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偶偶放浪記 コミックエッセイ の商品レビュー

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3件のお客様レビュー

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2024/11/03

食欲と、未知のものへの好奇心。 ムサビ出身の女性漫画家?が、山谷だの西成だの、いわゆる怪しいところに行き、 (一応一人ではなく誰かと一緒)奇妙な出会いをし、美味しいものを食べる。 それを事細かな絵で表現する。単行本では字が小さくてごちゃごちゃして読みにくい が、その分余計に雰囲気...

食欲と、未知のものへの好奇心。 ムサビ出身の女性漫画家?が、山谷だの西成だの、いわゆる怪しいところに行き、 (一応一人ではなく誰かと一緒)奇妙な出会いをし、美味しいものを食べる。 それを事細かな絵で表現する。単行本では字が小さくてごちゃごちゃして読みにくい が、その分余計に雰囲気が伝わる。楽しい。 何より旨そう。汚い店の料理。思わず食べログで探すが、たいていもうない。 ここ10年の記録だそうで、コロナやら主の高齢化などでやめているとか。 残念。 いやしかしこの女性。腹が座ってる。根性がある。 あるいは単にリスク管理ができていないだけか? でもある意味羨ましい。 楽しい本だ。  はじめに  登場人物紹介 いちょう団地の思い出 寄居旅行記 城ヶ島奇譚 ほら穴 神々の集う島 神津島 まぼろしの町 石岡 天下茶屋散歩日記 近所のチベット 笹山団地 大阪遠征 西成さすらい編 山谷のアーケード遺跡 沖縄のアサヒ食堂 横須賀の奇人「アトム爺」 横浜中華街にまつわる掌編 子安という町 京急線と奇妙な長屋群 関西旅行記 偶偶放浪記[第1~7話]  おわりに  初出一覧

Posted byブクログ

2024/08/13

こういう本大好き! グレゴリ青山とテイストが似てるけど、小指さんの方がハードテイストな場所がお好きのようだ。 路地にぶらりと入り込み、寂れた街、忘れられた街に住む人たちと交流する。 こんな旅がもしかして一番贅沢なのかも。

Posted byブクログ

2024/08/10

『私は、中華街の表通りにある観光向けの中華屋よりも、路地にあるようなわざわざ人に見せないB面の中華街が好きだ。かつて中華街には、売っている野菜がすべて腐っているという奇跡の八百屋があった。ちょっと傷んでいるとかそういうレベルじゃなく、見ているだけでこっちの目までやられてきそうな末...

『私は、中華街の表通りにある観光向けの中華屋よりも、路地にあるようなわざわざ人に見せないB面の中華街が好きだ。かつて中華街には、売っている野菜がすべて腐っているという奇跡の八百屋があった。ちょっと傷んでいるとかそういうレベルじゃなく、見ているだけでこっちの目までやられてきそうな末期的な傷みなのだ。そのため、そこの野菜の値段は鯉の餌より安かった』―『横浜中華街にまつわる掌編』 岸本佐知子氏推薦の小指氏の書籍第二弾、ということで衝動的に入手。こちらはアマゾンでも入手可能な白水社刊。掲載内容の一部が白水社のPR誌に連載されていた流れか。但し、ほとんどは同人誌「旅の本」に寄稿されたもの。時にルポルタージュ風の漫画であったり、岸本さんの「死ぬまでに行きたい海」風のエッセイであったりするが、どれも本当に行き当たりばったり的に訪れ(てしまっ)た所にまつわる話となっている。タイトル「偶偶放浪記」に偽りなし。 放浪と言えば一人旅のイメージだと思うが、小指氏の放浪の旅には同行者が伴う。しかし放浪の旅の行く先を決めるのはもっぱら小指氏の気まぐれ。相談もしているようだが、主な二人の同行者にはものごとを決定する強い意志はない。もし何の予備知識もなく本書を読んだとしたら、なんてお人好しの同行者(たち)なんだろうと思ってしまうかも知れないが、POCKET ROADSIDERSから出版されている「宇宙人の部屋」を読んでからこちらを読むと、はあはあ、あの人がこの人で、この人があの人で、と繋がり、お人好しなのはむしろ著者の方なのだということが解る。そして、あの人やこの人との道行きにも、こんなほのぼのとした時間もあったのだな、と妙な感慨も同時に湧いてしまうこと必至。因みに漫画にもしばしば登場する鬼殺しのパックが出て来る当たりの悲惨さは、本書では描かれていない。 それにしてもこの人の好奇心の旺盛さは常軌を逸しているようにも思えるが、そんな風に常識に縛られていないからこそ見えて来る(思わず見つけてしまう)面白さ(それをついつい思わず「ものごとの本質」と呼んでしまいそうにもなる)が本書の全編を通して描かれている。そして、その好奇心は一つところに収まらず、ふらふらと漂いがち。その漂い加減は、吹き出し以外にも夥しく漫画に描き込まれた文字の羅列を見るだけでも感じることができるだろう。余白に書き込まれた作家のコメント的な文言を読んだり筋と関係ない遊びを読むのは決して嫌いではないけれど、本書で全ての情報に触れて行こうとすると、入力過多で頭が麻痺しそうになる。 訪れる場所は、何処も彼処も変わっていて、可笑しくて、驚くような奇人変人が居て、でも、そのほとんどが過去の出来事で、と判ってくると、しんみりとした気分もじわじわと侵入してくる一冊。「おわりに」に入れそびれたという「どんな人にも無駄な旅が楽しめて、のんびりと幸せを噛み締められるような日が、一日も早く訪れますように」という一文が、いやが上にもそのしんみりとした気分を高揚する。思わず芭蕉の一句「おもしろうてやがて悲しき鵜舟哉」が記憶の底からよみがえって口を衝く。

Posted byブクログ