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謀略 復刻新装版 の商品レビュー

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2024/06/19

 著者大橋武夫は陸軍参謀第二部所属ではなかったものの、優れたインテリジェンス能力を持っていた。戦後そのノウハウを企業経営に活かした。本書『謀略』では著者が明石元二郎、リヒャルト・ゾルゲ、戦国武将それぞれの工作を具体的に見ていくが、その中でも特に現代人が読むべき箇所は(七)謀略を考...

 著者大橋武夫は陸軍参謀第二部所属ではなかったものの、優れたインテリジェンス能力を持っていた。戦後そのノウハウを企業経営に活かした。本書『謀略』では著者が明石元二郎、リヒャルト・ゾルゲ、戦国武将それぞれの工作を具体的に見ていくが、その中でも特に現代人が読むべき箇所は(七)謀略を考える、であろう。こちらの箇所は作家佐藤優が具体的な解説をしているが、地政学リスクが叫ばれる昨今だからこそ、諸外国とどのような関係で付き合うべきかを考えさせられる。  まず「謀略」と似た用語に「諜報」があるが、これら用語は明確に異なる。諜報とは、単に相手の状況を知るだけであるが、それに対して謀略とは、自身の実力をなるべく使わず相手を自分の思うようにすることだ。また謀略の工作には、文書によるものとスパイによるものがある。前者は今日でいうオシントに該当する。しかし謀略を実行する場合、最も重要なことがある。それは相手に誠意をもって接することだ。これは解説で言及されているが、これは陸軍中野学校においても同様の教育方針である。たとえ協力者が欲しい情報を収集できなかったあるいはその情報がガセネタであったとしても、その人をぞんざいに扱ってはいけない。

Posted byブクログ