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イッツ・ダ・ボム の商品レビュー

3.6

34件のお客様レビュー

  1. 5つ

    7

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    6

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2024/10/12

街で見かけるグラフィティ。 軽犯罪で迷惑なもの、というイメージだが、当事者たちの物語にはパッションがある。 バンクシーなど、実在の人物等も登場させ、没入感があった。 2章立てのこの小説、各章の最後の数行に驚いた。 ある分野では、匿名性って結構大事だなと。 失礼ながら、「ぽんと」さ...

街で見かけるグラフィティ。 軽犯罪で迷惑なもの、というイメージだが、当事者たちの物語にはパッションがある。 バンクシーなど、実在の人物等も登場させ、没入感があった。 2章立てのこの小説、各章の最後の数行に驚いた。 ある分野では、匿名性って結構大事だなと。 失礼ながら、「ぽんと」さんと思いました。

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2024/10/07

俺はTEEL、大宅派なんだよね! 牙や爪、力のないライオンや毒のないコブラなんて魅力的と思わない。 気合い入ったものは応援したいし、卑怯な汚い奴らは嫌いって言いたいなぁ。

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2024/10/02

ストリートだのアートだのともっとも疎いところを扱った作品だが、まるで知らない、興味のない世界の事をスラスラと読ませる文章力は素晴らしい。 ただ正直に言うとそこまで深く刺さるものがない。悪くはないし、彼らが何を見ているかは伝わってきたが、個人的にそこまで面白いとは思えなかった。

Posted byブクログ

2024/09/29

街中で見かける壁にスプレーで書かれた文字や絵を見て思っていたのは、「汚い文字だな」「綺麗な絵だ」のどちらかだった。いずれにしても無断で書いているなら犯罪だし、かと言って書かれてしまったものはどうすることもできないので、文字や絵の上手下手という感想を抱くしかなかったのだと思う。 ...

街中で見かける壁にスプレーで書かれた文字や絵を見て思っていたのは、「汚い文字だな」「綺麗な絵だ」のどちらかだった。いずれにしても無断で書いているなら犯罪だし、かと言って書かれてしまったものはどうすることもできないので、文字や絵の上手下手という感想を抱くしかなかったのだと思う。 思ったよりこの世界は奥が深く、1度読んだだけでは理解しきれていないほど多くの用語が出てくる。表題の「ボム」もその用語のひとつ。”街中に投下された爆弾”と私は何となく読み替えている。上から重ねて書くとき、自分より上手い人や亡くなった人の作品にはしないというルール(暗黙の了解のようなもの)があるのも初めて知った。意外と律儀と言ったら良いのか…。 書いてる側の気持ちなんて考えたこともないが、書く方はただ楽しんでやっているのではなく、自分の存在意義を確かめるためにやっているのかも。 ストリート・アートが文化として認められているのかいないのか知らないが、どうにも公式には認められない後ろ暗さがあるような気がしていた。それを無理矢理公式にする必要はないし、書き続けたい人は止めたって書き続けるだろう。 つまり、反対者がいくらいようが、ボムもグラフィティもこの世からはなくならないだろうということだ。

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2024/09/27
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

 グラフィティを題材にして、松本清張賞を受賞した小説なら読むしかない!と思い手に取った。表面的にグラフィティを扱うのではなく、本質的なグラフィティ論にまでリーチしながら、小説としてのオモシロさも兼ね備えていた。さらにはグラフィティを通して垣間見える遵法精神への反発まで描き出しており興味深かった。  二部構成となっており、これが本著の核心となっている。第一部では、記者を主人公としてグラフィティの本質を丁寧に解説しながら物語が展開される。この記者はグラフィティ愛好家でも専門家でもなく、単に取材を通じて名を挙げたいという功名心に駆られて取材する。この設定により、グラフィティ門外漢である読者のことを置いてきぼりにすることがないし、単なるグラフィティ概論というだけではなく、「承認欲求と文化」という視点から鋭い視点を提示していた。承認欲求は、私たちが想像する以上に食欲や性欲に近い根源的なものであるからこそ、SNSが流行り続けているのは間違いない。この欲求を満たすためであれば、手段を選ばない傾向がここ数年顕著となっている。その文化に対するリスペクトはなく、分かったフリをして小手先で欲を満たす。こういった掠め取る現象は、どれだけ見たかわからないし、ときに自分自身にも跳ね返ってくる。このような現代の空気を見事に捉えつつ、承認欲求の原始的発露としてのグラフィティを接続している点が興味深かった。  第二部はベテランのグラフィティライターTEELを主人公として、グラフィティを通じて世代間の価値観の違いを浮き彫りにしていく。 純粋に「街中に書きたい」という欲望と、とにかく承認されたい欲望の代理戦争が勃発する。それぞれ手段を選ばない白熱の攻防が繰り広げられ、ページをめくる手が止まらなかった。ここでさらに浮上するテーマが遵法精神である。グラフィティは街の景観を汚す軽犯罪の一つであり、法律で取り締まられる。ジェントリフィケーションが加速度的に進む社会において、もっとも忌み嫌われるだろう存在といっても過言ではない。それに対して「誰も傷つけないお笑い」よろしく、グラフィティを今の時代にアップデートした「アート」の形でカウンターしていく。もしかすると今の多くの10〜20代にとっては後者の方がしっくりくるのかもしれないと思うとゾッとした。その遵法精神について伏線がまさかの形で回収されるエンディングにグッときた。  小難しいことを散々書いてきたが、本書の真骨頂は、サスペンスとしてのオモシロさを損なうことなく、このように多角的な考察を促すテーマが散りばめられている点にある。次は何をテーマに小説を書くのか今から楽しみ。

