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ひっくり返す人類学 の商品レビュー

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7件のお客様レビュー

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2024/11/16
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

人類学は「そもそも論」が得意. 遠く離れた場所では我々と同じ前提を共有することがない他者が存在し, 彼らは異なるアプローチでその問題に対処している. それらを知ることで, 「すでに分かっていると思っていること」の基礎を崩し, より上位の大きな問いにたどり着くことが可能となる.

Posted byブクログ

2024/10/14

【学校について】 人から教わるという発想がなく、人がやっているのを見て学ぶ社会がある。 彼らは学校を必要と感じていなくて、授業に参加してもずっと座っているだけだと感じるし、宿題を忘れたら怒られ、いじめに遭うこともあり、次第に学校に行かなくなるが、困らない。 この話は大人になっ...

【学校について】 人から教わるという発想がなく、人がやっているのを見て学ぶ社会がある。 彼らは学校を必要と感じていなくて、授業に参加してもずっと座っているだけだと感じるし、宿題を忘れたら怒られ、いじめに遭うこともあり、次第に学校に行かなくなるが、困らない。 この話は大人になった今、すごく納得できる。 どれだけ英語の文法を勉強しても、ネイティブスピーカーと話すことに不慣れで抵抗があると使い物にならないし、逆に文法はめちゃくちゃでも話すことに慣れていて、意思疎通ができている人が周りにいて、「学校の勉強って何だったんだろう…」と思うことが多い。 社会に出て求められるのは、知識ではなく考え実践する力なのに、(少なくとも私が経験した日本の)学校教育は、勉強の進め方までも事細かに指示されて、「先生に従う=いい子」という感じ。 大勢の子どもが一度に学ぶにはある程度しくみを画一化することが必要だけど、それが主体性を奪っているのかなと思う。 座学には限度があって、体験、実践することが大きな学びに繋がると思ってはいるものの、学校に行かないことは大ごとな環境に生きているから、実際にそう感じて「学校に行かない」を実践できる人たちを少し羨ましく思った。 【心の病】 全体的に、フィールドワーク先の人たちは「個」を意識していない。(それに加えて常に集団で生活していることで悩みを抱えることもなさそう) 逆に、今の世の中では良くも悪くも「個」を大切にしていて、大家族も少なく1人の時間が多い人が増えていたり、多様性が認められるようになってきたことで「自分らしさ」も求められるようになり、それがストレスに繋がっているのではと感じた。 【自然と人間】 自然と人間は切り離されていて、人が自然を支配するような感覚は、紀元前のギリシア哲学にまで遡る。 動物実験をしたり食べたりすることに対して「かわいそう」と感じる感覚を、人間に近い動物から広げていこうという考え(哺乳類→鳥→虫みたいに)はなるほどと思った。 普段から、人間は他の動物のことを考えずに利己的だと思ったり、地球環境の保護を積極的に行う動きがあるものの、そもそも自然界に人間がいなければ生態系は保たれていたのでは?1番要らない生き物って人間だよな…と思いながら生きているので、このテーマに関する世の中に存在する意見を知ることができてよかった。 〈全体を通して〉 「そもそも」について考えることはできても、世の中のしくみや価値観が出来上がっている中で、それを実践することはとても難しい。 ただ、世の中を変えることは難しくても、ふとした時にこの本で知った価値観を思い出して、今の自分の置かれた状況を客観視して、少しでも楽に生きられたらと思う。

Posted byブクログ

2024/10/06

 ちくまプリマー新書であるため、内容は整理整頓され、わかりやすい。  本書の目的は、世の中に蠢く様々な問題に対して、他民族の視点から見つめ、考え直すことだ。それはある意味マルチバース的な視点なのかもしれない。  我々に必要な、ありとあらゆるレンズを手に入れる方法を、人類学を通して...

 ちくまプリマー新書であるため、内容は整理整頓され、わかりやすい。  本書の目的は、世の中に蠢く様々な問題に対して、他民族の視点から見つめ、考え直すことだ。それはある意味マルチバース的な視点なのかもしれない。  我々に必要な、ありとあらゆるレンズを手に入れる方法を、人類学を通してキッカケをくれる一冊である。

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2024/09/30

シンプルながら唆られる装丁。 同筆者の『はじめての人類学』では歴史的な流れを主要な人類学者を押さえながら紹介していったのに対して 「ひっくり返す」という概念を我々の固定化された思考に比して提示しながら、人類学と社会との関係において不可分と思えるような形で、この学問の意義と存在感が...

