まだら模様の日々 の商品レビュー
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たまたま図書館の新刊コーナーで手にした。 エッセイは自分とは違う作者自身の子供時代の話だけどなぜか懐かしいようなそんな話。 後半の物語も銀一おじさんのテーブルがよかった。親戚の中に一人は混じっているであろうどうにもならないけど憎めないタイプの叔父さん、、いるよなーって思った。 ...
たまたま図書館の新刊コーナーで手にした。 エッセイは自分とは違う作者自身の子供時代の話だけどなぜか懐かしいようなそんな話。 後半の物語も銀一おじさんのテーブルがよかった。親戚の中に一人は混じっているであろうどうにもならないけど憎めないタイプの叔父さん、、いるよなーって思った。 時代設定は現在なのに何故か昭和感というか、ゆる〜い空気感。
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前半は子ども時代を回想したエッセイ、後半は少女を主人公とした連作短編小説。 岩瀬さんの本を読むと、どうしてこんなに子どもの気持ちが書けるんだろうと感心するが、やっぱり子どもの頃の気持ちを忘れない能力を持った人なんだなと思う。特にエッセイのところで、自分の記憶の蓋が開いて、子供の頃...
前半は子ども時代を回想したエッセイ、後半は少女を主人公とした連作短編小説。 岩瀬さんの本を読むと、どうしてこんなに子どもの気持ちが書けるんだろうと感心するが、やっぱり子どもの頃の気持ちを忘れない能力を持った人なんだなと思う。特にエッセイのところで、自分の記憶の蓋が開いて、子供の頃の気持ちをまざまざと思い出した。 岩瀬さんは自分を可愛がってくれた父を八つのときに亡くして、気の合わない母と暮らした。母は何でも先回りして口を出す。それに対して「わかっちよるよ」と言うと「なんで素直に『はい』と言えんのかねえ」(p69)と母が言う。こういうことを私も言われた。 母は身体が弱かったのに、岩瀬さんが大きな赤ん坊だったため産後の肥立が悪く、何度も「ほんとにあんたは重とうて大変じゃった」「お産がほんとに堪えた」と言われる。(p38)そんなこと言われても子どもは困る。意識して大きくなったわけではないし、母を苦しめようとしたわけでもない。しかしそう言われると自分が悪いような気がしてくる。私も夜泣きして眠れなかったとか、人見知りで泣いてばかりいたのでどこにも出掛けられなかったとか言われて育った。こういう物言いがいかに子どもの心を傷つけるか、母は考えもしなかっただろう。 母は岩瀬さんに「ひねくれちょる」「思いやりってもんが、ほんとにまったくない」(p106)と言う。私も言われた。こういうネガティブな評価は、子どもの自己肯定感を著しく下げる。絶対言ってはいけない言葉なのだ。 とは言え岩瀬さんのお母さんが毒親というわけではない。お母さんなりに、夫を亡くしたあと必死に子育てし、生活できるよう頑張ったのである。しかし、だからといって仲良くできるわけではない。 明らかな毒親なら公然と批難することもできるが、そうではないからもやもやした思いを抱える。やっぱり自分が悪いのだと思ってしまう。 岩瀬さんは三十過ぎまで罪悪感を持ち続けた。「親なんて未熟な人間に過ぎない」(p73)と思えるようになるまで。 しかし、否定されながら子ども時代を過ごしたことを取り返せるわけではない。 子どもにとって親は絶対なのである。一人の人間として見られるようになるには時間がかかる。 読んでいろいろなことを思い出し、慰められた。そういうところも、岩瀬さんの文章の力なんだと思う。
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