マリリン・トールド・ミー の商品レビュー
いやちょっと、傑作! 山内マリコ作品は気軽にスカッとしたシスターフッドを読めるところに信頼をおいていたけど、マリリン・モンローというアイコンを据えることで、こんなにも現代の私たちがエンパワメントされる物語が生まれるとは。マリリンをフェミニズムアイコンと再解釈する面白さと説得力に、...
いやちょっと、傑作! 山内マリコ作品は気軽にスカッとしたシスターフッドを読めるところに信頼をおいていたけど、マリリン・モンローというアイコンを据えることで、こんなにも現代の私たちがエンパワメントされる物語が生まれるとは。マリリンをフェミニズムアイコンと再解釈する面白さと説得力に、どんどん没入させられてしまった。 10数年前の女子大生としては、これだけジェンダーに関して解像度の高い大学生が羨ましいし、もう一度生き直したささえある(コロナ禍の閉塞感は想像を絶する堪らなさだろうけども)。だけどそれを生きた元22歳として、杏奈ママのような大人になることを目指すよ。物語ラストの開放感が、本当に爽やかな読後をもたらしてくれた。
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コロナの時代の大学生ってこんな感じなのか。じっくりと考えるには適していたかもしれないけれど、仲間との交流が少ないのは寂しいね。
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山内マリコさんの作品は今のところハズレがないし、クスッと笑える所も多いからこのかわいい表紙の新作も気になって読んでみたけど、今回はとても深かった。 セックス・シンボルのイメージがこびり付いているマリリン・モンローを題材に、昨今の女性に対する酷い扱いやコロナ禍における大学生生活、そ...
山内マリコさんの作品は今のところハズレがないし、クスッと笑える所も多いからこのかわいい表紙の新作も気になって読んでみたけど、今回はとても深かった。 セックス・シンボルのイメージがこびり付いているマリリン・モンローを題材に、昨今の女性に対する酷い扱いやコロナ禍における大学生生活、そして何も見えない将来に対する不安等々テーマが盛り沢山で色々考えさせられたし勉強になった。 マリリン・モンローのイメージ大分変わったなー。 ただただセクシーなだけだと誤解され続けているけど、本当はフェミニストアイコン的存在、女性の人権侵害問題にちゃんと声を挙げた偉大な人だったんだな。 彼女が出ていた映画も観てみたくなった! あと最後の「自分が存在しているだけで誰かの支えになっている」って物凄い名言だなって思ったし、この言葉に私自身も救われた! 小さな幸せがたくさん転がっている、そんな日常を大事にしたいなって思い直せた作品。
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とにかく表紙に惹かれて図書館で借りてみた本作。 や。なんな深いわ。 モンローと今のジェンダー問題がきちんと繋がっていてなるほどと思ってしまった。 日本の政治家がクソだということ、とても納得してしまった。 日本に限らずどこの国でも女性の地位って昔から 、昔も低かったんだろなぁ。 杏...
とにかく表紙に惹かれて図書館で借りてみた本作。 や。なんな深いわ。 モンローと今のジェンダー問題がきちんと繋がっていてなるほどと思ってしまった。 日本の政治家がクソだということ、とても納得してしまった。 日本に限らずどこの国でも女性の地位って昔から 、昔も低かったんだろなぁ。 杏奈のママが理解があってカッコよかったな。
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私が学生の頃は女性論と呼ばれていた。 今はジェンダー論と呼ばれいてる。 議論は盛んになり、意識は深くなっても、それは社会全体で見れば、ごく一部にとどまっている気がする。 私はこの小説をとてもよくまとまっていて、それこそジェンダー論の課題図書に推薦したいけど、読んだ人が同じ想いを抱...
