カフカふかふか の商品レビュー
言うまでもなく、本作の表題は、主題である作家の名が冠されたダブルミーニングであって、「ふかふか」なるものは実定的な場を占めるところない、どこかとらえどころのない、不定形なものの存在様態を指す語として用いられる。 作者らはそう名付けられた本書を、容易に全容をとらえがい、幾重にも複数...
言うまでもなく、本作の表題は、主題である作家の名が冠されたダブルミーニングであって、「ふかふか」なるものは実定的な場を占めるところない、どこかとらえどころのない、不定形なものの存在様態を指す語として用いられる。 作者らはそう名付けられた本書を、容易に全容をとらえがい、幾重にも複数の解釈を誘発するこの作家の諸作の入り口に、と慎ましやかに述べる。しかし、書き出し、登場人物、結び等その主題系ごとに一文を引きながら、寸評を重ねていくこの断章群としての本書は、そのタイトルのぬるさや親しみやすい語り口とは裏腹に、時に読みの可能性を新たにひらく犀利な批評もあり、クリシェに堕するが、さながらカフカの短編・断章と近しい効果を読み手に与える。
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カフカは変身したザムザのイラストを描かないことを望み、ドイツ語のウンゲツィーファーの日本語訳語はぴたりとくるものがない。嫌われる生き物に変身したことを読者に想像して欲しかったようです。さらに一家の稼ぎ頭がこのような厄介者になり、父母妹が自ら稼ぐようになると厄介払いになると読める。...
カフカは変身したザムザのイラストを描かないことを望み、ドイツ語のウンゲツィーファーの日本語訳語はぴたりとくるものがない。嫌われる生き物に変身したことを読者に想像して欲しかったようです。さらに一家の稼ぎ頭がこのような厄介者になり、父母妹が自ら稼ぐようになると厄介払いになると読める。労働でしか収入がない、収入しか喜ばれることがなかったザムザの家庭内の存在が不憫であるような世間の皮肉のようなストーリーだったとは読み直ししないと、と思いました。
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カフカの本は、「変身」しか読んだことが無い。 まして、カフカ自身のことは全く知らなかった。 ユダヤ人で、ドイツの中で暮らした事、 父親との確執など、 作品の中に、思いや心情がことごとくしみ込んでいるのだろう。 カフカ研究会での、細かい分析、すごいと思った。 この本で、作品を読...
カフカの本は、「変身」しか読んだことが無い。 まして、カフカ自身のことは全く知らなかった。 ユダヤ人で、ドイツの中で暮らした事、 父親との確執など、 作品の中に、思いや心情がことごとくしみ込んでいるのだろう。 カフカ研究会での、細かい分析、すごいと思った。 この本で、作品を読んだ気に、チョッとなってしまう。 でも、やっぱり、難解・・・ 「変身」をもう一度、読んでみたくなった。
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