白い拷問 自由のために闘うイラン女性の記録 の商品レビュー
抑圧される側の人間が声を上げるとき、抑圧してきた側はその声の大きさにどきりとさせられる。 イランに住んだことがある私だが、滞在中女性であるがゆえの生きづらさは、なかなか感じ取ることができなかったので、本作は息の詰まる感じがとても生々しく描かれており、思い切って一呼吸で読み終わりた...
抑圧される側の人間が声を上げるとき、抑圧してきた側はその声の大きさにどきりとさせられる。 イランに住んだことがある私だが、滞在中女性であるがゆえの生きづらさは、なかなか感じ取ることができなかったので、本作は息の詰まる感じがとても生々しく描かれており、思い切って一呼吸で読み終わりたかった。 翻訳者自身がジェンダーや人権に興味があるということもあって、その熱意が伝わってくるのも読みどころの一つ。 本来星4つぐらいはつけたかったところなのだが、編集部注のいい加減さがとても目についてしまい、星2とした。 ペルシア語の日本語カタカナ表記が雑で統一されていないのがかすんで見えるくらい、編集部注の誤りが気になってしまった。 本来このような本は、イランに興味を持っている人やなじみのある人も一読すべき本なのであるが、このような編集部注を付けられてしまうと、「ああ、いつものイラン悪玉論のトンデモ本ね」とかたずけられてしまうことになってしまう。 トンデモ編集部中の例: ・トマンがイランの”共通貨幣”になった →リヤルが正しい。またそもそも共通貨幣という日本語はなく、通貨単位が正しい。そして1トマン=10リヤルと正しい説明を載せつつ、最後に「現在は1トマン=1万リヤル」と、誤情報で打ち消すのももはや豪快。 ・ノウルーズがシーア派の行事(と読める) →シーア派は全く関係なく、ゾロアスター教との関係性が深い行事。
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多くの女性たちが理不尽に収監され、その方々から、如何にその環境が劣悪だったかインタビューにより聞き出した内容が纏めらた本。残念なのは、立派に耐え抜いたにも関わらず、何故、収監されたのか、こだわり抜いた思想の対立にスポットを当てていない点。世界的な話題作だが、その辺は所与のものとし...
多くの女性たちが理不尽に収監され、その方々から、如何にその環境が劣悪だったかインタビューにより聞き出した内容が纏めらた本。残念なのは、立派に耐え抜いたにも関わらず、何故、収監されたのか、こだわり抜いた思想の対立にスポットを当てていない点。世界的な話題作だが、その辺は所与のものとしたか、イスラムへの配慮か。 イランでは「好きなことを言って、好きな服を着たい」と言うだけで思想犯・政治犯として逮捕され、脅迫、鞭打ち、性的虐待、自由を奪う過酷な拷問が浴びせられる。2023年にイランの獄中でノーベル平和賞を受賞したナルゲス・モハンマディがその実態を赤裸々に告発した、というのが触れ込み。 本書を読む限り、鞭打ちや性的虐待は多く綴られず、移動時の目隠し、環境の不衛生、独居房の非人道的な様相に目がいく。性的虐待は、セクハラめいた職質、シャワーの監視など。寧ろ、思想に対しての理不尽な拘束とトイレなどの衛生環境の劣悪さの方が気になる所。 闘いの続きを書いて欲しい。いや、この本を通じて闘って欲しい。そう思うと、彼女たちが何を主張していたかを強めに書いて欲しかった。見ようによっては、刑務所の改善要望アンケートみたいになってしまうではないか。
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2023年にノーベル平和賞を受賞したナルゲス・モハンマディさんの手記と、ナルゲスさんと同じく独房に閉じ込められ拷問を受けた13人の女性受刑者へのインタビュー集。 中東・イランで女性として生きる。ただそれだけのことがここまで辛く苦しいとは……と絶句した。もちろん、男性だから楽に生き...
2023年にノーベル平和賞を受賞したナルゲス・モハンマディさんの手記と、ナルゲスさんと同じく独房に閉じ込められ拷問を受けた13人の女性受刑者へのインタビュー集。 中東・イランで女性として生きる。ただそれだけのことがここまで辛く苦しいとは……と絶句した。もちろん、男性だから楽に生きられるというわけではないのだが、それでもである。 セミダブルベッドくらいしかない独房の狭さ(120×200)にも驚愕。閉所恐怖症にもなるなあ。 愉しみを見出す読書でないことは承知しているが、語られる内容がほぼ同じなので、少々飽きてしまった。申し訳ない。
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タイトル通り。 なのだが。 イランで、イスラム社会で、別に自由を訴えて拘束されたというより、ざーと読んだ感じでは、身に覚えもなく拘束されて、それでも屈しないで、これっておかしいという、そういう人たちの証言。 内容自体はもう、その通り。 著者自身も何回も「不当に」逮捕されていて、...
タイトル通り。 なのだが。 イランで、イスラム社会で、別に自由を訴えて拘束されたというより、ざーと読んだ感じでは、身に覚えもなく拘束されて、それでも屈しないで、これっておかしいという、そういう人たちの証言。 内容自体はもう、その通り。 著者自身も何回も「不当に」逮捕されていて、この後もまた逮捕されてるわけだし、インタビューしてる女性達もまた、理不尽と闘って来た、生の声。 全く理不尽に人権を踏み躙っていて、なんだろう、闘っていることは凄いし、より「よく」変わって行って欲しいと願うのであるが。 なんだかなあ。 まず、その人権蹂躙が、何のためにかがまったく見えない。 何の活動もしていない人を何のために。 どうも、それは、女性だから、と言いたいようなのだが、なんで女性だと? 男性はどうなの。そこが全く分からない。 女性だというだけで、なんで、政治的な活動をしてると言われるわけ?? 証言者の中にも、女性の方が男性よりこうした弾圧に強い、なぜなら普段から弾圧されてるからって言ってる人がいて。個人の意見として思うのも言うのも自由だが、どこに根拠があって、何が言いたいのか。 まとめ。翻訳者の後書き。 ヒジャブを強要されるのも、宗教だからではなく、女性を貶めたいからだ。と。 いやあの、そういう「宗教」の教えだからではなかったでしたっけ。そもそも女性抑圧の。 訳しているうちに、どうも、これって日本とそっくりな話なんじゃないのと思って来たらしくて、全てを台無しにしていただきました。 なんだこの人。 翻訳者ね。
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