シンプルながら唆られる装丁。 同筆者の『はじめての人類学』では歴史的な流れを主要な人類学者を押さえながら紹介していったのに対して 「ひっくり返す」という概念を我々の固定化された思考に比して提示しながら、人類学と社会との関係において不可分と思えるような形で、この学問の意義と存在感が示されている。 外界から覗くそういったダイナミズムは、研究者自身にも見いだせる。

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2024/09/27

ちょっとほんとにひっくり返ったかもしれない。「子どもたちは学びたがっている」「人はもともと好奇心旺盛である」というようなことが自明でないとすると、私がいままで考えてきたこと、言ってきたことのおおもと、土台がくずれることになる。そもそも、「教える」「教わる」というようなことばがない...

ちょっとほんとにひっくり返ったかもしれない。「子どもたちは学びたがっている」「人はもともと好奇心旺盛である」というようなことが自明でないとすると、私がいままで考えてきたこと、言ってきたことのおおもと、土台がくずれることになる。そもそも、「教える」「教わる」というようなことばがないという。ふん?でも、もともと技は「教える」ものではなく「盗む」ものという言い方もできるし、見よう見まねで「覚える」ということでいいのか。いまあるような形での学校、その学校で教わるような知識、それは必要なくとも、生きていく術は必要だし、それは自然に、それこそ見よう見まねで覚えていると言えるのか。好奇心がないとはどこにも書いてなかったように思うし。鶴を折ってあげたら、他に何ができるかと聞いてきたともいうし(「教えて」とは言わなかったとしても)、それに、「学ぶ」ということばがないとは書かれていなかったはず。「学ぶ」が「まねぶ」から来ているとするなら、まねて覚えていくというのでいいのか。ちょっと、勝手に納得している。それから「ありがとう」ということばもないという。それは良いことだと思う。「分け与える」ということが「有難い」ことではないということだから、それは大変良い習慣なわけだ。それから生や死について、心の病について。卑猥語などを無意識に言ってしまうというのはトゥレット症と言われるものに近いのだろうか。興味深い。そして、もう一つ、山や川に法人格を与えるということ。それはもともと神話の中などではあったことなのだろうけれど、いまのこの世の中で法的に人格を認めるというのは日本ではありえることなのだろうか。でも、その後ろで人間が訴えを起こしたりするわけだから、それってどうなんだろうと思ってしまう。とは言え、法的にそれを認める国があるというのは望ましいことのように感じる。まあとにかく、まだまだ世の中知らないことはいっぱいあるわけだ。「子どもの文化人類学」も読まないといけない。

Posted byブクログ

2024/09/20

少し前に、原ひろ子「子どもの文化人類学」(ちくま学芸文庫)の解説を書いている人類学者で、「ありがとうもごめんなさいもいらない森の民と暮らして人類学者が考えたこと」(新潮文庫)は積んである。まずはこちらでお近づきになろうか。 タイトルをみてもわかるように、人類学のフィールドワーク...

少し前に、原ひろ子「子どもの文化人類学」(ちくま学芸文庫)の解説を書いている人類学者で、「ありがとうもごめんなさいもいらない森の民と暮らして人類学者が考えたこと」(新潮文庫)は積んである。まずはこちらでお近づきになろうか。 タイトルをみてもわかるように、人類学のフィールドワーク(現地社会に中長期滞在して、その社会の一員として暮らしながら直接観察したり話を聞いたりする調査方法)で得られた体験を通して、現在の日本で普通に暮らす私たちが内在化している「常識」を問い直す一助となる一冊。わがやの当たり前、学校の当たり前、日本社会の当たり前、ネットで繋がった世界の当たり前は必ずしも人間全体の当たり前ではないことを少数民族の社会や文化から知ると、ほんとうにコロンブスの卵のようにおどろかされる。この本では学校や教育、貧富の格差や権力、心の病や死、自然と人間について、それぞれさまざまな人類学の知見を元に、わたしたちがとらわれがちな「そもそも」を疑ってみせる。そんなところからひっくり返されたら途方に暮れてしまいそうだが、そこから考え始めてこそみつかる希望もあると思えた。 第一章の学校と教育の話の中には、原ひろ子の著書にあるヘヤーインディアンの話もたくさん引かれていた。この章がおもしろかったら、「子どもの文化人類学」もぜひ芋づる式に読むといいと思う。学芸文庫といっても、とても読みやすくておすすめ。 私にとっては、この著者の調査したボルネオ島の狩猟民プナンの話がどれも興味深く、次は積んである新潮文庫を掘り出して読まなければと思っている。

Posted byブクログ

2024/08/15

メモ→ https://x.com/nobushiromasaki/status/1824036699258929246?s=46&t=z75bb9jRqQkzTbvnO6hSdw

Posted byブクログ