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少女小説とSF の商品レビュー

4.4

10件のお客様レビュー

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2024/08/12

何とも贅沢なアンソロジー。少女小説のSFの限りなき広大さを思い知り、確かにこれは居場所を希求する物語たちだと息を飲む。 何よりも嵯峨景子による解説とコラムで、このアンソロジーは一体を為し形作られていると実感した。 収録作家は、新井素子、皆川ゆか、ひかわ玲子、若木未生、津守時生、榎...

何とも贅沢なアンソロジー。少女小説のSFの限りなき広大さを思い知り、確かにこれは居場所を希求する物語たちだと息を飲む。 何よりも嵯峨景子による解説とコラムで、このアンソロジーは一体を為し形作られていると実感した。 収録作家は、新井素子、皆川ゆか、ひかわ玲子、若木未生、津守時生、榎木洋子、雪乃紗衣、紅玉いづき、辻村七子。 一人を除いて読んだことのある作家ばかり。それぞれの個性が光り、巻末のコメントに嬉しくなります。 そして初めて接する作家の作品に一番惹かれました。これぞアンソロジーの醍醐味。

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2024/05/26

辻村七子先生が好きで手に取りました。他には紅玉いづき先生の『サエズリ図書館』だけ読んだことがあるのと新井素子先生のお名前だけ知っている状態で、知らない先生が多かったのですがとても楽しんで読めました。特に若木未生先生の「ロストグリーン」津守時生先生の「守護するもの」が刺さったのでお...

辻村七子先生が好きで手に取りました。他には紅玉いづき先生の『サエズリ図書館』だけ読んだことがあるのと新井素子先生のお名前だけ知っている状態で、知らない先生が多かったのですがとても楽しんで読めました。特に若木未生先生の「ロストグリーン」津守時生先生の「守護するもの」が刺さったのでお二人の他作品も読んでみたいと思います。

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2024/05/25

「少女小説とSF」というくくりではあるけれど、作家さんによってかなり方向性も雰囲気も異なる短編がそれぞれ収録されていて、読み応えがありました。こうして読むと自分は昔からSFと少女小説を読んできたのだなと思いましたね。なじみやすかったので。 とくに個人的に好きだと思った作品は『わた...

「少女小説とSF」というくくりではあるけれど、作家さんによってかなり方向性も雰囲気も異なる短編がそれぞれ収録されていて、読み応えがありました。こうして読むと自分は昔からSFと少女小説を読んできたのだなと思いましたね。なじみやすかったので。 とくに個人的に好きだと思った作品は『わたしと「わたし」』、『あなたのお家はどこ?』、『とりかえばやのかぐや姫』です。

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2024/05/23

SFカーニバルに行った際見つけて買った本。少女小説というものに縁が無い読書人生だったのですが、SFは好きなので読んでみました。 収録されている短編は必ずしも「少女」が主人公というわけではなく、ジェンダーを扱ったものから、異星における戦争を描いたもの、少し先の未来を舞台とした青春も...

SFカーニバルに行った際見つけて買った本。少女小説というものに縁が無い読書人生だったのですが、SFは好きなので読んでみました。 収録されている短編は必ずしも「少女」が主人公というわけではなく、ジェンダーを扱ったものから、異星における戦争を描いたもの、少し先の未来を舞台とした青春ものと、なかなか幅広いです。 というかおそらく本アンソロジーでやろうとしていることは、できる限り違う方向性の物語を集めることで、少女小説というジャンルがどれだけ豊かなジャンルなのかを示したい、ということなのだと思いました。 その試みは成功しており、書き手の嗜好が違えば得意とするジャンルも違うため、読み応えは各短編でだいぶ異なります。さらにはそこにSFの想像力を加味することで、少女が持つ世界へのまなざし、世界を理解しようとする姿勢、逆境に立ち向かう姿を見せようという、センス・オブ・ワンダーの精神が乗っていると感じました。 その精神を特にストレートな形で発揮しているのは、榎木洋子『あなたのお家はどこ?』。アバターを使い星間の通信教育を受けている少女が相棒のAIとともに家出をして心の成長を遂げるという、本アンソロジーにおけるお手本のようなお話。いま見えているものは自分の認識の内に留まるものであり、他者と交信することで世界がより開けていく。近未来を舞台にし、少し先のテクノロジーを使うことで、端的にそのことを伝えています。 一遍ごとの解説はかなり充実しており、巻末には少女小説の成り立ちと歴史が概説されていて、編者である嵯峨景子氏がこのアンソロジーに強い情熱を注いだことが伝わってきました。近年日本ではアンソロジーが地味にブーム(だと思ってるの)ですが、アンソロジーの面白さは短編ごとの出来以外にも、編者がどのような短編を、どのような順番で入れ、どう解説するか、という部分で変わってくると感じています。その点でこのアンソロジーは、「少女小説の面白さ・素晴らしさを伝えたい」というコンセプトが明確で、その情熱も正しく機能していると思いました。 なお、本アンソロジーで私が一番好きだったのは紅玉いづき「とりかえばやのかぐや姫」です。『竹取物語』の主役と帝を男女逆転させるという『大奥』的な発想で日本最古のSF小説に新たな息吹を注いでいる名編です。性別を入れ替えることでふたりそれぞれが抱える苦悩や悲しさが切実さを増し、言葉の置き方が上手いため、ひとつひとつの文章が強く響いてきます。正直この短編は頭ひとつ抜けている気がします。読めて良かった。 全体を通して見えてくるのは、どのように世界と接触するのか、そしてどのように自身の生き方を見出していくかという主人公たちの姿勢であり、SF的な想像力が物語に広がりを与えていました。少女とSFの交点となる良質なアンソロジーですのでおすすめです。 あと、内容には関係ないのですが、星海社FICTIONSさんの本に付いてくるスピンってかわいくておしゃれだなーと思いました。