Posted byブクログ

2024/09/25

今時のヒップホップ"ファン"は知らない、本物のヒップホップカルチャーが描かれてます。決して世間から許されないのに、「ヒップホップ4大要素」と言わせるグラフィティの世界を、ここまで書き切った読み物はないかもしれませんね。昔あった「風magazine」くらいかも。...

今時のヒップホップ"ファン"は知らない、本物のヒップホップカルチャーが描かれてます。決して世間から許されないのに、「ヒップホップ4大要素」と言わせるグラフィティの世界を、ここまで書き切った読み物はないかもしれませんね。昔あった「風magazine」くらいかも。映画になったら確実に観に行きます。

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2024/09/25

Amazonの紹介より 「日本のバンクシー」と耳目を集めるグラフィティライター界の新鋭・ブラックロータス。公共物を破壊しないスマートな手法で鮮やかにメッセージを伝えるこの人物の正体、そして真の思惑とは。うだつの上がらぬウェブライターは衝撃の事実に辿り着く。(第一部 オン・ザ・スト...

Amazonの紹介より 「日本のバンクシー」と耳目を集めるグラフィティライター界の新鋭・ブラックロータス。公共物を破壊しないスマートな手法で鮮やかにメッセージを伝えるこの人物の正体、そして真の思惑とは。うだつの上がらぬウェブライターは衝撃の事実に辿り着く。(第一部 オン・ザ・ストリート) 20年近くストリートに立っているグラフィティライター・TEEL(テエル)。ある晩、HEDと名乗る青年と出会う。彼はイカしたステッカーを街中にボムっていた。馬が合った二人はともに夜の街に出るようになる。しかし、HEDは驚愕の〝宣戦布告〟をTEELに突き付ける。(第二部 イッツ・ダ・ボム) グラフィティは「俺はここにいるぞ」という叫びだ――。米澤穂信さんが「ささやかで切実な犯罪小説」と評したソリッドなデビュー作! 第31回松本清張賞受賞作。 グラフィティアートをテーマにした物語で、アートに対する外側(取材する人)と内側(描く人)の心を深掘りすることで垣間見る「芸術」の奥深さや難しさを感じました。 「日本のバンクシー」として注目される「ブラックロータス」。その正体に迫ろうと取材するライター視点で展開するのが第1部。 こちらでは、主にグラフィティアートに対する第三者の見解が多く描かれています。称賛される一方で、公共物に落書きするということで違法や迷惑といった負の部分も浮き彫りになります。 当人にとっては、何かのメッセージ?なのか、それともただただ単に書きたいだけなのか? 個人的にこういったアートは、どちらかというと微妙な印象です。最初見たときは、大胆で芸術的で主張が激しいなと思う一方、どこか迷惑な要素もあるなと思ってしまいました。 そもそもグラフィティアート=許可なく勝手に公共の場で書くというイメージが、こびりついているためか、あんまりグラフィティアートは良いイメージを持ちませんでした。 しかし、近年テレビ番組でグラフィティアートを描く企画を見たときは、今迄のイメージが変わったようにも感じました。 小説内では、数人に取材しているのですが、解釈は様々。主に同業者の目線で語っていますが、同じアーティストでも色んな意見があることで、アートにおける理解の難しさを感じました。 ここで主軸となるのは、「ブラックロータス」が誰なのか?ではなく、「ブラックロータス」が現れたことによる影響です。読んでいて、正体を探るではなく、グラフィティアートにおける考え方を多く語っているので、今どこを目指しているのか?時折、道に迷っているかのような位置にいたので、ちょっと飽きがきたのですが、「ブラックロータス」の作品のなかにこれは模倣犯がやったのかも⁉といったミステリアスな要素が入ってから、徐々に引き込まれていきました。 果たして、模倣犯がいるとしたら、誰なのか?第1部では、そこが読みどころかなと思いました。 打って変わって、第2部では、第1部から半年?くらい経ったところから始まります。 主人公はグラフィティライター・TEEL(テエル)。こちらは内側から見たアートに対する思いを垣間見ることができます。 TEELがどんな人なのか?なぜグラフィティライターを始めたのか?といったことが知られます。 裏では、その界隈では有名でも、表では「普通」の人であり、その落差にみんな普通に人間なんだとしみじみ思いました。 ここでも、読んでいて、今どこへ向こうとしているのか?、軸となるものがあやふやだった印象があったため、淡々としている印象に捉えてしまいました。 しかし、「ブラックロータス」の登場を機に、物語が引き締まっていきました。 正体は明かさないものの、常に革新的な方法でアートを魅了していくスタイルは面白かったです。 目には目を、歯には歯をといいましょうか、同業者のアートをある方法で消していくのですが、斬新かつ革新的でもあって、常に挑戦的な「ブラックロータス」のスタイルに魅了されてしまいました。 一方で、TEELが今後どのように道を開いていくのか? 表では「普通」に仕事をしつつも、色んな苦悩があります。そういった葛藤の中で、どんな答えを出していくのか?ラストは、一歩前に出すのでは⁉といった含みを持たせつつの結末だったので、続きが気になるばかりでした。 小説を通して、ライターの内なる叫びや価値観などあまり知ることのなかった世界を体験できたなと思いました。 グラフィティアートにおける世間との認識や難しさを垣間見ました。

