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堤康次郎 の商品レビュー

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10件のお客様レビュー

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2026/04/05

 著者は立教大学名誉教授。西武コンツェルン創設者の生涯を「土地」を軸として描く。日本三大ターミナル駅の一つ、池袋に立地する大学の教授としては、地域の興隆に大いに貢献した堤康次郎にはひとかたならぬ思い入れがあろう。  一般に、鉄道沿線の開発ビジネスは阪急鉄道の創始者・小林一三がそ...

 著者は立教大学名誉教授。西武コンツェルン創設者の生涯を「土地」を軸として描く。日本三大ターミナル駅の一つ、池袋に立地する大学の教授としては、地域の興隆に大いに貢献した堤康次郎にはひとかたならぬ思い入れがあろう。  一般に、鉄道沿線の開発ビジネスは阪急鉄道の創始者・小林一三がその嚆矢であるとされる。すなわち都市中心部のターミナル駅を起点として、百貨店や遊園地などのレジャー施設を鉄道で連結し、その間の沿線に住宅地を開発していくというものだ。しかし著者によれば、堤康次郎の取った戦略はそれとは対照的であり、先に観光地開発や宅地開発を行い、それから鉄道を敷設していく、若しくは既存の鉄道会社や道路会社を買収していくというものであったという。確かに、本書で語られる西武コンチェルンの歴史は軽井沢や箱根、国立などの行楽地や都市郊外における開発が先行し、西武池袋線とその後背地の発展がそれに続く形になっており、沿線開発の典型とは順序が真逆になっている。  この土地で成長にドライブをかけるスタイルは、康次郎の死後も後継者の義明と清二に受け継がれるのだが、面白いのは康次郎の思想を正当に継承したのは通説とは逆に義明ではなく清二であると著者が記述をしているところだ。康次郎が残した〈家産〉すなわち名義株の形で大量に保有していたグループ各社の株式を受け継いだのは確かに義明だったが、真の〈遺産〉すなわち「広く大衆に住宅地やリゾート地を安価で提供する」という経営理念を受け継いだのは清二だというのだ。確かに、セゾングループや今日の良品計画など清二のレガシーには大衆文化の尊重に重きを置くスタンスが見て取れるように思える。しかしその清二も父康次郎同様、土地の魔力から逃れられずに本懐を遂げずに終わったのは、誠に皮肉めいた話ではある。

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2025/01/14

堤康次郎の生い立ちから、事業の立ち上げ、その拡大と現在の西武グループの構成までがよくまとまっている。 利益に向かって貪欲に突き進んでいたのは間違いないが、堤康次郎にも彼なりのこの国や市民生活をどのようにしていくかという理想があり、それに突き進んでいたように感じた。 それは形を変え...

堤康次郎の生い立ちから、事業の立ち上げ、その拡大と現在の西武グループの構成までがよくまとまっている。 利益に向かって貪欲に突き進んでいたのは間違いないが、堤康次郎にも彼なりのこの国や市民生活をどのようにしていくかという理想があり、それに突き進んでいたように感じた。 それは形を変えながらもセゾン文化、プリンスホテルというブランドにも引き継がれていたともいえないだろうか。 それにしても、この世代の政治、経済での大物といわれている人物のエネルギーはどこから来ているのか。その力は単純に肯定出来るものではないし、それが今の時代にもマッチするとは思えないが、今の日本に足りないものなのかもしれない。

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2024/09/10

飾りのない文章ゆえ読みやすさは人によって分かれるところだろう。 ただ堤康次郎という人を知るには十分な内容。 大正時代から昭和期へ、また戦争前後にかけての時台(人口動態、ライフスタイル)の変わり目を捉えて、感謝と奉仕の精神から事業を発展させる目は、時代を築いた事業家ならではだと感じ...

