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サイバースペースの地政学 の商品レビュー

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6件のお客様レビュー

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2024/09/03

サイバースペースの地政学 著:小宮山 功一朗 著:小泉 悠 ハヤカワ新書 026 いきなりデータセンターである ネットワークの7層のうちの下1層、物理層がデータセンターのきもである 千葉ニュータウンにあるデータセンター そのインフラエンジニアの聖地が、本書のテーマである なぜ...

サイバースペースの地政学 著:小宮山 功一朗 著:小泉 悠 ハヤカワ新書 026 いきなりデータセンターである ネットワークの7層のうちの下1層、物理層がデータセンターのきもである 千葉ニュータウンにあるデータセンター そのインフラエンジニアの聖地が、本書のテーマである なぜ、千葉ニュータウンなのか ・北総台地の地盤が堅固で、地震を含めた災害リスクが低い ・都心から、30~40Kmという比較的交通アクセスのよい土地である そして、データセンターが集まり出すと ・電力会社は、特別高圧電力の供給を ・通信会社は、高速で、安定した通信回線を、この地に優先して供給するようになる つまり、一度、データセンターが集まり出すと、ネットワーク効果が生まれ、さらなるデータセンターを 呼び寄せることとなる 日本と海外とのインタネット通信量は、99%が海底ケーブルだ 2024年01月現在、世界には、574本、総延長140万kmの海底ケーブルが存在している 海底ケーブルのルートは、19世紀に往来が活発であった海の交易路と似ている マラッカ海峡やスエズ運河などの海上交通の要衝は、海底ケーブルのルートしても、やはり重要なポイントである 実際のデータセンターでの電力消費量は、機器そのものの電力量ではない、機器を最適に保つための冷却装置の電力量、つまり、空調費用がふくまれている データセンターとは過酷なところ ・寒い ・湿気が大敵、長時間いれば、肌がカサカサになる ・うるさい、キーンというファンのノイズが、センターには満ちている ・特殊なにおいがする ここでいうリスクとは、中国の漁船に誤ってケーブルを切断されたり、ロシアの攻撃にさらされないように管理しようだ 目次 はじめに 第1章 「チバ・シティ」の巨大データセンター―千葉ニュータウン 第2章 日本がサイバースペースと初めて繋がった地―長崎市 第3章 ケーブルシップの知られざる世界―長崎市西泊 第4章 AI時代の「データグラビティ」―北海道、東京 第5章 海底ケーブルの覇権を巡って―新たな戦場になる海底 第6章 ポスト帝国のサイバースペース―エストニア、ロシア おわりに 謝辞 ISBN:9784153400269 出版社:早川書房 判型:新書 ページ数:208ページ 定価:1000円(本体) 2024年06月25日初版発行

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2024/08/26

サイバースペース、とは言いながらも データセンターや海底ケーブルなどの物理的な実体やその設置場所からは逃れられない、という事実を改めて考えさせられる本。

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2024/08/15

現代の人間にとってサイバー空間なしの生活は考えにくい。 しかしサイバー空間は当然データセンターや海底ケーブルという物理的インフラがあることで成立している。 物理的なものであるので、機械は電力を大量に消費するし、ケーブルは破損する。 また利用者とデータセンターの通信距離が遠い場合、...

現代の人間にとってサイバー空間なしの生活は考えにくい。 しかしサイバー空間は当然データセンターや海底ケーブルという物理的インフラがあることで成立している。 物理的なものであるので、機械は電力を大量に消費するし、ケーブルは破損する。 また利用者とデータセンターの通信距離が遠い場合、わずかな通信遅延も発生する。 データセンターが集まる地域はサイバー空間を含めた地政学的な重心と言える。 海底ケーブルの脆弱性にも注目が必要である。 攻撃側が海底ケーブル破壊にかけるコストは防御、修復側のコストに対して圧倒的安価となるため、攻撃側が有利になる。 筆者のうち一人の小泉氏は専門はロシアの軍事安全保障だが、 過去にサイバーセキュリティシンポジウムで基調講演されていたことを偶然拝見している。 本書でもロシアを切り口にしながらもある種普遍的な問題提起をなされている。 サイバー空間を守りたい人、すなわち現代人の全てに読んで欲しい一冊。

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2024/07/26

サイバースペースの物理的実体を捉えて、有事の際のリスクを考えてみようという本。面白かった。 インターネット/サイバースペースは、利用者側からはバーチャルな空間と認識されがちだが、当然物理的な実体を伴っている。 それは物理的なサーバ群であり、それを収容するデータセンター(DC)で...

