教師の自腹 の商品レビュー
「教師の自腹」 という本を読みました。 学校現場で、先生方が、どういう理由でなにをどう自腹を切っているのか、をアンケートをとり、まとめた労作です。 労作! ですよ。 自腹を切っている教員が多いのは誰でも知ってます。良心的で熱心で親切な教師ほど、自腹を切りやすい、ということも。 そ...
「教師の自腹」 という本を読みました。 学校現場で、先生方が、どういう理由でなにをどう自腹を切っているのか、をアンケートをとり、まとめた労作です。 労作! ですよ。 自腹を切っている教員が多いのは誰でも知ってます。良心的で熱心で親切な教師ほど、自腹を切りやすい、ということも。 そうしてこれは明らかに、システムの不備なのです。 だって11月に来年いる費用を全部言え、って無茶だと思いません? そんなことしたら、無駄が出るに決まってます。 来た頃にはいらなくなってたりしてね。 それに 家庭訪問するときのガソリン代が自腹とか、修学旅行の下見に行く費用が自腹とか、ありえます? 基本的に、これ、普通の会社ならどうなんだろう?と考えて、業務に使うものなんだから、出るよな、と思うものがでないのはおかしい、と考えると、学校はおかしいところだらけです。 自腹だけじゃなく、日本の学校システムでは、先生には昼休みがない! じゃないですか。 昼は一緒に給食を食べて、給食指導をしているのだから、それは仕事しているのであって休んでることにはならないでしょう? と常々思ってるんですが……。 フランスの児童図書を読んだら、昼休みには昼休み専門の教師がついてて驚愕! 教師が休めるように、だって。 考えたらそれは当たり前ですな。 普通のサラリーマンから昼休みを取り上げたら暴動、起きませんかね? 最初のところに、ある先生がどんなものをどういう事情で自腹をきっているのか、という短いストーリーがあり、ラストに、ではどのようなシステムなら切らなくて済むのか、のストーリーがついています。 とてもわかりやすいので、どうしても全部は読めない、という人はそこだけ読んでもいいでしょう。 全然読まないよりは。 国が専業主婦は素晴らしい、とおだてて福祉を全部押しつけて安く済ませようとしたように、学校も先生方に押しつけて、この100年、経費を安くあげてきたんだな、というのがよくわかります。 で、こういうとこの改革を1980年代のバブル期にしなくちゃいけなかったんだなぁ、と、しみじみ今、思います。 やるべきことをやってこなかったなぁ、と。 ただ一つだけ、えーと、これはちょっと困る と思ったのは 学級文庫の本を先生が自腹で買っている → 近くの公共図書館が、学校図書館も買っていないような新しい面白い本を団体貸し出しで貸してくれるので、自腹で買わなくても良くなった というところです。 学校と同じく、公共図書館も金がないのです。 《新しくてみんなが読みたがってる本》 は一冊買えればいいほう……。 それを学校に貸すゆとりは公共図書館にもありません。 各学校の5年1組、全部にその本を貸すとしたら、何冊買わなくてはいけないことになると思いますか? 無理でしょ? みんなが読みたい本は、町中のみんなが読みたい本なのですよ。 そういう本は、各学校で買って、学校図書館に備えていただかないと困るのです。 もっというなら学級文庫ではなく、学校図書館からめいめいが借りる習慣をつけるようにしてほしい。 本は図書館から借りるものだ、と思い込んで卒業してほしい、のです。 私としては学級文庫において欲しいのは、百科事典、国語辞典、漢字辞典、です。 勉強してなにかわからないことがでてきたときに、さっと調べられるように、が学級文庫の使命だと思うのです。 でもそうすると、各クラスに百科事典、置かなくちゃいけなくなる。 いくらかかるんだ? になっちゃいますが。 だからといって、先生が自腹切ったほうがいいとは、全然思いませんが。 どうしたもんかねぇ? 2024/12/26 更新
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面白い。公立学校の先生たちが、え、そんなことまで自腹でやってたのと思うような事例が数多く紹介されている。ただのエピソードにならず、リサーチとセオリーもある良書。
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