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2024/04/28

タイトル通りの、9人の作家さんによるアンソロジー。文体や語り方が懐かしかったし、でも今の年齢になったからこそ強く願ったり胸が痛んだりすることもあって、すごく良い読書だったなあ。 SFって現実から離れた設定で現実との差分を作りながら、でもこれって現実でもそうだよね、私たちに決して無...

タイトル通りの、9人の作家さんによるアンソロジー。文体や語り方が懐かしかったし、でも今の年齢になったからこそ強く願ったり胸が痛んだりすることもあって、すごく良い読書だったなあ。 SFって現実から離れた設定で現実との差分を作りながら、でもこれって現実でもそうだよね、私たちに決して無関係じゃないよね、って非現実のこととして終わらせないのも好きな理由なんだけど、そういう好きが詰まっていた! どれも印象深かったけど、好きだったのはキャラクターが好きだった紅玉いづきさんの「とりかえばやのかぐや姫」と、あとは辻村七子さんの「或る恋人達の話」かなあ。 元々辻村先生のファンでこの本の発売を知ったのだけど、「或る恋人達の話」はSFとして描くことで現実を風刺しているのが、心の中で自分が持っていることを言語化してもらえたようで、でも自戒もさせられたようですごく刺さった。 コラムで編者の嵯峨景子さんがこの話に対して「○○(ネタバレに尽き伏字)であったふたりの受苦の姿は、私たちがときに甘く、ときに哀しい物語として繋がりを消費することに鋭く警告を発してみせる。」と書いていたの、納得させられる言葉だったなあ。

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2024/04/24

紅玉いづき先生の書き下ろしがあると聞いて購入。とても面白かったです。企画してくださった偉い人が『もし売り上げが良かったらシリーズ化して続編を出したい』と呟いていたので、好きな作家さんがいる読者は是非購入して欲しい。シリーズ化をお待ちしています。

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2024/04/21

どれも楽しかったー。 私は彩雲国がめちゃくちゃ好きなのだけど、彩雲国のキャラとかストーリー以前に、雪乃先生の装飾過多気味な文章が、好き。

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2024/04/09

どの作品もとても面白かったです。作家さんたちはどの方も一度は目にした…拝読したことのある方々ばかりで。 特に新井素子先生は私が中学生の時に「チグリスとユーフラテス」を拝読し、こんなSFもあるのか!と、新境地を知った作家さんでもあります。 色濃く残された先生方の星の欠片を胸にしまい...

どの作品もとても面白かったです。作家さんたちはどの方も一度は目にした…拝読したことのある方々ばかりで。 特に新井素子先生は私が中学生の時に「チグリスとユーフラテス」を拝読し、こんなSFもあるのか!と、新境地を知った作家さんでもあります。 色濃く残された先生方の星の欠片を胸にしまい、私もSF作品書いてみたいな!と思わされた一冊でした。

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2024/04/08

日本SF作家クラブ、嵯峨景子編『少女小説とSF』読了。母所蔵の新井素子からSFに入ったクチなので感慨深く読んだ。 少女小説ブーム直撃ではないけれどまちがいなくその余波を浴びてきたのだなと。 雪乃紗衣「一つ星」が雪上の極寒世界という極限状況で育まれる交流、関係性の妙味が"...

日本SF作家クラブ、嵯峨景子編『少女小説とSF』読了。母所蔵の新井素子からSFに入ったクチなので感慨深く読んだ。 少女小説ブーム直撃ではないけれどまちがいなくその余波を浴びてきたのだなと。 雪乃紗衣「一つ星」が雪上の極寒世界という極限状況で育まれる交流、関係性の妙味が"仕掛け"も含めて秀逸。

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2024/04/03

どれもめちゃくちゃ読み応えあって面白かったです。 すきな先生ばっかりで本当に嬉しかった。 個人的に印象が強かったのはやっぱり『とりかえばやのかぐや姫』と『或る恋人達の話』。 『とりかえばやの~』はかぐや姫はモチーフとしてもう使い尽くしたと思ってたから、こんな幻想的に読めるなん...

どれもめちゃくちゃ読み応えあって面白かったです。 すきな先生ばっかりで本当に嬉しかった。 個人的に印象が強かったのはやっぱり『とりかえばやのかぐや姫』と『或る恋人達の話』。 『とりかえばやの~』はかぐや姫はモチーフとしてもう使い尽くしたと思ってたから、こんな幻想的に読めるなんて思ってもみなかったです。大人のおとぎ話といった感じ。 『或る恋人達の話』はもうゴリッゴリのSFでした。展開もオチも見事。そして痛烈に風刺が効いている。これぞSFといった体。 世界を大きく変えて前提を作って、その中でも変わらないものを取り上げて見せるのがSFのいいところかなと思っていて。 どの作品もそれが感じられてとても好きでした。

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