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キングと兄ちゃんのトンボ の商品レビュー

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2件のお客様レビュー

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2024/08/29

自分の性自認に悩む10代の子たちが、この作品のように、親や周囲から(葛藤はありつつも)大切にされて、自分のことも大切にできるといい。 マルディグラのお祭りは、レインボーパレードのようだと思った。

Posted byブクログ

2024/07/23

キングは最愛の兄を亡くしたばかり。 兄ちゃんは湿地にむらがるトンボの一匹になったと信じている。 じつはキングは最近、もうひとり大切な人を失っていた。親友だったサンディと絶交してしまったのだ。キングは黒人でサンディは白人だけれど、アニメやマンガの話をしていると時間を忘れるくらい楽...

キングは最愛の兄を亡くしたばかり。 兄ちゃんは湿地にむらがるトンボの一匹になったと信じている。 じつはキングは最近、もうひとり大切な人を失っていた。親友だったサンディと絶交してしまったのだ。キングは黒人でサンディは白人だけれど、アニメやマンガの話をしていると時間を忘れるくらい楽しかった。 ところがある日、サンディは自分がゲイだとキングに告白しそのことを「恥じてない」と言い切った。その会話を兄ちゃんがきいていて、あとからキングに、もうサンディとつきあうな、「お前もゲイだと思われたくないだろ?」と言ったのだ。それが絶交の理由だった。 今、トンボになった兄ちゃんに会いに湿地行ったキングは、ぐうぜんサンディに出くわした。その日の夜、サンディが姿を消したという連絡が回ってきた。彼の父親は保安官だ。捜索隊を組織し、町を挙げてサンディをさがしたが見つからない。 サンディはキングの家の裏庭にずっと張りっぱなしになっているテントに隠れていた。顔などいたるところにアザがある。父親から暴力を受けているから、もう家へ帰りたくないという。キングは親にはないしょでサンディに食べ物を届ける。 最愛の兄から「サンディとつきあうな」と言われていたキング。父親も「黒人にゲイはいない」と言い切る。いまだにKKKの活動がうわさされるルイジアナで、父親自身、日々、白人からの差別を感じて生活しているのに、それでも別の形の差別をしてしまう。息子が、もしかしたら自分も……と感じていることも知らずに。 「おまえを愛してる人たちこそ、いちばん傷つける人たちだけどな」というサンディの言葉が重くひびく。 同時に、虹色の光を反射しながら群れ飛ぶトンボが、いやおうなく多様性に満ちた世の中を象徴しているようで美しい。 人種、セクシュアリティ、家族や友人との愛情などが織りこまれ、コンパクトながら美しく描かれた物語だと思った。

Posted byブクログ