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身もこがれつつ の商品レビュー

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2024/11/13

百人一首がどう成立したのか、家隆との友情と恋、それに後鳥羽院も混ざっての三角関係という著者の想像力と、幕府との関係や承久の乱などいろいろな史実としてのイベントを絡めてその過程を描いている。終わりのほうは本当に泣ける。いい小説だし、和歌とは何かとか、当時の朝廷と幕府の関係とか、あま...

百人一首がどう成立したのか、家隆との友情と恋、それに後鳥羽院も混ざっての三角関係という著者の想像力と、幕府との関係や承久の乱などいろいろな史実としてのイベントを絡めてその過程を描いている。終わりのほうは本当に泣ける。いい小説だし、和歌とは何かとか、当時の朝廷と幕府の関係とか、あまり今まで意識してこなかったこともよくわかった。鎌倉殿の十三人でなんとなく名前は知っていた人物たちも、立体的に浮き上がって捉えることができるようになった。宇都宮蓮生がまたいい味出している。坂東武者でありつつ京の文化も理解しながら、いろんな人のアイディアを踏まえて独自の文化というか趣向のようなものを造りだしているところ尊敬。 和歌とは、神代の昔に始まる敷島のやまとの国の心そのもの。歌の心とは、この国に一千年積もり積もったみやび男みやび女の思いの重畳であり、その幾千万の思いのいちばん上におのれの思いをひとひら載せて、そっと水面に浮かべることである。逆に言えば、おのれのひとひらの思いの下に、幾千万のみやび男みやび女の思いを踏みしめることである。和歌についてもっと真剣に学んでみたいと思った。

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2024/11/04

最後まで読み、また初めの方を読んだ。 小学生の頃に覚えた百人一首の物語、鎌倉殿の13人を観たからこそ、よりまざまざと思い浮かぶ。とても引き込まれた物語だった。

Posted byブクログ

2024/10/05

 藤原定家の一代記。和歌といえば百人一首、百人一首といえば定家というくらいの有名人、華々しい人生かと思いきや、本作の定家は才能はあるものの華やかさとは程遠い、努力の人という感じ。実際はどうだったのか分からないが、和歌だけで位を上げたいという意志の強さと京文化への誇りが気持ち良い。...

 藤原定家の一代記。和歌といえば百人一首、百人一首といえば定家というくらいの有名人、華々しい人生かと思いきや、本作の定家は才能はあるものの華やかさとは程遠い、努力の人という感じ。実際はどうだったのか分からないが、和歌だけで位を上げたいという意志の強さと京文化への誇りが気持ち良い。後鳥羽院の鎌倉府への怒りの過程も丁寧に描いていてその点も興味深かった。  また、隆家との対比も良い。感覚の隆家と理論の定家。両方が併存しうるのも和歌の素晴らしさであるし、私は定家の考え方に共感するので、過去の良作に触れることの大切さを感じた。  ただ賛否が分かれるであろう、後鳥羽院・定家・隆家の恋の三角関係。確かにこの時代、男色は日常であり、それを描くこともリアルを追求する点では良いと思う。ただ、生々しすぎるし、この設定がなくとも三者の関係性は描けたのではないかと思う。BL小説やドラマが流行っているこの時勢にこのテーマというのも少し商業的な匂いがして嫌だった。朝ドラ『虎に翼』でも同性愛を描いているが、あれくらいあっさりで良かったと思う。

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2024/08/29

百人一首にはなぜあれらの和歌が選ばれたのか? 承久の乱前後の史実を煌びやかに描きながらその謎を解き明かす、中山義秀文学賞受賞作。〈解説〉大矢博子

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2024/07/28

藤原定家、家隆、後鳥羽上皇をめぐり錯綜する思いや歴史のうねりを和歌を通じて描いた傑作です 当然大部分の和歌は百人一首で馴染みのある歌ばかりです ネタバレになるので詳しくは書きませんが、人によっては拒絶反応に感じるかるかもしれませんが、全体を通じて流れる空気感は見事に鎌倉時代の社...

藤原定家、家隆、後鳥羽上皇をめぐり錯綜する思いや歴史のうねりを和歌を通じて描いた傑作です 当然大部分の和歌は百人一首で馴染みのある歌ばかりです ネタバレになるので詳しくは書きませんが、人によっては拒絶反応に感じるかるかもしれませんが、全体を通じて流れる空気感は見事に鎌倉時代の社会を生き生きと描いており小説として完成されておりオススメです

Posted byブクログ