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海の館のひらめ の商品レビュー

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3件のお客様レビュー

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2024/11/06

文量も多くなく、サラッと読める1冊だった。 イラストを見ているとあたたかい気持ちになれた。 真面目に正直に一生懸命生きているのは、誰かは見てくれているのかなって思った。

Posted byブクログ

2024/11/03

図書館本。レストラン勤めで、下働きばかりさせられる生真面目な若者。愚直な生活にある日不思議な出会いが。

Posted byブクログ

2024/09/14

 あすなろ書房による『安房直子絵ぶんこ』シリーズは、その名前の通り、文庫本を大きなサイズにして読みやすくさせながら挿絵も豊富に載せた(白黒画が多いが、その分、要所要所のカラーがより映える)、やや文章の長い絵本といった印象ではあるが、その丁寧な作りもあって、昔からの安房さんの作品が...

 あすなろ書房による『安房直子絵ぶんこ』シリーズは、その名前の通り、文庫本を大きなサイズにして読みやすくさせながら挿絵も豊富に載せた(白黒画が多いが、その分、要所要所のカラーがより映える)、やや文章の長い絵本といった印象ではあるが、その丁寧な作りもあって、昔からの安房さんの作品が好きな方にとっては、きっと全部揃えたくなる魅力が散りばめられたシリーズだと思う。  タイトルや、表紙を初めとした「くのまり」さんの絵からは、そこに描かれた女性のイメージも海であることから、その朴訥とした自然の飾らない爽やかさが何とも心地好いが、物語の始まり方は決して爽やかではないし、主人公も彼女ではない。  子どもの頃から作ること、食べることが大好きで、なんとか一人前の料理人になりたいと、16の時に一人でこの海辺の町に出て来てレストランアカシヤで働く「島田しまお」は、人の嫌がる仕事も一生懸命にしてきたが、いつまでたっても下っ端のままだった。  その理由と思われるものに、料理学校の卒業証書を持っていないことや、ばか正直で融通が利かなくて、人の機嫌を取るのがとても下手ということがあり、前者はともかく後者に至ってはそれと全く関係が無いと思うのだが、こうした旧態依然とした職場は、いつの時代に於いても変わらず存在するものだということを痛感させられながら、何よりもチームとしてその人の良いところも見つけず、粗探しばかりする態度には、まるで除け者にすること自体を楽しんでいる様子がありありと感じられるようで、読んでいて怒りが収まらないし悲しくてやり切れない、そんな気持ちを抱いた方を優しく讃えてくれるのが、安房さんの自身の思いを込めた、下記の言葉だと思われた。 『わたしは、さっき、調理場の氷の上で、あなたの働きぶりを見ていましてね、すっかり気に入ったんです。正直で、まじめなところが、なによりです。そんな人間が、そんばかりしているのが、わたしには、がまんできませんでねえ……』  こうした言葉を聞きたかったという人も、きっといるであろう、そんな中で安房さんの物語の特徴的なところは、ただ何でもかんでもやってあげるばかりではなく、ちょっとしたお膳立てであったり、背中をそっと押してあげるといった、その人自身の努力も促す点にあり、まるでそれくらいの方がちょうど良いということを、安房さん自身がよく理解されているかのような、そんな優しさがその人自身をより本気に打ち込ませるということを証明しているかのような説得力が、そこにはあった。  物語の内容自体がシンプル過ぎるというのはあるものの、ここで改めて表紙の絵を振り返ってみると、確かに主人公の島田しまおはいないけれども、その女性の晴れ晴れとした表情からも分かるように、そこには彼の姿以上に、正直な彼らしさとでも呼ぶべきものがしっかりと描かれていて、それは他の料理人には決して真似できない、彼だけのひたむきな創意工夫と努力とまじめさの結晶の表れだったからこそ、彼女の心にもそっと響くものがあったのである。

Posted byブクログ