サイバースペースの物理的実体を捉えて、有事の際のリスクを考えてみようという本。面白かった。 インターネット/サイバースペースは、利用者側からはバーチャルな空間と認識されがちだが、当然物理的な実体を伴っている。 それは物理的なサーバ群であり、それを収容するデータセンター(DC)であり、そこに電力を供給する送電網であり、国間を繋ぐ海底ケーブルだったりする。これらは有事には攻撃対象となり、平時には諜報の対象となる。 個人的には、本書でも紹介されている千葉ニュータウンの某DCに行ったことがあるのだが、千葉ニューって他にもDC多いよな、地盤が硬いのかな?などと呑気に考えていた。本書を読むと、理由はそれだけではないことがわかる。一つDCができると、回線業者が通信回線を増強し、電力会社が送電網を強化する。そうすることで、DCに適した環境になる。そうすると、他の事業者がその地域にDCを新設しやすくなる、みたいなメカニズム。 そうやって集まったDCは有事には敵国からの攻撃対象になる可能性があり、ITインフラの重大なリスクであるとの視点が提示される。 他にも海底ケーブルの敷設や補修の話も興味深い。普段意識しない、知らない世界を垣間見れる本でした。これは男の子が好きなヤツですわ。

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2024/07/12

元同僚がたいへん面白い本を出したから読んでちょ、というので早速買って読んだ。 インターネットが50年の歴史を経て、サイバースペースという名前で呼ばれる大きな大樹(ツリー)に成長したとすると、本書で語られるのはこのツリーの地下茎、海底ケーブルとデータセンターで(データセンターに根...

元同僚がたいへん面白い本を出したから読んでちょ、というので早速買って読んだ。 インターネットが50年の歴史を経て、サイバースペースという名前で呼ばれる大きな大樹(ツリー)に成長したとすると、本書で語られるのはこのツリーの地下茎、海底ケーブルとデータセンターで(データセンターに根っこのアナロジーは少し違和感があるが、目に見えないリゾームの塊ということで)、サイバー空間の健康は根っこの健康と表裏一体であることが本書を読むとよく分かる。根っこだけに日の目をみることは平時はないが、ツリーに異常があれば根の健康を疑えということだ。 インターネットというツリーは本当におもしろくて、レガシーなテクノロジーと最新鋭のテクノロジーが年輪のように50年分刻まれて(いまも有効で)いるけれど、根っこがやられると栄養がまわらなくなるので再生スピードが重要になってくる。 あと、本書を読んであらためて、ポイントtoポイントの暗号化ではなく、エンドtoエンドの暗号化も忘れてはならんと思った。

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2024/06/22

サイバー空間の複雑なリスクとその影響を学び、非常に興味深く感動しました。著者が取り上げた千葉のデータセンターやエストニアの事例を通じて、情報インフラの安全保障の現状が鮮明に描かれており、特にサイバー攻撃の特定の難しさやサプライチェーンの脆弱性についての洞察が印象的でした。現代のサ...

サイバー空間の複雑なリスクとその影響を学び、非常に興味深く感動しました。著者が取り上げた千葉のデータセンターやエストニアの事例を通じて、情報インフラの安全保障の現状が鮮明に描かれており、特にサイバー攻撃の特定の難しさやサプライチェーンの脆弱性についての洞察が印象的でした。現代のサイバーセキュリティの課題を深く理解する良い機会となり、内容の豊富さに感心しました

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