イエスは四度笑った の商品レビュー
正典にはイエスが笑ったという記述が一切無いという視点自体が新たな気付きであった。キリスト教を作り上げてきた組織にとってあるべき崇拝対象としてのイエスに似つかわしくないと思われる感情表現は削られていったのだということだ。外典であるユダの福音書ではイエスは四度笑っているが、著者はそれ...
正典にはイエスが笑ったという記述が一切無いという視点自体が新たな気付きであった。キリスト教を作り上げてきた組織にとってあるべき崇拝対象としてのイエスに似つかわしくないと思われる感情表現は削られていったのだということだ。外典であるユダの福音書ではイエスは四度笑っているが、著者はそれを引くのではなく、これまでの聖書研究を元に正典からイエスが笑ったであろう箇所を取り上げ、人間である笑うイエスを描いてみせる。そこには人を惹きつける魅力的な人間イエスが垣間見える。私のイエス像がまた少し深いものになった。
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椎名麟三:どんな時・どんな事に対してイエスは笑われたのか 正典福音書成立→ユダの福音書発見 マルコ・マタイ・ルカ・ヨハネの4つの福音書 グローシス思想・救いに至る秘密を知っている マルキオン聖書 キリスト教の教義/ドグマの形成 20世紀ーユダヤ・キリスト教にまつわる3大発見 グノ...
椎名麟三:どんな時・どんな事に対してイエスは笑われたのか 正典福音書成立→ユダの福音書発見 マルコ・マタイ・ルカ・ヨハネの4つの福音書 グローシス思想・救いに至る秘密を知っている マルキオン聖書 キリスト教の教義/ドグマの形成 20世紀ーユダヤ・キリスト教にまつわる3大発見 グノーシス主義・正答派キリスト教 ユダの福音書ーイスカリオテのユダ・4度の笑い グローシス思想の枠内・人為的に笑わされた笑い 共観福音書とヨハネ福音書の成立 比喩の面白さー新しい布・新しい葡萄酒 目の塵と梁 蚋と駱駝 イエスの笑いの欠如 椎名麟三の疑問 社会的弱者への共感に基づく笑い 笑っていないイエスを笑わせる
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イエスは人でもあったので当然喜怒哀楽があったはずだけど笑ってるシーンは聖書に出てこない。外典では笑ってるけど、まぁ嫌な奴になっていて、グノーシス派はろくなもんじゃないと思った。 新約聖書の見どころ読みどころであるイエスの頓知バトルの中には、どう考えても真顔でやってる会話じゃないよ...
イエスは人でもあったので当然喜怒哀楽があったはずだけど笑ってるシーンは聖書に出てこない。外典では笑ってるけど、まぁ嫌な奴になっていて、グノーシス派はろくなもんじゃないと思った。 新約聖書の見どころ読みどころであるイエスの頓知バトルの中には、どう考えても真顔でやってる会話じゃないよね、一本取られた〜って苦笑いしてたりドヤったりしてたよね、というのが読み込みで見えてくる。第一、人と飲んだり食べたり喋ったりが好きで、弱きを助け強きを挫く男だったイエスが笑ってなかった訳ないじゃん、という著者の力強い語りに圧倒された。 軽い語りの中で今、神について考える切迫した意味が感じられた。この世界には救いようのない悲劇が溢れているけれど、イエスがそういう奴であったなら神もまた本来はそういう良い奴の筈なのだ。
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