夏目漱石ファンタジア(2) の商品レビュー
樋口一葉の体で蘇った夏目漱石と北里柴三郎の戦い。 相変わらずいい意味で「なんだこりゃ」でした。北里柴三郎と野口英世と森鴎外の医者論の戦いがメイン。夏子さんは今回は脇役かな。ぶっ飛んでて楽しめました!
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夏目漱石が主人公であり、第1巻にて幾人もの文豪が登場した為に本作は文豪の物語なのだと思っていたけど、第2巻はまさかの医者の物語となったね 野口英世に北里柴三郎に森鴎外、日本史に残るレベルの偉人が拳にて語り合ったのは医者としてどう在るべきかという矜持 1巻から主題となる職業は...
夏目漱石が主人公であり、第1巻にて幾人もの文豪が登場した為に本作は文豪の物語なのだと思っていたけど、第2巻はまさかの医者の物語となったね 野口英世に北里柴三郎に森鴎外、日本史に残るレベルの偉人が拳にて語り合ったのは医者としてどう在るべきかという矜持 1巻から主題となる職業は変わったものの、漱石が北里柴三郎に会う前に彼について語っていた言葉に現れているように、『自分が世の中に何を残せるか』という点は2巻においても共有されている そして医療技術の進歩も変遷も激しかった時代において、世の為に医療技術はどう在るべきかを真剣に考えていたのが本作においては北里柴三郎と森鴎外となるのだろうね その意味では今巻の夏目漱石は完全に巻き込まれた側と言える。むしろ医者の極地に居る二人への因縁を持つのは野口英世の方か 北里柴三郎の弟子として才能を見出されながらも、ある一点を許せなかった事や樋口一葉への傾倒から森鴎外の側へ 幼い頃より恵まれなかった彼は神を許す事なく人の命の価値だけを信じて生きてきた そんな彼にとって多くの命の行く末を左右できる立場に居ながら、貧者の命を軽視する立場を取った北里を許せなかったのだろうね。そして、それは脚気の真実を隠して陸軍で多大な犠牲を出した森鴎外も言える事 偉大な医者二人を喰らおうとする英世はそれこそ世界を喰らうヘビのような存在 漱石の相棒として確立されつつある彼の人間性がこれでもかと描かれていたよ 他に言及したくなるのは1巻との構成の違いかな 1巻において敵の正体は掴めず、様々な事件や心の変化を経て隠された大ボスへと行き着いた けれど、今巻では大ボスは序盤から明確だね。とんでもなく強い北里柴三郎はどのような理由でその強さを手にしたのか、そしてどのような理由で漱石達の前に立ち塞がるのか 後書きでも少し言及されているけれど、大ボスは誰なのかという点よりも、何故大ボスは大ボス足り得るのかという点を探る物語と成っているように感じられたよ それにしては、北里は強いにも程がある人物だったけどさ 巻の冒頭から両腿に電池を括り付けて大立ち回りを演じて、成婚率150%の究極仲人を自称したり、最終的に鬼の手だからメスなど要らぬなんて言ってたり 作中でも突っ込まれたけど、これもう人間辞めてるレベルですね(笑) 終盤の激闘は読んでいるこちらまで興奮させるほどの凄まじい激闘だったのだけど、それを演じるのが50代60代の医療従事者というのが何かとんでもないなという気分にさせる…… まあ、第1巻の時点で格闘戦を演じていたのが小説家の時点でそういう事を考えるのは野暮なんだろうけどさ 後、今の時期に北里柴三郎をメインに使って、ちょい役で津田梅子も登場するなら、あの人物も登場するのではないかと予想していたのだけど、流石に無かったか てか、改めてお札の顔になった人物を調べてみると、本作の登場人物多いな……
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