冬期限定ボンボンショコラ事件 の商品レビュー
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今作の発売が発表された時、とても嬉しかった。秋季限定までリアルタイムで読んでいたわけではないが、それでも約10年は待ち続けた冬季限定。あらすじが出た時も、小鳩君が轢き逃げに?やばっ。小佐内さんの「犯人を許さない」のメモ?(犯人が)やばっ。と発売前から一度ならず二度も楽しめた。 春季限定から、仄めかされていた中学時代の失敗をこんなにしっかり描いてくれるとは思っていなかった。 暴かれることを望んでいない謎、というものは探偵物には、ままある。私の知る限りでは探偵たちは、そういう場合、知らないフリ気づかないフリをしてくれることが多い気がする。 が、ただの賢しらな中学生にはそんな大人な芸当は出来なかった。そもそも、謎を暴くことも出来ず、暴いたのは他人のプライベートだけ。 詳細は語られないが、小佐内さんも色々危ない橋を渡ってきては、遂に失敗したよう。 お互いの失敗を知る2人の互恵関係は、いつしか感情を伴うものに変化した。 小鳩君は、小佐内さんといる時、自然に笑うし、2人の思い出?の場所は1人でも行きたい。 小佐内さんは、小鳩君に見つけて欲しい。もしかしたら、小鳩君のために謎を用意してくれたのかもしれない。 高校時代のお相手なんて、確かに次善でしかないかもしれない。でも、このほろ苦さがさすがとしか言いようがない。
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面白かった。2つの似通った事件が同時進行で読み解かれていくのに、自分の中では全く混線することなく楽しく読めた。 春季限定から始まり、冬季限定で終わってしまうということが寂しかったが、(解説の松浦さんの言う通り)小佐内さんがその先の話をしてくれるのがとてもうれしかった。
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小鳩くんと小佐内さんの物語がついに完結した。感慨深い。今回の轢き逃げの話と語られることが無いだろうと思っていた2人が小市民を目指すきっかけの話が本書では語られている。 彼らの今後の人生について読者視点ではもう知ることが出来ないだろうことが寂しく思う。しかし一方で、彼らの人生はこ...
小鳩くんと小佐内さんの物語がついに完結した。感慨深い。今回の轢き逃げの話と語られることが無いだろうと思っていた2人が小市民を目指すきっかけの話が本書では語られている。 彼らの今後の人生について読者視点ではもう知ることが出来ないだろうことが寂しく思う。しかし一方で、彼らの人生はこれからも続くということがはっきりと感じられたことが嬉しく思う。改めて小説というものの良さ(と言って良いのか分からないが)を認識することが出来た。 2人の将来に幸あれと願いたくなる結末であり、本書及び本シリーズに出会えたことは、私自身にとってもこの上なく幸せなことだったと感じられた。
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米澤穂信先生の小市民シリーズの本編最終巻。 本編としては、秋期限定栗きんとん事件(下)が2009年の発売ですから、巴里マカロンの謎を除くと15年ぶりのシリーズ。 内容は小市民シリーズの原点でもあり、小市民の最新でもあるという、最後に相応しい作品だったなと思います。 ...
米澤穂信先生の小市民シリーズの本編最終巻。 本編としては、秋期限定栗きんとん事件(下)が2009年の発売ですから、巴里マカロンの謎を除くと15年ぶりのシリーズ。 内容は小市民シリーズの原点でもあり、小市民の最新でもあるという、最後に相応しい作品だったなと思います。 いきなり轢き逃げされて病院送りにされる小鳩くん。 彼が病院で目覚めて思い出したのは、小佐内さんと互恵関係を結ぶことになった中学3年生の時に起きたクラスメートが巻きこまれた轢逃げ事件。 その轢逃げ事件は小鳩くんが轢逃げに遭った道で起きた。 果たして、3年前の事件と小鳩くんに起きた事件はリンクするのか? というお話。 まず、本作を書店で手に取った時は 「今まで生きてて良かったぁ」 です。 私が、本作の小市民シリーズに出会ったのは2007年。 『クドリャフカの順番』を読んで古典部シリーズなど米澤先生の作品を読みはじめた頃です。 当時読んだ時になんでもない日常の謎に関する事件の裏にとんでもない事件が潜んでいるという作品(だったと思う)で、薄いのに凄い作品だよなぁと思って読み続けておりました。 そして、順調にシリーズを重ねていたはずの小市民シリーズ。 ようやく最終巻を読めると書店で手に取った時の私想いは言葉ではとても言い表すことができません。 そんな本作品、実は凄いのが、時代を踏襲しているということ。 本作品が発売されたのは2004年。 この時代、私は大学生だったのですが、その時はスマホなんてないですし、インターネット環境はひかりみたいな高速通信なんてなかった。 それをしっかりと踏襲した上で事件があって、小鳩くんや小佐内さんの行動もその時代に合っています。 これ、もちろん作者の中でもともとの構想はあるんでしょうが、今の感覚で書いてると思うので、大分苦労したんじゃないかと思います。 そして、出来上がった最終巻は400ページ超えで、本当に小市民シリーズなのか?と思う分厚さに、明らかに発刊当時よりもレベルアップしている表現力。 極上のタイトルはスイーツでも中身はビターな小市民シリーズの原点にして完結がここにある。 米澤先生、ごちそうさまでした。
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読み終わって一番に思ったのは、『米澤穂信はミステリが上手い』だった。過去に起きた事件を振り返りつつ、同時進行で現在起きている事件にも迫り、かつ少年少女の未熟さも描き切るというあまりの手腕に、ラストまで読む手を止められなかった。久しぶりに一気読みをした。事件すべての解決も、その後の...
