ハルビン の商品レビュー
韓国側からの見方により、安重根が一方的に正義だとは思わない。だからと言って日本側の朝鮮統治や安重根に対する裁判の経過と結論はまったく正しくないけれど、それぞれの立場で依拠する論理が理解できてしまう。どちらにも正しいと思わせるところがあるから難しい。そしてそういった国家の論理を超え...
韓国側からの見方により、安重根が一方的に正義だとは思わない。だからと言って日本側の朝鮮統治や安重根に対する裁判の経過と結論はまったく正しくないけれど、それぞれの立場で依拠する論理が理解できてしまう。どちらにも正しいと思わせるところがあるから難しい。そしてそういった国家の論理を超えて存すると思われる宗教の立場においても、これらを救うことはできないことをこの小説は示してしまう。その意味ではある意味絶望的である。ただ、作者は後記において、安重根の青春を描きたかったと述べており、その意図を鑑みると、この小説の描きたいところを理解することができる。
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出版社(新潮社) https://www.shinchosha.co.jp/book/590194/ 「試し読み」あり。 安田浩一による書評「読書好日」(朝日新聞)(20240817) https://book.asahi.com/article/15390969
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前々から安重根の物語は読みたいと思っていた。この「ハルビン」は安重根に肩入れするために伊藤博文を貶めていることなどはなく、事実に多少の脚色を施しながら淡々と描かれている。寡黙ながらも毅然とした安重根の実行力とその正当性がよく伝わってきた。
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