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笑いで歴史学を変える方法 歴史初心者からアカデミアまで の商品レビュー

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4件のお客様レビュー

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2024/10/02

アカデミズム史学とアマチュア歴史家: 歴史と歴史学 学問としての面白さと笑い 大学の歴史学者はなぜ融通が利かないのか 論文の体裁 実証のインフレと理論回帰 学会とはどのようなところか 査読結果の通知基準 タイプ別・アマチュア歴史家のススメ: 自費作家型 豊富な資金・時間必要 郷土...

アカデミズム史学とアマチュア歴史家: 歴史と歴史学 学問としての面白さと笑い 大学の歴史学者はなぜ融通が利かないのか 論文の体裁 実証のインフレと理論回帰 学会とはどのようなところか 査読結果の通知基準 タイプ別・アマチュア歴史家のススメ: 自費作家型 豊富な資金・時間必要 郷土史家という選択 発見重視型 メディアミックス型という亜種 強靭なメンタル SNS・イベント活用 憧れの歴史同人 学問と笑い: 大学をめぐる笑えない現状 大学のファーストフード店化 笑いの力 笑いを真剣に考えてきた学者たち 歴史上の人物を好きになること ふんだんな比喩表現 ユーモアと寛容 笑いの武装解除効果 ベンヤミンの勉学的遊戯

Posted byブクログ

2024/09/28

<目次> 第1部  アカデミズム史学とアマチュア歴史家  第1章  「歴史」「歴史学」  第2章  大学の歴史学者はなぜ融通が利かないのか  第3章  学会とはどのようなところか 第2部  タイプ別・アマチュア歴史家のススメ  第1章  自費作家型  第2章  「発見」重視型  ...

<目次> 第1部  アカデミズム史学とアマチュア歴史家  第1章  「歴史」「歴史学」  第2章  大学の歴史学者はなぜ融通が利かないのか  第3章  学会とはどのようなところか 第2部  タイプ別・アマチュア歴史家のススメ  第1章  自費作家型  第2章  「発見」重視型  第3章  SNS・イベント活用型 第3部  学問と「笑い」  第1章  大学をめぐる「笑えない」現状  第2章  「笑い」の力  第3章  「笑い」を真剣に考えてきた学者たち <内容> 「笑い」と言ってもその実例は少ない。明治期の政治家、長州出身の品川弥二郎ぐらい(著者の専門)。第1部は歴史学会の内情。大学教授の様子などを語る。第2部はアマチュア歴史家の説明。この両者はあまり相容れない関係。まあ当たり前か…。第3部はそうした状況の中で、新しい研究視点として、「笑い」を入れようという。「いお倉」という新しい研究会を立ち上げているらしい(まだ見てないけど)。そこは、サンキュータツオ氏が取り上げた『へんな論文』(正続とも読ませていただきました)やイグ・ノーベル賞(日本の学者は常連ですが、歴史学ではまだ受賞者がいないそうで)をイメージしていただき、「笑い」を理解するのがわかりやすいでしょう。『鼻行類』やベルクソンを持ってこられたら、ちょっと七面倒くさくなってますね。品川弥二郎こと「やじ」をもっと推しても良かったのでは?

Posted byブクログ

2024/09/22
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

はじめに 私は「重巡洋艦」で艦の基礎知識を学び、(著者が後に乗ることになる)「戦艦」で2年少々訓練を積んだのち艦を脱走し、放浪の末「県営の中型客船」の乗組員になったようなものなので、著者のいう「いお倉某重大事件」の背景や「学術コミュニケーション・ギャップ」が何となくわかる。 第一部第一章 ・「歴史」と「歴史学」の違いは、常に意識しておきたい。私がなぜ「歴史学」の世界に立ち入ったのか、「歴史」の面白さよりも「歴史学」の面白さが勝ったからだろうか。 第一部第二章 ・私が早い段階で恐ろしく過酷な大学院から脱走したのは正解だったようだ。 ・査読雑誌に初めて投稿した論文が委員のコメント付き不採用で返ってきたのは学部レベルの基礎ができていると判断してくれたからか。(その後採用) ・「けもフレ」のアライさんが唐突に出てきたのだ! ・院生のとき、研究室にかかってきた電話をとると、酒に酔ってるのか「ニイタカヤマノボレ」が何たらかんたらと意味不明な話をしてくるオッサンで大変困惑した。ここには教員はいないことを伝えても理解していない様子。その後先輩に代わってもらい、ガチャ切りした。 第一部第三章 ・私もいくつかの学会に入っているが、就労中かつ田舎住まいゆえに学術大会への参加は時間的にも距離的にもハードルが高い。定期的に送られてくる学術雑誌もろくに目を通せていない。それでも金をドブに捨てているとは思わない(思いたくない)。 第二部 ・自費作家型アマチュア歴史家に分類されている郷土史家には中高の社会教員が多いが、多忙により若者が後に続かず、元職だらけの極めて高齢化した集団と化している。また、研究会では「歴史」と「歴史学」が混在した発表が行われており、都会の大規模な学会とのギャップをひしひしと感じる。 第三部第一章 ・著者の言う「異文化」は、進学校で学校教育に順応して育った人が高校教員として非進学校に赴任すると痛感する巨大な違和感に類似している。非進学校では会話ができているように見えて実のところはできていない。進学校や行政ばかりで勤務している人にはわからない問題だ。 第三部第二章 ・高校でも、生徒たちは授業中の雑談を好む。非進学校ほど学習からかけ離れた、近所のおいしいお店や旅行話などを好んで聞いてくれる。それを元の学習内容にリンクさせる。 (例)とべ動物園に1000円の真珠ガチャ設置→宇和海の真珠養殖→リアス海岸→海岸地形… 大学でもそうなのか…。 第三部第三章 ・ここがこの本の「本丸」。歴史学に武装解除や寛容の力を持つ「笑い」を導入し、「勉学」を「遊戯」することで既存の歴史学界を新規創生しようと試みる。何だろう、「維新」とか「改造」に近い思想だろうか。 伝わる人には伝わる内輪ネタ満載の「同人誌」(褒めているつもり)ゆえに、「アカデミズム史学的主観」を批判する意見も少なくないのではないだろうか。しかし、私のように戦艦から脱走せず、もがき苦しみながらずっと艦に乗り続けて戦っている7歳下の著者にエールを送りたい。面白かった。

