悪口の極意 の商品レビュー
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※このレビューにはネタバレを含みます
著者というか、講評を寄せている大作家のご尊顔をご近所で拝することがあったので、手に取ってみた(著者が立ち寄るご近所のカフェで、だ)。 静岡は島田市で20年前から続いている「愛するあなたへの悪口コンテスト」の入賞作品を並べたもの。大賞や準大賞に寄せられた大作家の講評が並ぶ。 市民からの投稿作品たち。20年分を並べてみても、実に微妙なものが多い。サラ川や、シルバー川柳のほうが、よほど気が利いている。正直、よくも20年も続いているなと思う。 そもそも定型がない。そこに「愛するあなたへ」とお題が絞られるので、内容に幅がない。なのに「悪口」という体裁をとらないとならない。川柳、俳句といった、五七五の型があったほうが、よほど作りやすいだろう。なかには、その語呂というか、リズム感に則ったものも少なからずあり、はて、これは何を読まされてるのだろうと、入賞作品たちに疑問を呈することが大半だ。 なので、そのなんとも言い難い、いかんともしがたい作品たちの意をくみ、入賞に至った良さ、諧謔に満ちた部分を掬い取って解説、講評を述べねばならない大作家の苦労がしのばれる内容だった。 「100均の200円商品のようなウチの人」(準大賞) これを悪口と取るか、ささやかな優位を認める妻の余裕と取るか。なぜこれが悪口コンテストの入賞作品なのか、しばし首を傾げる。そんな作品に、愛ある講評を述べ、読者に分からせようとする著者がエライ!! 上記も、そこはかとなく川柳のリズム感をまとう。まとってしまう投稿子の性もわからんでもないが、「悪口コンテスト」としての独自性ももっと生まれればよいのにと思うが、予定調和の中で納まってしまっている作品が多くて、読んでいても、あまり楽しい本ではなかった。 が、嵐山光三郎だったか、確か「本の雑誌」の2024年の年間ベスト3に本書をあげていた。なんだろうね。 いろんな、忖度があるのでR?!
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