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2024/09/25

まずい。ついに"本物"が出てしまった。 歴史的なヒップホップの骨法を掴みつつ、さらに野心的な改革を起こそうとするマジもんの作家が、世に輩出されてしまった。 井上先斗は今後、間違いなく文学界を席巻するだろう。しかも、おそらくあらゆるジャンルの垣根を超えてやっ...

まずい。ついに"本物"が出てしまった。 歴史的なヒップホップの骨法を掴みつつ、さらに野心的な改革を起こそうとするマジもんの作家が、世に輩出されてしまった。 井上先斗は今後、間違いなく文学界を席巻するだろう。しかも、おそらくあらゆるジャンルの垣根を超えてやってくる。真の意味で、新時代の松本清張になる。そんな未来が見えて仕方ない、末恐ろしいデビュー作。 いま筆を持つ者たちは、全員TEELになるしかない。

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2024/09/24
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

グラフィティとは。 なんとなく街中で見かけていた不思議な落書き。丸まるっとしていて独特のフォントでなんて書いてあるのかよくわからないけど共通の何かのある文字たち。 あれが「グラフィティ」という一つのアートのジャンルであったとは。 第一章でその「グラフィティ」についてルポのようにつづられていく。タグ、スローアップ、ピース…スマホ片手にいろいろと調べながら読んでいく。 日本のバンクシーと呼ばれるブラックロータス。彼の登場でグラフィティに新しい波が生まれる。 グラフィティの意義、なぜ彼らは街中にボムするのか。何のために。 そこからの第二章。 二十年間第一線でボムし続けるTEEL(テエル)と、ブラックロータスの、闘い。 イリーガルとリーガル、残すことと残さないこと。オレはここにいるんだ!という叫び声のクールな熱さ。 それぞれの存在を賭けた闘いの切実さに息をのむ。 これはクライムノヴェルではある。けれど、ここにあるのは続けてきたことを終わらせるための勇気と覚悟を問いかける切なさでもある。 あぁ、そうなのだよ。これを読むとある一定の年齢以上の人は切なくなるんじゃないかと思う。

Posted byブクログ

2024/09/23

グラフィティーとは何か。 アート?落書き?それとも、、、?? グラフィティーについて知らなくても 楽しめる作品だと思う 知識ある方がイメージしやすい部分は あると思う 読みやすい文で スラスラと最後までよめた

Posted byブクログ