読む側もつらい。 終盤は(実を言うと)両思いな二人なのに、ミラはまた失敗すれば今の夫を切り捨てることになるから、心移さないように彼を避ける展開で、やっぱり読む側もつらいという。 気の休まらない読書だった。 割と終盤の終盤になるまで、二人の思いが通じ合わないし、通じ合ったと思った途端にあの展開……本当につらかった。 それだけ色々苦労した先の未来が平和になりそうで本当に良かった。 この話のほっこり点は、夫のクラウスの実は癒し系枠だったところ。 彼の本性とそのお姿は、この物語の数少ない心やすまるオアシスでした。 そういう意味でも3周目はよかったんだ……あの最悪手さえなければ……
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