歌集 ソナタを弾こう の商品レビュー
松田わこ・梨子姉妹とその家族の第三歌集。瑞々しい言葉の中に二人の成長する姿がありました。光溢れる家族の日常詠です。 (わこさん)小五から高三の終わりまで、 (梨子さん)中ニから大学三年生の終わりまでの 短歌が詠まれています。 お母さんとお父さんの章もあり、短歌で繋がっている家族っ...
松田わこ・梨子姉妹とその家族の第三歌集。瑞々しい言葉の中に二人の成長する姿がありました。光溢れる家族の日常詠です。 (わこさん)小五から高三の終わりまで、 (梨子さん)中ニから大学三年生の終わりまでの 短歌が詠まれています。 お母さんとお父さんの章もあり、短歌で繋がっている家族って素敵だなぁと思いました。 〈天真爛漫なわこさん。のびのびと育っている様子が大らかな短歌から伝わってきました。〉 今日こそは地球のカラを破るぞと県庁前の噴水は元気 真っ白なジャージの背中も笑ってる空のにおいの教生先生 来年もこのワンピース着たいから私あんまり大きくなれない おはようと言って窓辺へ連れて行くママは優しいシクラメンにも わこ(10) 〈姉の梨子さんは穏やかで繊細な人。大好きな妹が時折眩しく感じてしまう。〉 妹はよく食べよく弾きよく甘え笑顔で眠る寝苦しい夜も 自由という言葉が好きな妹と雪を見ている窓にくっついて 大晦日そうじしたての部屋で読む芥川龍之介の「蜜柑」 梨子(13) 〈一緒に遊んでいた大好きなお姉ちゃんが少しずつ遠くなっていく。淋しい気持ちを詠んだわこさんの歌。〉 電車から見かけたねえちゃん友達としゃべってたすごい身ぶり手ぶりで お出かけはいつも制服でも私気付いてしまったねえちゃんの恋 高校の制服を着てねえちゃんはスイスイ泳ぐ大人の岸へ 歩くたび春の光が集まった入学式のリボンの結び目 サーティーン少し長めに言ってみる銀色の楽器みたいでステキ わこ(12) 〈受験生から高校生になる梨子さんの心の揺れが見えてくるような歌。〉 ぶた汁が私の体のすみずみにとどいて出かける高校受験 掲示板私の受験番号が私を見つけて飛びついてくる 妹がそれは恋だと断言しゆっくり回り始める風車 十七歳夢がゆっくり定まって巣立ちの準備始める私 梨子(15〜16) 〈後半からの短歌で心に響いてきたものをいくつかあげてみると… 〉 気が付いた十四歳の夏にしか弾けないショパンの「雨だれ」がある わこ(14) 模試のたび判定される私たちいつもミントの味がする日々 梨子(17) 中庭のロープが解かれ心臓と一緒にさがす受験番号 わこ(15) 新しい楽譜を買った春の日は靴も歩幅も私も音符 わこ(16) キャンパスの木という木ザッと揺らす風そういえば私もうすぐ二十歳 梨子(19) 中学生会社員そして高校生五分刻みで靴が駆け出す 大切な娘の巣立ち陣痛のころからのこと思い出す春 母・由紀子 妻長女次女に出会ってわが旅路世界一周よりおもしろい 父・徹
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10代の等身大の作品がめちゃめちゃかわいいです。 明るくてまっすぐな姉妹が綴る短歌はどれもまぶしく愛しく思いました。 松田さん一家の幸せを願わずにはいられませんし、この先なにがあっても、きっと仲良く乗り越えていかれるのだと思います。
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一読して大ファンになった松田わこちゃん、梨子ちゃんご家族4人の第三歌集。 第一歌と第二歌集は絶版で手に入らなかったのです。 5552さんの本棚登録で発売を知りました。 5552さんありがとうございます。 小学五年生から高校三年生の終わりまでのわこちゃんと、中学二年生から大学三年...
一読して大ファンになった松田わこちゃん、梨子ちゃんご家族4人の第三歌集。 第一歌と第二歌集は絶版で手に入らなかったのです。 5552さんの本棚登録で発売を知りました。 5552さんありがとうございます。 小学五年生から高校三年生の終わりまでのわこちゃんと、中学二年生から大学三年生の終わりまでの梨子ちゃん。 いつも、みんな家族のことばかり考えているとても仲の良い家族です。 自分自身の歌より家族の歌が多いです。 わこちゃん、梨子ちゃんだけでなく、お父さん、お母さんもです。 読んでいてとても楽しく明るい気持ちになれます。 好きな短歌に付箋を貼っていたら特にわこちゃんの歌が私は好きで全部で付箋三十枚以上貼りました。 その中から厳選に厳選して半分ほどの歌をお送りします。 <青じそのおいしさに気づいた私こうして人は大人になるんだ> わこ(10) <来年もこのワンピース着たいから私あんまり大きくなれない> わこ(10) <先生がうちのソファーで笑ってるやっぱり不思議家庭訪問> わこ(11) <おそろいの風邪を家族でひきましたのどが痛くて静かな土曜> わこ(11) <電車から見かけたねえちゃん友達としゃべってたすごい身ぶり手ぶりで> わこ(12) <お出かけはいつも制服でも私気づいてしまったねえちゃんの恋> わこ(12) <水色のパジャマで眠る夜だから涼しい夢を予約しておく> わこ(12) <パパ似ともねえちゃん似ともママ似とも言われる私どれもうれしい> わこ(12) <掲示板私の受験番号が私を見つけて飛びついてくる> 梨子(15) <ママとパパ私でガヤガヤねえちゃんの不器用すぎる恋を見守る> わこ(12) <後悔をよく噛んで一つ食べましたカステラ色の月を見ながら> わこ(12) <本当の恋をしたなら恋の歌なんてとっても作れっこない> 梨子(15) <めずらしく家族がそろうティータイムパパも仲間に入れて恋バナ> 梨子(15) <眠る前またうれしくて思い出す「お嬢さま」って呼ばれたランチ> わこ(14) <一日中冗談ばかり言う母は父を選んだたいした目利き> 梨子(17) <久びさの同窓会へ行く母がウキウキ入りのカレーを作る> わこ(15) <もう家に小さい子供はいないのに母のカレーは今日も甘口> 梨子(18) <新しい楽譜を買った春の日は靴も歩幅も私も音符> わこ(16) <ねえちゃんを想ってくれる人がいて今日はほのぼのレモネード日和> わこ(16) <自立ってもしかして母のコロッケがなつかしい思い出になること> 梨子(19) <反抗期の子の言い分はぐちゃぐちゃでめちゃめちゃでたまに鋭く光る> 由紀子 <いつだって熱くおいしくたくましくぎょうざのような母でありたい> 由紀子 <なれそめを聞きたがる子がポコポコと二杯目注ぐ結婚記念日> 徹 <妻長女次女に出会ってわが旅路世界一周よりおもしろい> 徹
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