眠れない夜に思う、憧れの女たち の商品レビュー
同著者の「清少納言を求めて、フィンランドから京都へ」がすごく好きだったので、その数年後に書かれたこちらも読んでみたら、すごくよかった。 あんなふうに生きていけたら、と著者が憧れる女性たちについて調べ、そうした女性たちの人生をなぞるように旅に出たりしながら書いたものだけど、研究とエ...
同著者の「清少納言を求めて、フィンランドから京都へ」がすごく好きだったので、その数年後に書かれたこちらも読んでみたら、すごくよかった。 あんなふうに生きていけたら、と著者が憧れる女性たちについて調べ、そうした女性たちの人生をなぞるように旅に出たりしながら書いたものだけど、研究とエッセイと紀行文が入り混じった著者独特のスタイルがやっぱりとてもいい。憧れの女性たちへあてる手紙だとかもあったりして、ユニークでおもしろい。 その憧れの女性たちは、十九~二十世紀の女性探検家たちやルネサンス期の女性芸術家たち。探検家のカレン・ブリクセン(「アフリカの日々」を書いたイサク・ディネセン)やイザベラ・バードは知ってるけど、芸術家たちについては草間彌生以外はきいたこともなかった。 女性たちの共通点は、どんな障害があってもとにかく自分がしたいことをして自由に生きた、ということ。そもそも彼女たちの時代は女性が好きなように生きられるような時代ではまったくなかったし、お金の問題とか自身の病気とかどうにもならないような困難もあったりして、さまざまな障害があったけれども、それでもなんとか、本当に死ぬ思いで道をひらいて自立して、自由に生きたっていう。 著者自身も、40代独身、文筆業を続けるにも資金のこともあるし、体調も不安定だったり、結婚もしないでこれでいいのかとか悩んだり、しょっちゅう自虐とか弱音とか愚痴も出てくるのだけどそこがいい。共感できる。そしてそういう思いはまた、大昔の女性探検家たちや芸術家たちとも共通する思いだったりする。好きに生きようとするときに感じる、自分勝手する罪悪感とか、分不相応じゃないかと思うこととか、まわりの期待に応えたいと思うこととか、世間にどう見られるか気にすることとかも。自分の気持ちに正直になるのは難しい、生き方を変えるのは難しい、っていう。 カレン・ブリクセンにならってアフリカに出かけてタンザニアの村に滞在してサファリキャンプに行ったりするところは紀行エッセイとしてもおもしろかった。病気や動物にやたら怯えてたり、旅行大好き!みたいじゃなくて腰が引けてる感じが好ましい笑。 とにかく、読んでいると、自分の好きなように生きたいと思ってもいいんだな、と思えるところがよかった。 わたしなんかは、実際にそうできるかは難しい、と思ってしまうけれども、気持ちだけは、好きなように生きる、と思って生きていこうと励まされるというか。
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一般的な(保守的な)社会からはみ出している気がして自由と孤独の狭間で悩む筆者。 憧れの女性たちの足跡を追って旅をしながら、彼女たちの勇気や弱さに共感したり幻滅しながら新たなイメージと世界を手に入れていくフェミニズム旅行記。 個人的には60歳過ぎてから過酷な旅は遠慮したいけど、...
一般的な(保守的な)社会からはみ出している気がして自由と孤独の狭間で悩む筆者。 憧れの女性たちの足跡を追って旅をしながら、彼女たちの勇気や弱さに共感したり幻滅しながら新たなイメージと世界を手に入れていくフェミニズム旅行記。 個人的には60歳過ぎてから過酷な旅は遠慮したいけど、自由に旅するための心の若さや健康、健脚、スキルは意識していきたいと思った。
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第1部が読み辛く読むのを止めようかと思ったが、第2部のイザベラバートは読みたかったので読み辛いところは飛ばしました。2部以降で先達たちを解説したところはとても面白く興味深く読みました。非常に申し訳ないけど、筆者の現状考え感想が読みずらい原因…いや、私が筆者の私生活に興味が持てない...
第1部が読み辛く読むのを止めようかと思ったが、第2部のイザベラバートは読みたかったので読み辛いところは飛ばしました。2部以降で先達たちを解説したところはとても面白く興味深く読みました。非常に申し訳ないけど、筆者の現状考え感想が読みずらい原因…いや、私が筆者の私生活に興味が持てないせいかもしれません。
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ミアは、いつも等身大の自分を見せてくれる。 眠れない夜を見せてくれる。冒険物語にはない、不安や葛藤も隠すことがない。 気がつけば自分と少しずつ近づいていって、溶け込まれるような感覚に陥る。 ミアの奮闘がひしひしと伝わってきた。
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