あなたの大事な人に殺人の過去があったらどうしますか の商品レビュー
ほぼ一気読み。タイトル通りの内容で辛い。頭ではわかっていても気持ちや体はそうじゃない。皆が複雑な感情を表しているのが良かった。
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殺人犯の家族の人生に焦点を当てた、東野圭吾さんの『手紙』を思い出しながら読みました。 一方の本作は、殺人犯、被害者家族、一般の方の三視点があって、非常に興味深く読めるミステリでした。 それぞれの立場を上手く使って、心理的なミスリードに上手くやられたな、の気持ちです。 更生していてほしい、と祈りながら読んで、最後にやっとひと息がつけました。 犯罪ひとつ、悪意ひとつでこんなにも……。 読んでいてスッキリする物語ではありませんでしたが、得るものは確かにあった、と感じる1冊でした。
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偶然にすぎるシチュエーションと意外すぎる真犯人 心の揺らぎが、時間軸に沿ってうまくストーリーの骨格を形成してるように感じるから、できすぎた舞台装置は無視して良いんだろうな。加害者と被害者 家族という構図は、なかなか想像できないんだけど、その意味で新鮮かな。
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読みながら色々考える作品だと思いました 自分ならどう受けとめるだろう 3人の感情が丁寧に書かれていて 話の中に引き込まれていきました こんなに親身になってくれる人との 繋がりが少し羨ましくもあり 眩しかったです 勝手な希望ですが もし映像化されたら 見てみたいと思いました
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74/100 んやー、星5にもいきそうではあって惜しかったな…っていう本でした。 心理的ストーリーが星5だった。仲良くなった人が、殺人事件を起こしたことがあると言われると、確かにこの感情になるよな…でもそんな簡単に割り切れないよな…と凄く辛くなり、読んでいて涙を流した。「過去は過去、今は今」この言葉では割り切れなくて自分もすごく悩んで辛かった時が実際にあったからこそ感情移入したセリフ。そしてラストの「いつの日か」。これは先程のように時間で割りきれないけど、時が解決してくれることもあると伝えている一言である。 その一方で、ミステリーのストーリー性があまりにも陳腐になってしまった。え?こいつ誰だっけ?というあらすじに全然出てこなかったぽっと出のYouTuberが犯人であることを言われ、それの論理付、心理的感情が最後の3/4で慌ててされていても全然しっくり来なかった。一気に内容が浅くなってしまったのが勿体無い。 ミステリーとしてもっとちゃんと出来上がっていたらだいぶ評価が高かったと思う。
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横浜に本社を置くオオクニフーズの相模原支社に勤務する藤沢彩は、子どもの頃から自分の感情や思考を言葉にするのが苦手だ。 その性格もあり引っ込み思案で人との付き合いも苦手な彩だったが、仕事のことで思い悩んでいた時に声をかけてきた一年先輩の同僚社員・田中心葉に次第に惹かれていく。 心葉と同期の佐藤千暁とも次第に交流ができ、三人はそれぞれ十年後も二十年後も一緒にいたいと願うようになっていた。 そんなある日、心葉が会社の朝礼で、何の前置きもなく「ぼくは人を殺したことがあります」と発言したことで、絆は揺らぐ。 そして千暁にも、兄が殺された被害者遺族という人に言えなかった過去があった……。 (アマゾンより引用)
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※ もし、一緒に働いている人に殺人の過去が あったら……。 今傍にいて親しくしている人、 特別親密ではなくても身近にいる人、 その一人ひとりに自分の知らない過去があるし その反対も然り。 その知らない、いくつもの過去の中に 万が一人を殺めた事実があったら。 自分は、今見てい...
※ もし、一緒に働いている人に殺人の過去が あったら……。 今傍にいて親しくしている人、 特別親密ではなくても身近にいる人、 その一人ひとりに自分の知らない過去があるし その反対も然り。 その知らない、いくつもの過去の中に 万が一人を殺めた事実があったら。 自分は、今見ている相手にこれまでと同じ 対応ができるだろうか。 相手が自分にとって大切だと思える 相手であればあるほど、湧いてくる感情は きっと複雑になるに違いない。 過去と今は切り離せない、同じように現在の 延長線上にある未来も今と分離できるもの ではなくずっとずっと地続きに続いている。 そして、人の心や考え方は同じ場所にとどまり 続けることもあれば、僅かずつでも変化して いく場合もある。 過去と真摯に向き合い、現在や未来とも 真っ直ぐ向き合った物語。 身を切るぐらい辛くて、心を癒すように 慈愛に溢れた深く染み入るお話でした。
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章ごとに、それぞれの登場人物が主体となった物語になっていました。 どの立場のキャラクターも心情もわかりやすかったです。 以前読んだ、ケーキの切れない非行少年たちという本を思い出し、事件当初の参蛇亜の状態を想像するヒントにしながら読み進めました。 被害者、同僚、参蛇亜の母親、Yo...
章ごとに、それぞれの登場人物が主体となった物語になっていました。 どの立場のキャラクターも心情もわかりやすかったです。 以前読んだ、ケーキの切れない非行少年たちという本を思い出し、事件当初の参蛇亜の状態を想像するヒントにしながら読み進めました。 被害者、同僚、参蛇亜の母親、YouTuber… 自分だったら、どうするだろうと考えさせられました。 私が一番救ってあげたいと感じたのは千暁です。心も身体も極限状態で、相当辛いだろうと思いました。
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中学2年の時殺人を犯した心葉、父親からはっきりしない子と言われた彩、心葉に殺された被害者の弟の千暁。同じ会社で親しい3人のそれぞれの視点で、新たに起こる殺人事件。誰が犯人かというミステリーとしても面白いが、育児放棄された少年が犯してしまった犯罪からどのように考え立ち直り贖罪の日々を過ごすようになったかというところが心に響く。 タイトルが長い今の流行りだと思って読み始めたが、まさしくタイトル通りのことを考えさせられもした。
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思ったことをうまく言葉に出せない彩。寡黙で表情にも乏しいが、人の気持ちを汲み取ることに長けた心葉。明るく社交的な千暁。会社の同僚である彼ら三人は、温かで深い関係を築いていた。しかしそれは、心葉の突然の告白によって破られることになる。重苦しくつらく、しかし優しさも感じさせられるミス...
思ったことをうまく言葉に出せない彩。寡黙で表情にも乏しいが、人の気持ちを汲み取ることに長けた心葉。明るく社交的な千暁。会社の同僚である彼ら三人は、温かで深い関係を築いていた。しかしそれは、心葉の突然の告白によって破られることになる。重苦しくつらく、しかし優しさも感じさせられるミステリです。 本当にこういう問題は難しいです。どれほど悔やみ反省し、更生して真っ当に生きていたとしても、法的な罪を償ったとしても、それで遺族の赦しが得られる日はおそらく来ない。現在のその人がどれほどに良い人になっていても、周りの人の色眼鏡は変えられない。かといってたった一度の過去のあやまちによって一生安息の日が来ることがないというのもあまりに酷だと思えます。当然、遺族の苦しみもなおざりにはできません。 そんな中で新たに起こってしまった悲劇と、心葉の失踪。彩も千暁も、心葉の過去を知ってしまってもなお彼に対する情を断ち切ることができず、だからこそつらさもひとしおでした。三者三様の揺れ動く心情がやりきれず、だけれどどこか安心させられる部分もあります。元通りには戻れなくても、いつか新たに築き上げる関係ができればよいと思わされました。 それにしても、ラストでのあの人の謝罪の手紙……そう来るか。見せかけの誠意の薄っぺらさがあまりに皮肉です。
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