なめらかな人 の商品レビュー
タイトルに惹かれて借りてみた!内容を知ったのは借りてみてからで、いつもエッセイストのエッセイばかり読んでいるので、美術アーティストのエッセイなんて新鮮だった。五感を研ぎ澄ませて読むのがポイントなんだろうけど、この急に寒くなった気候に負けつつ、逆に鈍化している時に読んでしまった…
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アーティストならではというのか、五感に訴えてくるような表現が多く、とても刺激的だった。 自分の感覚が研ぎ澄まされていくような感覚がとても気持ち良いエッセイ。 感性を豊かにしたいときにもう一度読みたい。
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現代美術のアーティストのエッセイ。 今年読んだエッセイで1番良かった。 助走が限りなく少なくてスピードがある文章。 淡々と衝撃的なことが書いてあるのも湿度がなくて重くない。 繊細そうな文章を書きそうだと思っていた著者がわりとサッパリした覚悟のある文章を描くのは今までの生き方の葛藤...
現代美術のアーティストのエッセイ。 今年読んだエッセイで1番良かった。 助走が限りなく少なくてスピードがある文章。 淡々と衝撃的なことが書いてあるのも湿度がなくて重くない。 繊細そうな文章を書きそうだと思っていた著者がわりとサッパリした覚悟のある文章を描くのは今までの生き方の葛藤や模索からくる強さなのかもしれない。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
寡聞にして未知だった百瀬文という美術家の、心と身体を削り取るように書かれたエッセイは、それでも削り取られているのは彼女のほんの表層でしかなく、その奥にしかと息づく骨までは決して削り取ることはないのだろう、という気がしてならない。 けれどそれは決して表面的なことしか書いてない、なんて薄っぺらい感想には届かないほどの厚みのある表層であるから手ごわい。 なめらかな人になりたくてVOI脱毛をし子どものままの身体を手に入れ、三人の男性たちと一緒に暮らす彼女は、幼いころに手に入れることのできなかった「母親」との蜜月、身体的接触と精神的抱擁にまみれた濃厚な関係をやり直す、生き直しの延長線上にいるのだろう。 彼女がともに暮らす三人の美術家たちは、それぞれに彼女との(外から見たら)いびつな関係の中で彼女の脱皮を手伝っているような気がする。 彼女が1つずつ自分の中のこだわりと矛盾を自覚し手放していけるように、ただそばにいてくれる「家族」の様に。 読みながら「本質」という波にさらわれそうだった。頭がぐるぐるする。大切なことが頭と心から漏れ出してしまうのを必死に抑えている。
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