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100分間で楽しむ名作小説 宇宙のみなしご の商品レビュー

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8件のお客様レビュー

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2024/09/06

伊岡瞬さんの「本性」を読んだ直後、どうしても“くちなおし”がしたくて(笑)。はぁ〜、穏やかな心が戻ってきた〜。 真夜中に他人の家の屋根に登る。陽子とリン姉弟のこの遊びに加わったクラスメートの七瀬さん、加わろうとしたクラスの嫌われ者、キオスクこと相川くんの4人の中学生のお話。 ...

伊岡瞬さんの「本性」を読んだ直後、どうしても“くちなおし”がしたくて(笑)。はぁ〜、穏やかな心が戻ってきた〜。 真夜中に他人の家の屋根に登る。陽子とリン姉弟のこの遊びに加わったクラスメートの七瀬さん、加わろうとしたクラスの嫌われ者、キオスクこと相川くんの4人の中学生のお話。 仲良しになる一歩手前ってこんな感じだよねとか、手紙で気持ちを伝えるのっていいなとか、このままいい姉弟関係が続きますようになんて思いながら読みました。 角川文庫の100分間で楽しむ名作小説シリーズ。これ、カバーのデザインが素敵で、手触りが良くて、字が大きくて読みやすいです。Kindle派の私ですが、迷わず購入しました。

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2024/08/26

14年ぶりに再読しました。 自意識と切実さが爆発する“中2の頃”を、大袈裟だったり過度に感動的にしたりしないで、やさしく、美しく掬いとってくれる一冊です。 「ときどき、わたしの中で千人の小人がいっせいに足ぶみをはじめる。」 冒頭の文章です。 あの頃のあのむずむずを、やるせなさ...

14年ぶりに再読しました。 自意識と切実さが爆発する“中2の頃”を、大袈裟だったり過度に感動的にしたりしないで、やさしく、美しく掬いとってくれる一冊です。 「ときどき、わたしの中で千人の小人がいっせいに足ぶみをはじめる。」 冒頭の文章です。 あの頃のあのむずむずを、やるせなさを、言葉にできない感情のいろいろを、こんな風に表現してくれます。昔は気付けなかった、森絵都さんの文章表現の巧みさをたくさん感じることができた再読でした。比喩や言葉の選びかたに、どこか詩のような雰囲気がある印象を受けました。 この本に出てくる、さおりさん(主人公・陽子の母親の親友)みたいなおとなになりたい、と初めて読んだときは思っていたのでした。 懐かしい。遠い。眩しい。わたしおとなになりました。

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2024/08/29

引き込まれる独特の雰囲気があった。キオスクみたいなタイプ、私は正直苦手で、おそらくぞんざいに扱ってしまう側。 タイトルの「宇宙のみなしご」というメッセージはやや壮大にすぎる印象を受けたが、中学生が夜空のもと考え得る結論として、素直さ純粋さの点においてあまりにも生々しく共感できる。...

引き込まれる独特の雰囲気があった。キオスクみたいなタイプ、私は正直苦手で、おそらくぞんざいに扱ってしまう側。 タイトルの「宇宙のみなしご」というメッセージはやや壮大にすぎる印象を受けたが、中学生が夜空のもと考え得る結論として、素直さ純粋さの点においてあまりにも生々しく共感できる。 全ての物語の糸が綺麗に編まれていて、昼と夜の空気の切り替えが心地よかった。装丁買いした本だったが、満足!

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2024/08/15

いたずらに限らず。大人であっても、子どもであっても。何かに胸がときめいてそれを抑え込むって…多分できない。 だからといって他人がひとの衝動とかときめきを尊重できるかはまた別の話で。だから陽子は聡明で、温かい女の子だと思った。 三人で初めて夜に出かけた時の抑えきれない昂揚感に、...

