ハウリングの音が聴こえる の商品レビュー
ロックシンガーで、文章を書いて、酒を飲み続けて、そういう人生も六十代になると、周囲の仲間たちや憧れていた人たちが次々とあの世に旅立ったり、自身も病気をして倒れたりする。ああ自分はもう老人なんだ、というため息のような言葉がこの本の中では繰り返される。過去を振り返る記述も多い。学生時...
ロックシンガーで、文章を書いて、酒を飲み続けて、そういう人生も六十代になると、周囲の仲間たちや憧れていた人たちが次々とあの世に旅立ったり、自身も病気をして倒れたりする。ああ自分はもう老人なんだ、というため息のような言葉がこの本の中では繰り返される。過去を振り返る記述も多い。学生時代に感じた違和感を持ち続け、かつて憧れていたバンドの元メンバーと老年に至り組むことになったバンドも、面倒くさくなってやめてしまう。生涯ビートルズについてのこだわりを貫き続ける。最後の最後まで、自分の感じたことをそのまま表現し行動することを貫いたのだと思う。米田郷之さんの『本書について 松村さんの十一冊目』を読むと、米田さんの熱意がなければ、かつて小説すばるというメジャー誌で連載されていたこのエッセイは、おそろしいことに本になることはなかったであろうことがわかる。出版社は、もっと書き手を大切にしてほしい。
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