平熱のまま、この世界に熱狂したい 増補新版 の商品レビュー
本屋でタイトルに惹かれ手に取って、「打算的な優しさと〜」を少し読んで購入を決め、「35歳問題」で毎週父の見舞いに帰省した事を思い出し感傷的になり、「ヤブさん、〜」で思わず破顔し、好きな作家さんがまた増えた。
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エッセイといえば日常のクスッとしたことや、モヤモヤしたことを描いた軽い作品、というイメージでした。 それに比べてなんと知的なことか。 心に刺さることを書こう、とか 哲学的なことを書こう、として書いていないのに、結果としてそうなっている。 また引用される文献のすべて未読、どころ...
エッセイといえば日常のクスッとしたことや、モヤモヤしたことを描いた軽い作品、というイメージでした。 それに比べてなんと知的なことか。 心に刺さることを書こう、とか 哲学的なことを書こう、として書いていないのに、結果としてそうなっている。 また引用される文献のすべて未読、どころか存在もしらないものばかりで、 なのにそこから導かれる内容には納得できる。読み直すことでまた違う価値観を見つけそうな作品です
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なんて逆説的なタイトルか!と惹かれて書店購入。 読んでみて、私が思う本書の キーワードは『凪』や『平熱』。 社会(自分を取り巻く世界)と 調和しながら生きていくためのヒントだなぁ。 自分を取り繕うのではなく、 自分の弱さと思う部分や、 変化することをありのままに受け入れて...
なんて逆説的なタイトルか!と惹かれて書店購入。 読んでみて、私が思う本書の キーワードは『凪』や『平熱』。 社会(自分を取り巻く世界)と 調和しながら生きていくためのヒントだなぁ。 自分を取り繕うのではなく、 自分の弱さと思う部分や、 変化することをありのままに受け入れてみる。 まずはそこから。 この世界に辟易したり、嘆き、何者かになろうと必死に焦るのではなく、 わたしたち一人一人の人生を鷹揚に送るためのメッセージが詰まった本だと思った。
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面白かったなぁ。 物書きとしての知識量や現象に対しての向き合い方が程よい。 遠すぎもなく、近すぎもなく。 ものを自分の世界で見るコツを教わった気がする。 序盤は筆者の人生にまつわること。 後半はこれからの人生も見つめている。 平熱のままこの世界に熱狂したい、という言葉には納得で...
面白かったなぁ。 物書きとしての知識量や現象に対しての向き合い方が程よい。 遠すぎもなく、近すぎもなく。 ものを自分の世界で見るコツを教わった気がする。 序盤は筆者の人生にまつわること。 後半はこれからの人生も見つめている。 平熱のままこの世界に熱狂したい、という言葉には納得できるものがあった。それを感じるために生きているんじゃないかと思うほどに。 オレンジアンドタールで言えば、オーリーをする瞬間、星野源で言えば、世界はアメーバ状になるみたいなことだろう。 いずれにしても、学びの多い本になったことは間違いない。日常を丁寧に生きる!
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昔はエッセイ好きだったけど、近年は著者のエゴの匂いが気になって読めなくなっていた。本書は、解説でも指摘されているが、著者が自意識との距離感がうまいので、読める。 例えば、アルコール中毒が原因で離婚した話、東京の西の郊外出身であること、35歳問題(同世代なのでよくわかる)、フィッシ...
昔はエッセイ好きだったけど、近年は著者のエゴの匂いが気になって読めなくなっていた。本書は、解説でも指摘されているが、著者が自意識との距離感がうまいので、読める。 例えば、アルコール中毒が原因で離婚した話、東京の西の郊外出身であること、35歳問題(同世代なのでよくわかる)、フィッシュマンズや東畑開人の引用など。背伸びしていないし、小手先ではなく、ちゃんと自分が身銭を切ったもの、人生の時間をかけたものというフィルターをかけてから書いていることがわかる。 ただ、不満もあって、①自分は弱いみたいな認識は、あえて表明することではないように思う。上に書いたことと矛盾するけど、②背伸びをしな過ぎと思う。その慎ましいスタンスは同時代の自分も取りがちだが、そこが鼻につく時もある。 解説が山本貴光・吉川浩満という意外性。たしかに、引用うまい。
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多くの人は飾ったり隠したりするようなことも、あまりに率直に語られるのでこういう知り合いがいたような気がしてしまう。とてもさらっと読めて、大事なことを読み落としているような気がする。 折り返し地点の栗の木。今をとらえる。
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文芸評論家・エッセイストの宮崎 智之さんのエッセイ本。全員に読んでみてほしいと思える一冊だった。 2024年現在、文學界で「新人小説月評」という歴史ある書評コーナーを担当されている宮崎さん。本文で用いられる引用のドンピシャ度が半端なく、万葉集から音楽まで多ジャンルに及ぶのが圧巻...
文芸評論家・エッセイストの宮崎 智之さんのエッセイ本。全員に読んでみてほしいと思える一冊だった。 2024年現在、文學界で「新人小説月評」という歴史ある書評コーナーを担当されている宮崎さん。本文で用いられる引用のドンピシャ度が半端なく、万葉集から音楽まで多ジャンルに及ぶのが圧巻だった。 誰がどこに何をどんなニュアンスで書いていたのか、それが自分の伝えたいことをどう裏付けするのか、宮崎さんの尋常ではない読書量の一部をお裾分けいただいたようで、全てのエッセイをワクワクしながら読んだ。 アルコール中毒と離婚を体験し、それが宮崎さんの人生を語るに切り離せない切実なものとなっていること。自分の弱さを心から認めることで、見えてきた本当の自分。これほどまできちんと、誤魔化すことなく自分と向き合っている人を知らない。全てに一生懸命取り組むしかないという覚悟が伝わってきた。 ———紹介(公式より)——— アルコール依存症、離婚を経て、取り組んだ断酒。自分の弱さを無視して「何者か」になろうとするより、生活を見つめなおし、トルストイとフィッシュマンズなどに打ちのめされながらも、すでにあるものを感じ取るほうが人生を豊かにできると確信する。様々な文学作品を引きながら、日常の風景と感情の機微を鮮やかに言葉にする。新たに3篇を加え増補新版として文庫化。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
エッセイはこれまでも好きだったが、それはエッセイの中に表れる筆者の棘、毒っ気の痛快さや新鮮さへの感動という意味合いが強かった。 この本には棘や毒っ気を全く感じなかった。それでも不思議とこの本はすごくささった。解説で述べられているように筆者の飄然さ、自己愛との付き合い方の上手さが文章をとても魅力的なものにし、読者を惹きつけるのだろう。
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気持ちが湧き上がるでもなく、前を向かせるわけでもない。 ただ、今と日常を愛おしく思う、そんな作品でした。
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それなりに人生経験を積むうちに、ひとりでは生きていけないことや、人生には理屈だけで割り切れるものが少ないこと、人間は脆くて壊れやすいこと。そんな当たり前のことが、徐々にだがわかるようになってきた。 冒頭の文章の、このレベルをクリアできていない自分は、何とも半人前だなと絶望的な気分...
それなりに人生経験を積むうちに、ひとりでは生きていけないことや、人生には理屈だけで割り切れるものが少ないこと、人間は脆くて壊れやすいこと。そんな当たり前のことが、徐々にだがわかるようになってきた。 冒頭の文章の、このレベルをクリアできていない自分は、何とも半人前だなと絶望的な気分で通読した。 白と黒ではなくて、グラデーションの問題なのだけど、ちょっと侘しい気持ちが残る。
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