Posted byブクログ

2024/09/15

看板に偽りがありすぎる。 「エンタメとアカデミズムを架橋する」どころか、「アマチュア歴史家」が大嫌いじゃないか、この著者。 本書三分の二は、大学教員は忙しいので、「アマチュア歴史家」は近寄ってくるな、という主旨になるか。後半は、自身の研究対象がかわいいおじさんであるという話。 ...

看板に偽りがありすぎる。 「エンタメとアカデミズムを架橋する」どころか、「アマチュア歴史家」が大嫌いじゃないか、この著者。 本書三分の二は、大学教員は忙しいので、「アマチュア歴史家」は近寄ってくるな、という主旨になるか。後半は、自身の研究対象がかわいいおじさんであるという話。 「アマチュア歴史家」が学会発表するためには有力者の集まる会食に参加して、そこにいる歴史学者に取り入って発表の機会をもらえ、などと書いてある。 これが著者の言う「笑い」なのかもしれないが、こういう、人をばかにする笑いは笑えない人のほうが多いのではないか。 大学教員のほうが苦労しており、「アマチュア歴史家」のほうが時間に余裕があるとの認識で書かれているも噴飯ものである。だったら職を辞し野に下ればいい。この著者には、任期の無い大学教員が、相対的には社会的に恵まれた職業だという自覚が全くない。 私も大学教員なのだが、大学教員すべてがこの著者のように「アマチュア」研究者とそうでない研究者を対立的にとらえていると思わないでほしい。 「笑いで歴史学を変える」という主張も、何がそれほど学界にインパクトを与えるのかわからない。授業を楽しく笑えるものにしましょう、というのは別に新しくもなんともないし(むしろそれを強制されている大学のほうが多い)、笑いどころのある論文は、私の目から見ればごく普通に学会誌に掲載されている。本書で引用されている「笑い」の実践例だって既存誌に掲載された成果だ。既存誌が包摂しているものが、なぜ歴史学を変えるほどのインパクトを持つのか理解に苦しむ。そもそもこの路線だと在野は全く関係ないから、「アマチュア歴史家」への言及は不要である。 本書は著者が創刊しようとしている雑誌の「理論」を説明したものだそうである。しかし、全く論理的には書かれておらず、現状分析も参考文献による裏付けがほぼなくn=1の体験談が書かれているだけである。正直なところ、学会の現状として事実のように書かれている部分にも納得できない内容が多い。著者は研究室で孤立していたそうなので、自身の現状認識が特殊なものではないか、もう少し裏付けを行うべきだったのではないか。関西かつ近現代史以外の部会・学会の現状にもう少し目を向けてもよかったはずである。 本書で触れられている現在の若手研究者問題を無理やり「笑い」にひきつけて感想を述べれば、若手研究者に「笑い」を重視した論文を書く余裕はないということが問題ではないか。業績争いはますます苛烈になっており、論文数が相対的に少ない若手は自然、1本1本によりインパクトが高く学説的に新しい主張を盛り込もうとする。「笑い」を重視した論文を書く余裕はない。 著者の雑誌は、任期のない職についている研究者、定年退職を迎えた名誉教授など、比較的恵まれた研究者だけが「余暇」として投稿することのできる有閑雑誌になるのではないだろうか。「笑い」だけではない重要な価値を持つ論文なら、若手は既存の有名誌に投稿を考えるだろう。 タイトルと著者の主張を度外視すれば、著者が赤裸々に自身の恨みつらみをつづっているところは体当たりであり、暴露本としては興味深い。 大学院時代の思い出として、自分が京大生え抜きなのに、外部進学者の方が優遇されていることを恨みに思った話、経済的に恵まれた同人作家たちに憎しみをもやし、いつかこの人たちが絶対的にかなわないところに行ってやると考えたという話、等々。普通なら、外部進学者差別はあってはならない、経済状態は本人の責任ではない、という建前が頭をよぎってこんなことは書けない。赴任した「地方中小私大」に対して、アカデミックな気風が全くないとか、ここの学生は「石がそこに積んであったら、「石が積んである」。それ以上の意味を考えることはしない」などと書いているところは、要は学生が馬鹿すぎるという不満をオブラートに包んで書いたものだが、雇ってもらった恩義があるので通常はここまで書けない。 このように、本書は著者自身を高く見せようとはせず、取り繕いをせず、自身の醜く浅ましい感情をあますところなく書ききっている。なぜそんな自己暴露をしようと思ったのかは謎であるが、その捨て身の記述には一定の読みごたえがあることは確かだ。

Posted byブクログ