喫茶店文学傑作選 苦く、甘く、熱く の商品レビュー
アンソロジー。オビに「ページをめくれば、そこは純喫茶」と書いてある。冒頭におかれた長尾みのる「コーヒー・ブレイク」では1953年のブラジルのコーヒー・バーへ、次におさめられた澁澤幸子「『贈物だよ』と八百屋のおじいさんは言った」ではトルコのモーテルに連れていかれ、どこが純喫茶? ...
アンソロジー。オビに「ページをめくれば、そこは純喫茶」と書いてある。冒頭におかれた長尾みのる「コーヒー・ブレイク」では1953年のブラジルのコーヒー・バーへ、次におさめられた澁澤幸子「『贈物だよ』と八百屋のおじいさんは言った」ではトルコのモーテルに連れていかれ、どこが純喫茶? と思いながらも楽しく読んでいると、久米正雄「バラック・カッフェエ」で関東大震災直後に今東光が日比谷公園内ではじめた怪しげな店へと迷い込むことになった。すべて読み終わってから「編者解説」を読むと、このような作品配列は意図的なものだったようで、編者の誘導に見事に酔わされたみたい。銀座の不二屋を舞台に武田麟太郎らとの交流を描いた立野信之「あの頃」と、フラッパーな感じの富岡多惠子「植物祭(抄)」が特に強い味わい。
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永井荷風、岡本太郎、中上健次、筒井康隆、田辺聖子……。国内外の「喫茶店/カフェ」を舞台に、名手が紡ぐ味わい深い随筆・短篇二三作。文庫オリジナル。
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