母娘短編小説集 の商品レビュー
19世紀末から20世紀末にかけて アメリカの女性の作家によって書かれた、 母と娘の関係に焦点を当てた短編小説のアンソロジー。 全9編中6編が南部出身作家の作品で、 いわゆるディープサウスの風土・歴史的価値基準(と、それへの反発) が反映された物語が際立つ。 収録作は ・シャー...
19世紀末から20世紀末にかけて アメリカの女性の作家によって書かれた、 母と娘の関係に焦点を当てた短編小説のアンソロジー。 全9編中6編が南部出身作家の作品で、 いわゆるディープサウスの風土・歴史的価値基準(と、それへの反発) が反映された物語が際立つ。 収録作は ・シャーロット・パーキンズ・ギルマン 「自然にもとる母親」The Unnatural Mother(1895/1916) ・エレン・グラスゴー「幻の三人目」The Shadowy Third(1916/1923) ・ヒサエ・ヤマモト 「十七の音節(シラブル)」Seventeen Syllables(1949/1988) ・フラナリー・オコナー 「善良な田舎の人たち」Good Country People(1955) ・ティリー・オルセン「私はここに立ってアイロンを掛け」 I Stand Here Ironing(1958/1961) ・エリザベス・スペンサー 「暮れがた」First Dark(1959/1968) ・ボビー・アン・メイスン「シャイロー」 Shiloh(1979/1982) ・ドロシー・アリスン「ママ」Mama(1988) ・リー・スミス「ダーシー夫人と青い眼の見知らぬ男」 Mrs. Darcy and Blue-Eyed Stranger(1978/1981) 予想していたほどドロドロした話や キット・リード「お待ち(The Wait)」のように おぞましい話は入っていなかった。 国民性の違いなのか、どうなのか。 特に面白かったのはエリザベス・スペンサー「暮れがた」。 開発のために昔の面影を失いつつある町と、 意気軒高なサザン・レディである高齢女性の 肉体的な衰えが響き合い、 それらによって自由を手に入れることになる若いカップルの 船出が描かれる。 人種や階級を口実にした差別の歴史が織り込まれ、 短いけれども奥行きのある味わい深い佳品。 ※全編についてのレビューは後日ブログにて。 https://fukagawa-natsumi.hatenablog.com/
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