読み終わって一番に思ったのは、『米澤穂信はミステリが上手い』だった。過去に起きた事件を振り返りつつ、同時進行で現在起きている事件にも迫り、かつ少年少女の未熟さも描き切るというあまりの手腕に、ラストまで読む手を止められなかった。久しぶりに一気読みをした。事件すべての解決も、その後の小鳩と日坂のやり取りもとても良かったけれど、でもやっぱりラストを飾る小山内さんとの会話が美しくてずるかった。ここでいちごタルトを持ち出す小鳩くんも、これからの話で返す小山内さんも、二人の関係が最終的にこういう形で収まるのは本当にずるい…。
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まずこの本が出たことに感謝感激! 現在と過去、物語と謎解きが美しく絡み合い共鳴する超絶技巧の筋運びは、都合の良い偶然すら感動的な運命に昇華する。
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ついに完結か…現在と過去、しかしここまで危険な目にあうのは青春ものの米澤穂信作品ではなかなかなかったか…?とはいえ、ラストはこのシリーズらしいクスっとする終わり方だった。しかし過去の事件はそりゃそんなことやられたら分からんわな…
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正直、冬期はもうないのかなあと半分諦めていたので発売が発表されたときはとても嬉しかった。気になっていた、二人が小市民を目指したきっかけも知ることもできて良かった。 今回はスイーツ度がちょっと低かったのが残念。
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秋期限定の時も発売までだいぶ待ったなと思った記憶があるのだけど、そんなの比じゃない15年ぶりの続編。 そんなわけで前作までの内容はほとんど覚えていないまま読んだ。 冒頭でいきなり大変なことになり、小鳩くんによる中学生時代の回想が今作のメイン。 読んでいるうちに、春期限定を読んだ...
秋期限定の時も発売までだいぶ待ったなと思った記憶があるのだけど、そんなの比じゃない15年ぶりの続編。 そんなわけで前作までの内容はほとんど覚えていないまま読んだ。 冒頭でいきなり大変なことになり、小鳩くんによる中学生時代の回想が今作のメイン。 読んでいるうちに、春期限定を読んだ時に感じたことを思い出してきた。当時の私は、小鳩くんがなぜそこまで小市民でいることにこだわるのか理解できず、いまひとつこのシリーズに入りこめなかったのだった。 でも今作を読んで、過去の自分と決別したかった小鳩くんの気持ちがよくわかった。だって、すっごく嫌な奴だもの!笑 過去と現在がリンクする謎は、適切なヒントのおかげでおおむね予想通りだったけど、サスペンス要素もあって面白かった。 ひとつ関係あるのか気になっているのが、調書の中で鯛焼きが1つになっていたこと。ただの間違い?
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遂に終わってしまった寂しさ。 相変わらず、学園探偵ものだと油断していたら最後の最後で思ったより重い話が待っていた。 今作、小鳩くんはずっと入院中。 入院生活である現在と、入院のきっかけとなった事故に似ている3年前の事件当時のやりとりとを、いったりきたりする。 3年前の事件こそ、...
遂に終わってしまった寂しさ。 相変わらず、学園探偵ものだと油断していたら最後の最後で思ったより重い話が待っていた。 今作、小鳩くんはずっと入院中。 入院生活である現在と、入院のきっかけとなった事故に似ている3年前の事件当時のやりとりとを、いったりきたりする。 3年前の事件こそ、小鳩くんと小佐内さんが知り合うきっかけとなった事件であり、過去作で小鳩くんが後悔してずっと根に持っていると語る事件であり、小市民を目指すきっかけとなった事件である。 堂島の出番が少なかったのが残念。 小佐内さんの見舞いに持ってきたものが、狼のぬいぐるみ、ボンボンショコラ、薔薇の花などで、小市民シリーズを知る人間に対して同じことを私もいつかしてみたい。
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