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女性の階級 の商品レビュー

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2024/10/20

主に、SSM調査(社会階層と社会移動に関する全国調査)によるアンケート結果を解説した本。この調査は一九五五年から一〇年ごとに行われ、日本の階級・階層研究に重要な基礎を提供する。 社会学系の本にたまにあるが、アンケートをグラフ化し、グラフを文字に起こして解説した論文を一般向けに著...

主に、SSM調査(社会階層と社会移動に関する全国調査)によるアンケート結果を解説した本。この調査は一九五五年から一〇年ごとに行われ、日本の階級・階層研究に重要な基礎を提供する。 社会学系の本にたまにあるが、アンケートをグラフ化し、グラフを文字に起こして解説した論文を一般向けに著作としたような内容であり、論文自体に斬新さがあるわけではなく、数字で見て、やはり明確に女性には階級がある事がわかった、という仮説確認本だ。仮説確認なのだから、直感通りならば、面白さはない。 具体的に言うと、例えば、シングルマザーは経営者の妻より生活が苦しい階級にある、というテーゼだ。言われなくてもそうだろうと、誰しも思う。それをアンケートで確認し、何%がそう感じると解説するという内容だ。 果たして、女性に階級はあるのか。生まれや所得格差、それによる教育や医療、余暇の充実、という観点では確実にある。これは、男性にもある。女性特有という点で言えば、妊娠、出産が企業の生産性に対してハンデになりがちであるという事。そうした歴史的経緯が男性社会を作り上げたせいで企業文化は、女性にとって不利であるという事。そのせいで、社会全体でも、女性が就労における出世欲を減衰させる方向に悪作用し、このことが就学や就労にも影響する。 男性社会に溶け込み男性化した強い女、強い男性に守られる女、弱い男性に守られる女、守られることなく男性化もできぬ弱い女、みたいな階級だ。男性化社会とは、テストステロンが操作する支配力競争社会であり、つまり、生理や妊娠が足を引っ張る社会だ。競争のルールそのものを見直さなければ、女性活躍など詭弁であり、男性脳で規定された範囲で働かされる偽ヒロインにしかなり得ない。由々しき問題。そして、大半の男性もこの競争に疲れている。

Posted byブクログ