飾りのない文章ゆえ読みやすさは人によって分かれるところだろう。 ただ堤康次郎という人を知るには十分な内容。 大正時代から昭和期へ、また戦争前後にかけての時台(人口動態、ライフスタイル)の変わり目を捉えて、感謝と奉仕の精神から事業を発展させる目は、時代を築いた事業家ならではだと感じられた。 首都圏、西武沿線に住む人には、駅や施設の開発経緯がわかるためとても興味深い内容となっている。

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2024/08/30

早稲田大学在学中に起業、卒業するや別荘地や住宅地を精力的に開発した堤康次郎。軽井沢や箱根では別荘地や自動車道を、東京では目白文化村や大泉、国立など学園都市を開発。西武コンツェルンを一代で築くが、事業の本分はまぎれもなく「土地」にあった。

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2024/08/12

西武グループ創始者の評伝。西武沿線居住者として楽しく読むことができた。 滋賀県出身、箱根、軽井沢などリゾート地と大泉、小平、国立など学園都市の開発。その他東京の都市の歴史にこの方の存在は大きかった。 その後の堤家の凋落こそあるが、やはり立志伝中の人物であったと思う。

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2024/06/15

堤康次郎の人となりの印象はどうしても「父の肖像」を始めとした、辻井喬の著作群での描かれ方に大きな影響を受ける。 家族としての視点に加え、後継した経営者としての分析(しかもどちらも卓越した経営能力を持ち)、その上辻井の文才まで含めると著作群以上の評伝は生まれるべくもないとは思うの...

堤康次郎の人となりの印象はどうしても「父の肖像」を始めとした、辻井喬の著作群での描かれ方に大きな影響を受ける。 家族としての視点に加え、後継した経営者としての分析(しかもどちらも卓越した経営能力を持ち)、その上辻井の文才まで含めると著作群以上の評伝は生まれるべくもないとは思うのだが、そこで本書である。 本書は著者が「はじめに」で断っている通り、(経営に関わる閨閥形成を除いた)家族関係には言及していない。終章で後継者に触れているが、家産と事業の分離とそれぞれの後継という視点は本書の締めくくりに必須だと思う。 論点を本来の実業家としての堤康次郎に絞り込む事により論点となるのは、結局は「土地の堤」、そしてそこから派生して交通網を確立させた鉄道会社社長としての経営の過程となる。土地活用のアイデアと、そのアイデアを実行する為の資金調達、そして運用を経ての拡大再生産、これを終生やりきった堤は現代日本の都市形成の立役者の1人である事は間違いない。 又、本書では土地や鉄道に隠れがちだが、化学や建築等、堅実にグループを支えた事業についても触れており、論点を絞った事による深掘りの結果、実り多い一冊となった。 因みに、衆議院議長にまでなった堤の政治活動にスポットを当てた本を寡聞にて知らないのだが、要は事業や家族関係に比べてつまらない(大した事はやってない)という事なのかな? 三洋堂書店橿原神宮店にて購入。

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2024/04/20

今の鉄道網を築いた背景が把握できた。 本音と建前、どこまでが公共性だったんだろう。 次は、息子たちのことも勉強したい。 東京の鉄道史がまとまっている本を読みたい。

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2024/04/09

配架場所・貸出状況はこちらからご確認ください。 https://www.cku.ac.jp/CARIN/CARINOPACLINK.HTM?AL=01427640

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2024/03/28

西部グループを一代で築いた堤康次郎の、実業家としての側面に焦点を充てた伝記。 堤氏は、滋賀県出身かつ滋賀県の発展にも貢献した人なので、『成瀬は天下を取りに行く』などの成瀬本の舞台の基盤を作った人だとも言えると思う。その意味で成瀬本ファンは本書の一読をオススメする(かなりマニアッ...

西部グループを一代で築いた堤康次郎の、実業家としての側面に焦点を充てた伝記。 堤氏は、滋賀県出身かつ滋賀県の発展にも貢献した人なので、『成瀬は天下を取りに行く』などの成瀬本の舞台の基盤を作った人だとも言えると思う。その意味で成瀬本ファンは本書の一読をオススメする(かなりマニアックな読み方)。

Posted byブクログ

2024/03/22

軽井沢・箱根の観光開発、大泉や国立などの学園都市開発を進めた西武グループ創始者・堤康次郎。その経営手法を厖大な資料から辿る。

Posted byブクログ