馬場のぼるこどもまんが集 新装版 の商品レビュー
図書館で見つけました。読み終わってすぐ、ある本屋さんに行ったらガルシア・マルケスの「百年の孤独」の文庫化を記念して、原著が出版された1967年前後に出た本が並べられていました。1968年出版として「文明の生態史観」や「共同幻想論」「2001年宇宙の旅」と一緒に「11匹のねこ」が…...
図書館で見つけました。読み終わってすぐ、ある本屋さんに行ったらガルシア・マルケスの「百年の孤独」の文庫化を記念して、原著が出版された1967年前後に出た本が並べられていました。1968年出版として「文明の生態史観」や「共同幻想論」「2001年宇宙の旅」と一緒に「11匹のねこ」が…その頃手にしていただろうか?パラパラめくると可愛く、のびのびしていて、素朴で、乱暴で、残酷なおはなしに再会しました。今回読んだ「馬場のぼるこどもまんが集」よりシンプルに洗練されていておしゃれな寓話でした。しかし、「まんが」から「絵本」へのシフトでも変わらない自由への意志みたいなものを感じました。その自由に付きまとう孤独感、寂しさ、が「絵本」ではスッキリ抜け落ちているのに対して、「まんが」は雑味のように絡みつきます。「ころっけらいおん」「ブウタン」「ポストくん」「河童の三平」…それぞれのピュアさが切なくなります。その切なさ、きっと子供の頃、自分も感じていたのかもしれない。仲間になれないこと、優しくできないこと、誤解されちゃうこと、黙るしかないこと、学校の帰り道の胸苦しさになんとなく覚えがあります。この本の収録されている井上ひさしの解説が「はみだした主人公たち」。主人公たちの取り巻く周囲とのなじめなさを、馬場のぼるの創作の原点と見る論考です。だとしたら、この「まんが集」は単に懐かしい作品ではなくてとても現代的な価値を持つような気がします。馬場のぼるののほほん、はとても強い意志にも思えます。たまたまこの本、開いてよかった!
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