いたずらに限らず。大人であっても、子どもであっても。何かに胸がときめいてそれを抑え込むって…多分できない。 だからといって他人がひとの衝動とかときめきを尊重できるかはまた別の話で。だから陽子は聡明で、温かい女の子だと思った。 三人で初めて夜に出かけた時の抑えきれない昂揚感に、私の心臓も少し速くなる。 森さんは、読者を現実から虚構の世界へ連れ去るのがとてもうまい作家さんだと思う。 植物の新芽みたいな鮮やかさ、瑞々しさ、しなやかさが眩しかった。 悩みを自分ひとりでどんどん煮詰めていく、その青ささえ眩しかった。 七瀬さんの手紙、よかったなあ。自分の弱さを晒す勇気、他者を羨む気持ち、が素直な言葉で書かれている。そのまっすぐさが美しいと思った。 久しぶりに「物語」を読んだなあ、と。ストーリーというより、物語。胸腔が温もりで満たされていく読後感だった。

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2024/07/24

装丁が可愛くて購入。 多忙な両親を持つ兄弟が楽しい遊びを考えて暮らしたり、クラスで仲間外れにされてる子やいじめられっ子が加わる成長物語。 読みやすくて希望を感じる。 両親が全く出演なく関わらなくて、子ども主体で動いていく感じ。 もっと森絵都さん読もう。

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2024/06/25

最初の陽子の不登校の場面からは、どんなふうに物語が展開していくのか想像がつかなかった。 大人になって考えてみると無意味に思えるようなことが楽しかったり悩んだり、傷ついたり傷つけたり、迷って決めたり決められなかったり、怒られたり褒められたり、上手くいったりいかなかったり… 多感な...

最初の陽子の不登校の場面からは、どんなふうに物語が展開していくのか想像がつかなかった。 大人になって考えてみると無意味に思えるようなことが楽しかったり悩んだり、傷ついたり傷つけたり、迷って決めたり決められなかったり、怒られたり褒められたり、上手くいったりいかなかったり… 多感な時期の思い出と、物語とがどこかリンクして、走馬燈のようにぶわぁーーっと脳内によみがえって広がるような読中・読後感だった。 この年頃独特の感受性や、残酷さや、そういったものを積み重ねて乗り越えて、みんな大人になるのだなぁ。

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2024/05/20

文章が良い意味でさっぱりしていてとても読みやすかった!読んでいて感じる静かながらもところどころキラキラしているような雰囲気がお気に入り。 この作者さんの他の作品も読んでみたいと思った。

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2024/04/23

読み終えるまで113分だった。でもいいんだ。本屋の平棚から見つけて手に取って、思い切って買って、その日のうちに読み始めて、読み終える事ができたんだから。これは新しい体験だった。 「100分で楽しむ名作小説」シリーズというのが始まったらしい。なかなか気分の上がる装画と装丁、紙質。...

読み終えるまで113分だった。でもいいんだ。本屋の平棚から見つけて手に取って、思い切って買って、その日のうちに読み始めて、読み終える事ができたんだから。これは新しい体験だった。 「100分で楽しむ名作小説」シリーズというのが始まったらしい。なかなか気分の上がる装画と装丁、紙質。200頁と少し、いつもより大きめな文字。600円というギリギリの値段設定(ホントはワンコインにして欲しかった)。私のペースだとこのぐらいだけど、カリスマレビュアーなら10分で読めるぐらいの量だ。 まるで凡人版「成瀬は天下を取りにいく」! 陽子とリンの姉弟は、仕事で忙しい両親不在の「暇(寂しさ)」を潰すために、いつも自己流の「遊び」を生み出してきた。〈立派なトイレコンテスト〉近所の家を片っ端からノックして「トイレを貸して下さい」と頼み込んで1番立派な所を決める遊び。或いは、秘密基地を作ろうと思い幽霊屋敷に忍び込んだら人が住んていた件。或いは、なんの意味もなく「大変だ、大変だ」と叫びながら、家の周りを何周も走り続けた件(あとで大変だった)。そんなある日、姉弟は、真夜中に人知れず、近所の屋根に登る「遊び」を始める…。 ……あっけなくのぼりきったわけだ。  屋根のぼりなんて結局、こんなものである。見つかったらただの犯罪者で、それなりの覚悟がいるかわりに、やっていること自体は徹底的にくだらない。  そのかわり、わたしたちはその夜を手に入れる。(77p) 姉弟だけの遊びだったはずが‥‥‥‥。 中学2年生と1年生の星の孤独な輝きを、陽子もリンも七瀬もキオスクも体験する。いいじゃないか。 1番しんどいときは、だれでも宇宙にひとりだ。 だからこそ、友だちが必要なんだ。

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