シャーロック・ホームズ家の料理読本 復刻版 の商品レビュー
翻訳された本の好きなところの一つに、「黒すぐりのジャム」だとか「オランダ布」だとかのあまり聞き覚えのない単語が平然と並ぶ点があるのだが、この本も例に漏れず現代の日本ではまず聞くことのない単語に触れることができる。 まるで、本当にシャーロック・ホームズが居るかの様な質感を持って...
翻訳された本の好きなところの一つに、「黒すぐりのジャム」だとか「オランダ布」だとかのあまり聞き覚えのない単語が平然と並ぶ点があるのだが、この本も例に漏れず現代の日本ではまず聞くことのない単語に触れることができる。 まるで、本当にシャーロック・ホームズが居るかの様な質感を持って描かれる、懐古する老婦人目線の生活は酷く温かで、ちゃんとした日常で、けれど私たちの生活とはまるで違う世界に生きていることを言葉の節々から感じられる。 この文章の多くを実践する機会はまずないし、(都度この本の筆者があげてくれる代案があるとはいえレシピの代用品を揃えるのも一苦労だし、器具も何もかも違うから)共感できる箇所というのもあまりないけれど、彼女-ハドソン夫人-の雇い主の行動に関する些細な自慢や愚痴に触れることが、シャーロック・ホームズの立体感を上げるだろうことに疑う余地はない。
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1981年訳出本の幻の名著復刻! 家政婦ハドソン夫人の回顧録兼レシピを、後世の料理家によるメモつきで…という体で、ほぼ食事場面などないホーム家の食卓や当時の風俗まで再現すしてみる楽しい一冊。 イギリス料理はまずい…の偏見はかなり昔のものになったとはいえ、この手数のかかるレシピを見...
1981年訳出本の幻の名著復刻! 家政婦ハドソン夫人の回顧録兼レシピを、後世の料理家によるメモつきで…という体で、ほぼ食事場面などないホーム家の食卓や当時の風俗まで再現すしてみる楽しい一冊。 イギリス料理はまずい…の偏見はかなり昔のものになったとはいえ、この手数のかかるレシピを見てると、そりゃーちょっとやそっとじゃ名コックにはなれなかったろうよと思わされる、下準備、スパイス使い、取り合わせ、もりつけ! 『ダウントン・アビー』にも頻出するメース(ナツメグの皮)もよく出てきて、イギリス好きとしてはワクワクしまする。
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