NHK100分de名著ブックス 戦争は女の顔をしていない アレクシエーヴィチ の商品レビュー
非常に平たく言うと「社会の勉強になった」という感想。 日本のニュースで流れている情報は、世界で起きていることのほんの一部を伝えているにすぎない。その一部でさえ、私はロクに見ていないんだけど…。 ロシア、ソ連の歴史は高校の世界史で習った記憶はあるけど、大学受験のために単語を覚えた...
非常に平たく言うと「社会の勉強になった」という感想。 日本のニュースで流れている情報は、世界で起きていることのほんの一部を伝えているにすぎない。その一部でさえ、私はロクに見ていないんだけど…。 ロシア、ソ連の歴史は高校の世界史で習った記憶はあるけど、大学受験のために単語を覚えた程度の記憶しかない。ゴルバチョフはニュースで記憶にあるけど、おでこのシミ以外に全く関心がなかった。ロシア文学といえばトルストイ、ドストエフスキーは知ってるけど読んだことはないし、「『罪と罰』『カラマーゾフの兄弟』『戦争と平和』をそれぞれ作者と紐付けしなさい」という問題が出たら、正しく答えられるかちょっと怪しい。 そんなレベル感なので、これを読んでちょっとは勉強になった。まぁ結局あんまりよくわかってないけど…。 逢坂冬馬の『同志少女よ、敵を撃て』がとてもよかったので、参考文献として出てきた『戦争は女の顔をしていない』に興味が湧いて図書館で検索した。「内容をざくっとかいつまめて、他の情報も効率良くゲットできたらシメシメ」と思って借りた。アレクシエーヴィチの著作のほうはいろんな意味で重そうなので、お手軽そうなほうに逃げたと言ってもいい。 『同志少女よ、敵を撃て』を書いたのが男性だと知って「ホントに男性が書いたの?」と思っていたけど、『戦争は女の顔をしていない』に影響を受けて書いたものだと知って納得。他にもマンガや映画、アレクシエーヴィチの本作に影響を受けた作品は色々あるのだと知った。 さらにアレクシエーヴィチが本作でノーベル文学賞を受賞したことを、この本を読んで知った。彼女の作品はどれも〈証言文学〉なのだという。本作は、戦争から帰還した女性兵士へのインタビューをまとめた内容のノンフィクション作品。これも、文学といえば文学なんだな、と。 ロシア語で「物語」と「歴史」は同じ単語だという話も興味深かった。 ロシアがウクライナを攻撃したことにも、本書は触れている。カインは何度アベルを殺すのか、という喩えがうますぎる。 「女の顔」ってなんだろう。 オシャレが好き? カワイイものが好き? 恋愛が好きとか? 料理とか美容に興味があるとか? うーん。私は女性だけど、タイトルにモヤモヤ感があった。「人を殺すのは女の仕事じゃない」って。いやいや、男性の仕事でもないよ、と思ってしまう。 ただ、従軍していた男性は英雄扱いなのに、女性は真逆の扱いだったソ連において、女性による女性の証言を集めた内容ってところに価値があるという社会的背景とか、もろもろ解説を読んで、声をあげることや、文字として残すこと、多くの人がそれを読むことの大切さはひしひし感じた。 アレクシエーヴィチの著作で、第二次世界大戦時に子どもだった人たちにインタビューした内容『ボタン穴から見た戦争』や、チェルノブイリ原発に関する住民の証言『チェルノブイリの祈り』など、巻末の読書案内に載っていた本も興味深い。世の中ホントに知らないことばかり。
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アレクシエーヴィチの著書「戦争は女の顔をしていない」を要約したNHKの番組「100分で名著」の同タイトル回の書籍化。 アレクシエーヴィチ本人が「もし現代で本作の取材活動を行った場合、思うように発言できない人が多いから証言が集まらないだろう」という旨の発言をしていることが触れられ...
アレクシエーヴィチの著書「戦争は女の顔をしていない」を要約したNHKの番組「100分で名著」の同タイトル回の書籍化。 アレクシエーヴィチ本人が「もし現代で本作の取材活動を行った場合、思うように発言できない人が多いから証言が集まらないだろう」という旨の発言をしていることが触れられている。どうしても他国の戦争は文字通り対岸の火事として見てしまい現代の戦争にリアリティを感じられないでいる身には、非常にショッキングだった。「歴史は繰り返す」と言うとき人は諦観とともに語るがなぜ人々が悲劇を繰り返そうとするのかを知るためにも様々な人に本著をおすすめしたい。
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本書はアレクシエーヴィチの『戦争は女の顔をしていない』を要約し、NHKテキストから加筆したものである。該当作品がボリュームが多かったので、なかなか読むに踏み切れず、そんな折に本書を見かけ、こちらを先に読む事にした。 結果読んで良かったと心から思っている。わかりやすかったし、より興...
本書はアレクシエーヴィチの『戦争は女の顔をしていない』を要約し、NHKテキストから加筆したものである。該当作品がボリュームが多かったので、なかなか読むに踏み切れず、そんな折に本書を見かけ、こちらを先に読む事にした。 結果読んで良かったと心から思っている。わかりやすかったし、より興味が湧き、アレクシエーヴィチ著の『戦争は女の顔をしていない』もやはりちゃんと読みたいと思っている。 第二次世界大戦、スターリンの独裁政権、前線に出た女性たち、その末路。そしてNHKチキストからの加筆分は現在のウクライナ侵略に関して。 これからも考えていきたい。
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原著を読んでみたくなった。 原著を基に内容をまとめながら補足説明、さらに当時と現在のロシアがどのような状況にあるのか、がわかりやすく書かれており興味深い。『戦争は女の〜』は漫画もあるそうなので気になる。
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