三丁目が戦争です の商品レビュー

筒井康隆(著者),永井豪(絵)

2024/09/16

昭和の小学生に衝撃を与えた筒井康隆×永井豪による絵本『三丁目が戦争です』復刊へ　50年を経て突き刺さるメッセージ（リアルサウンド）
Yahoo!ニュース　8/15(木) 12:33
https://news.yahoo.co.jp/articles/23f41c56c2263c5efb9285720309f9b3ec8b20dd

2024/09/27　更新

2024/08/08

変わった形の新刊案内が届いた。筒井康隆と永井豪の合作による本書の新・新装版とのこと。実際に手にすると久々に重い本の感触、忘れていたが元々これが絵本というものなのだ。同じ紙の重量に対して、文字数・画像の多寡で紙の厚さが決まる、実に紙の軽量化とは真逆の方向性だ。重さありきの絵本の世界、懐かしくもある。

筒井康隆らしい文章と永井豪の画風が反映されているかと思いきや、その片鱗、ほんの僅かな、ほんの微かなテイストが感じられる程度に留まっている。絵本業界でも十分に通用する大人しい内容である。お二人とも絵本とは真逆な文字と画像を生み出すクリエータであるにも関わらず、よくもまあこのバランスで絵本業界と折り合えたなぁと、その超絶的努力に感嘆するばかりである。

しかし、なぜこのタイミングでこの様な絵本を出版したのだろうか。筒井康隆の本絵本でのお説教を全世界、いやちょっと言い過ぎた、日本の皆さんに届けたい、つまり世界で起こっている戦争・紛争の愚かさを伝えたいのだろうか。しかし、それにしては出版社の本書の宣伝は今一つ。2024年の書き下ろし原稿も、その様な高邁なお考えとは全く異なる内容。一体、本書は何のために出版されたのか？まさか、単純に復刻版を出版したかったのだろうか、謎です。