私が学生の頃は女性論と呼ばれていた。 今はジェンダー論と呼ばれいてる。 議論は盛んになり、意識は深くなっても、それは社会全体で見れば、ごく一部にとどまっている気がする。 私はこの小説をとてもよくまとまっていて、それこそジェンダー論の課題図書に推薦したいけど、読んだ人が同じ想いを抱くのかは自信がない。 作中、主人公杏奈のゼミの指導教官が学生へのはなむけに語る言葉に共感できるのは、ここまで生きてきて、いろんな想いを抱えてきたからだ。 ああ、もどかしい。 私自信も分かった気になってるだけで、視点を変えたら何一つ理解してなかったかも。 マリリン・モンローの描写と杏奈のママが語る部分にはっとさせられた。
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東京の大学に通う一人暮らしの瀬戸杏奈は、自宅から持ち込んだプリンセステレフォンから突如マリリンモンローからの電話を受ける。 これをきっかけに杏奈はマリリンモンローについて想いをよせていく。 当時の映画界の権力者から生活や資金面で搾取を受けながらも、セックスシンボル的なアイコンに抗...
東京の大学に通う一人暮らしの瀬戸杏奈は、自宅から持ち込んだプリンセステレフォンから突如マリリンモンローからの電話を受ける。 これをきっかけに杏奈はマリリンモンローについて想いをよせていく。 当時の映画界の権力者から生活や資金面で搾取を受けながらも、セックスシンボル的なアイコンに抗い自らの道を切り開こうと苦闘する。 モラトリアムでしかなかった杏奈の大学生活に、女性への熱い想いを惹起したマリリンモンローの存在に読者も感化されずにはいられなかった。
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感想 勉強するのはなぜか。世界を広げる。難しいことなんかしなくても良い。常に新しい知見を取り入れる。使えるものは血肉とする。それでいい。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
コロナ禍での大学進学。入学式も無し、授業もオンラインのみ。誰とも合わない、誰とも分かち合えない不安のひとり暮らし。 あの時、日本中にどれだけの杏奈がいたか。 新しい暮らし、新しい人生の一歩、それが凍結されたまま過ごした二年間。 気付いたらもう大学三年生、急に突きつけられるゼミと就活。 不全感の中で、それでも見つけなきゃいけない新しい人生。 そんな杏奈の人生を変えるきっかけが、マリリン・モンローからの電話って?? 誰もいない下宿の、つながっていない電話の向こうにいるマリリン。 なんだ不思議系学生小説か?と思いながら読み始めてすぐに思わず正座。 これはジェンダー社会論を単なる「論」としてではなく女子学生が等身大の、自分と地続きの問題として自分の頭で考え答えを探していく青春小説だった。 1950年代と2020年代。国も時代も違うはずなのに、なぜ何も変わっていないのだろう。女を差別し見下し消費していく「社会」。 #meeToo や、ジャニーズ問題に触れつつ今を生きるすべてのヒトに訴える。 考えることを止めたら、声を飲み込んだら、何も変わらない。いつまで可愛いお馬鹿さんのふりをするの?貴女は貴女のまま、自分の行きたいところへ行けばいい。 そう思う一方で一種のノスタルジーにも浸ってしまった。人生のモラトリアム期。ゼミと卒論。懐かしい。
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強い人になりたい。 一人で立って生きていける自信が欲しい。 そういう気持ちを奮い立たせてくれる作品でした。 人生を変えるきっかけは、家族や友だち、出会った人々、本や音楽、訪れた土地…どこにあるのか分かりません。そのきっかけを自分が掴めるかどうか、掴んだものを手離さず育てられるかど...
強い人になりたい。 一人で立って生きていける自信が欲しい。 そういう気持ちを奮い立たせてくれる作品でした。 人生を変えるきっかけは、家族や友だち、出会った人々、本や音楽、訪れた土地…どこにあるのか分かりません。そのきっかけを自分が掴めるかどうか、掴んだものを手離さず育てられるかどうかだと思います。 マリリン・モンローから電話がかかってきたという夢みたいな出来事から、彼女をテーマにした卒論を書くことを通して、自分の抱いた気持ちを言語化していくうちに自分自身を知っていく…なぜ学ぶのかの答えがそこにあるような気がします。 「世界を広げ」る、その素晴らしさと踏み出す一歩を見せてもらいました。
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