俳優たちのテレビドラマ創世記 の商品レビュー
「俳優たちのテレビドラマ創世記」という題名ですがこの記録の幹になるのは嶋田親一という出来たばかりのフジテレビの局員でありディレクター、その後プロデューサーになり、のちに制作会社の社長にもなったザ・テレビマンの人生です。彼のドラマに出演した俳優たちが生い茂る葉として次々現れるので「...
「俳優たちのテレビドラマ創世記」という題名ですがこの記録の幹になるのは嶋田親一という出来たばかりのフジテレビの局員でありディレクター、その後プロデューサーになり、のちに制作会社の社長にもなったザ・テレビマンの人生です。彼のドラマに出演した俳優たちが生い茂る葉として次々現れるので「俳優たちの…」という題名になったものと思われます。去年亡くなった山田太一、また倉本聰のような誰もが知る脚本家や、また後に作家になる久世光彦、テレビマンユニオンを作った今野勉のような知る人ぞ知る人でもなく、本書で初めて知った人物ですが、その仕事人生は生まれたてのテレビドラマの記録として貴重なものでした。「私は貝になりたい」のような作品として後世に語られるものではなく、いや名作と言われないからこその苦労はとても興味深かったです。出身の新国劇との関係、映画界の五社協定の崩壊、俳優個人個人のライフストーリー、後発局としてのビジネス面、いろいろ模索しながらテレビドラマというジャンルが生まれたのです。意外だったのは毎年一回の「芸術祭参加」というイベントへの視線。テレビドラマという表現へのプライドと葛藤を掻き起こす存在だったことを感じました。どんなジャンルでもジャンル創生のスター物語は語られやすいですが、いぶし銀の「ドラマ屋人生」満喫しました。でも、嶋田さんも佐久間良子と週刊誌で話題になったりして十分、派手なんですけど…
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