精選女性随筆集 石井好子 沢村貞子 の商品レビュー
昨秋から始まっていた文春文庫50周年記念の「精選女性随筆集(全十二巻、単行本版は2012年)」文庫化、元の本を読んでたり持ってたりする作家も多く様子見していたが、川上弘美選とくればちょっと見てみたくなるじゃないか。装幀もすてきで持ち歩くのによさそうなので買ってしまう。巻頭の川上弘...
昨秋から始まっていた文春文庫50周年記念の「精選女性随筆集(全十二巻、単行本版は2012年)」文庫化、元の本を読んでたり持ってたりする作家も多く様子見していたが、川上弘美選とくればちょっと見てみたくなるじゃないか。装幀もすてきで持ち歩くのによさそうなので買ってしまう。巻頭の川上弘美による紹介文だけでお釣りがくるが、巻末の出典を見ると、今回の石井好子と沢村貞子はいままでにであってない文章が多そうなのでありがたい。 川上が書いているように、「歌手や女優として独自の存在感を発揮しつつ、お料理本で一世を風靡した」という共通点がすぐに浮かぶ二人だが、前半生の波乱万丈ぶりこそもう一つの共通点ということで、この本に集められたのも主にそちらの文章で、初めて知ることも多く本当におもしろかった。地道に続いた粋な「献立日記」やほがらかで洒落た「オムレツの匂い」がA面だとしたら、それは人情に厚く肝のすわったがむしゃらなB面に支えられていたのだと今になって知った。出典となった元の本も読んでみたくなる。 石井好子の文章の中では、エリザベス・サンダース・ホームの澤田美喜(機が熟せば大河ドラマの主人公になりうると思って待っている人物)と混血の歌手ジョセフィン・ベーカーの交流の話が壮絶でおどろいた。 石井好子も、沢村貞子も、いまの日本に生きていたら、どんなことを感じるのか聞いてみたくなった。 巻末の解説は、平松洋子(石井好子)と川本三郎(沢村貞子)。
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【精選女性随筆集シリーズ、堂々完結の最終巻】パリでシャンソン歌手として花開いた石井好子、共産主義活動に挫折し名バイプレイヤーとしての道を選んだ沢村貞子の波乱万丈な人生。
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