霧をはらう(下) の商品レビュー
リーダビリティという言葉を久しぶりに思い出した。初めてこの言葉を聞いたのはやはり雫井さんの「火の粉」だっただろうか?病院での事件をめぐって、さほど過剰に大げさな出来事があるわけでもないのに読み進めるのをやめられない。日常の些細なエピソードと事件の真相を追及する地味な活動だけでこん...
リーダビリティという言葉を久しぶりに思い出した。初めてこの言葉を聞いたのはやはり雫井さんの「火の粉」だっただろうか?病院での事件をめぐって、さほど過剰に大げさな出来事があるわけでもないのに読み進めるのをやめられない。日常の些細なエピソードと事件の真相を追及する地味な活動だけでこんなにも惹き付けられる小説を書く雫井さんはやはりすごい。 実際に状況証拠だけで無実の人がここまで犯人に仕立てられるものかどうかはわからないが、過去から現在に至るまで、きっといくつかの事件でこういったことはあったのかもしれない。 最後に語られる暴露話が蛇足に感じられるほど、完成度の高い裁判劇でした。
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上巻で漂っていた謎や疑念という『霧』が、下巻で次第に晴れていく。 真犯人や犯行の描写が薄い点は気になったものの、共闘してきた桝田弁護士の突然疲弊した振る舞いについては腑に落ちた。終盤で明かされる謎も魅力的だったが、中盤で長女が耐え難い経験を乗り越え、勇気をもって成長していく姿が特...
上巻で漂っていた謎や疑念という『霧』が、下巻で次第に晴れていく。 真犯人や犯行の描写が薄い点は気になったものの、共闘してきた桝田弁護士の突然疲弊した振る舞いについては腑に落ちた。終盤で明かされる謎も魅力的だったが、中盤で長女が耐え難い経験を乗り越え、勇気をもって成長していく姿が特に印象的で頼もしく感じられた。 この小説の魅力は、法廷小説にありがちな派手な論戦に頼らず、登場人物全員を丁寧に描かれている所。その結果、推理小説でありながら、骨太な人間ドラマとしての深みがあり読み応えのある作品であった。
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霧をはらう。人の無罪を信じるには、それに足る確証と勇気が必要。また人は弱く儚い。事件を取り巻く人間像でその様子が描かれており、想像以上に心が動く一著。
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点滴殺傷事件で母親が逮捕された由惟は不登校の妹を養いながら職場での嫌がらせに耐えていた。母親の無実を信じる弁護士の伊豆原は検察の立証を崩すべく、病院関係者の証言集めに奔走する。有罪率99%の刑事裁判で無罪を勝ち取る打開策は見つかるのか。(e-honより)
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手が止まることなく一気に読了。 決めつけや、思い込み、先入観は恐ろしいと感じた。そしてその感情のみで死刑になり得ることがあることに恐怖を覚える。 予想だにしない結末に驚き、とても面白かった。 「霧をはらう」言い得て妙だ。
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上下とも一気読みでした。 次女のお手紙素敵だった。 ラストの展開も予想できず、最高に面白かった&読み応えあった!他の作品も読んでみたい。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
弁護士・伊豆原が素晴らしい! 「やってない」ことを証明するのは難しい。でもほんの少しの証言の差で犯行の可不可が変わってくる。それを問い詰めた事件だった。
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とても面白かったです。 確かにこのお母さん野々花はちょっと変わった感じで、疑ってしまったところもあったのだけど、そういった感情が冤罪の引金になりうるのではないか、と自戒。 それにしても、検察の「冤罪が生まれたとしても自分のせいとは思わない」という言葉は、耳を疑いました。これはフィ...
とても面白かったです。 確かにこのお母さん野々花はちょっと変わった感じで、疑ってしまったところもあったのだけど、そういった感情が冤罪の引金になりうるのではないか、と自戒。 それにしても、検察の「冤罪が生まれたとしても自分のせいとは思わない」という言葉は、耳を疑いました。これはフィクションなんですよね… 冤罪によって苦しんでいる人が現実にもいる。それは、検察の人達も目を背けられる話ではないでしょう。 一方で、弁護人の立場でも、真実をねじ曲げようとする…いかに事情があるにしても、法を司るものとしてあり得ない…そこも小説の上の話でしょうけど… 救いは、二人の姉妹の純粋さでした。 これから少しでも良い未来が続くように祈らずにはいられませんでした。
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2024.11.07.読了 ひさびさの雫井脩介さん。 とてもおもしろかったです。 火の粉、犯人に告ぐ1や犯罪小説家など好きな作品もたくさんあります。ただ、法廷ものがあまり好きではなく、今回も。。。と感じながら読み始めました。小南野々花の言動がゆるーく嫌みな感じや伊豆原が手弁当弁護...
2024.11.07.読了 ひさびさの雫井脩介さん。 とてもおもしろかったです。 火の粉、犯人に告ぐ1や犯罪小説家など好きな作品もたくさんあります。ただ、法廷ものがあまり好きではなく、今回も。。。と感じながら読み始めました。小南野々花の言動がゆるーく嫌みな感じや伊豆原が手弁当弁護士で若者に信頼される爽やかキャラなのがなんかちょっとウザかったので、正直、上巻はつまらなかったです。時間もかけてしまいした。 ところが下巻に入るとストーリーにもエンジンがかかり、快調にサクサク読み進めることができました。 ラストは本当におもしろかったです。
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ミステリーとしても面白かったけど、登場人物がそれぞれ、少しづつかっこよかったり、勇気を出したり。勧善懲悪ではないのも良かった。
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