乱れからくり 新装版 の商品レビュー
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
2024/9/9読了 これは面白かった! 本作の事件の皮肉で恐ろしい所は、真犯人の意図しない形で事件が進行し、しかも止めようが無かったという所なのだが、“ミステリ的な色眼鏡”で見れば、論理もへったくれもなく、割と簡単に犯人は判る筈なのだ。一族の人間が次々と変死して、最後の生き残りが犯人なんてチープな真相な訳が無いんだし。それが、ねじ屋敷の秘密やら、幕末に遡る因縁やら、敏夫の真棹への思慕の念やらが目眩ましになり、事件本体のトリックも、きちんと手掛かりは描かれていたことが、種明かしの段階で判って、「うわー、やられたー」という悦び(?)を久々味わえた。あとは、とにかくパワフルな宇内さん。約50年前にこのキャラ設定は、かなり攻めたものだったのではあるまいか?
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★5では足りないくらい面白かった。 ネタバレ厳禁なので、予備知識なしに読めてよかった。 これから読もうとしている人はレビューは見ない方がいい。 (いきなり犯人明かしちゃってるレビューがあるので) 主人公はボクサーを諦めた若い男の勝敏夫なのだが、働き口の調査会社で行動を共にするこ...
★5では足りないくらい面白かった。 ネタバレ厳禁なので、予備知識なしに読めてよかった。 これから読もうとしている人はレビューは見ない方がいい。 (いきなり犯人明かしちゃってるレビューがあるので) 主人公はボクサーを諦めた若い男の勝敏夫なのだが、働き口の調査会社で行動を共にすることになる元警官の女傑・宇内舞子のキャラが凄い。 物語(と読者)をグイグイ引っ張っているのは舞子だ。 物語の舞台となるのは、からくり玩具を扱う老舗の会社の経営者一族が住んでいる「ねじ屋敷」と呼ばれる屋敷。 不可解な死が続き警察も入り込んでいる中でさらに次々と起こる殺人事件。 殺人は、各人の生活習慣を見越した上で、必ず行われるであろう行動を利用している。 だが、いくら読み進めても犯人らしき人物が見えてこない。 誰が、何のために、連続殺人を行っているのか分からない。 最後に明かされる殺人の犯人とその「からくり」に納得。 愛一郎やヨギガンジーと異なり、おちゃらけ無しの本格ミステリー作品。 見事に読者を騙すストーリー展開と、仕掛けの巧妙さに脱帽。 補足: からくり玩具に興味がある人は、より面白く読めると思う。 最初にキツツキのオモチャが出てくる。 吸盤のついた足を壁に垂直に張り付けるとキツツキの動きをする。 中に入れてある砂の落下が生み出す力をキツツキの動きに変えたからくりオモチャだ。 メカニカルバンクは、硬貨を乗せると骸骨の手が出てきて掴み、箱の中に入れてしまうやつを持っていたことがある。 本書では「政治家」という、衣装の胸の隙間に硬貨を隠してしまうものが紹介されていて動きを想像してしまった。 本書に登場するもので圧巻は、「ねじ屋敷」に作られた「からくり迷路」だ。 これは文章だけでは理解しにくいので、図で示される。 計算されつくされた壮大な仕掛けが明らかになった時の驚きは半端ではない。
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ずっと読みたいと思っていた作品、新装版が出たので手に取りました。からくり人形の奥深さ、類を見ないトリック、思いがけない犯人と最後までハラハラしつつ楽しめます。
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