通り過ぎゆく者 の商品レビュー
さすがに達観し過ぎている。 悲しみを癒したり血で洗い流したりせずに、そのまま抱え続けたのはとても良い。 ノー・カントリー・フォー・オールド・メンやブラッド・メリディアン的な物語の盛り上げ方を期待して読むとコーマック・マッカーシーにひょいと避けられる感じ。 誰の手も届かない世界と接...
さすがに達観し過ぎている。 悲しみを癒したり血で洗い流したりせずに、そのまま抱え続けたのはとても良い。 ノー・カントリー・フォー・オールド・メンやブラッド・メリディアン的な物語の盛り上げ方を期待して読むとコーマック・マッカーシーにひょいと避けられる感じ。 誰の手も届かない世界と接続してしまう少女は平原の町を思い出す。 読み終わってからEaglesのDesperadoを聴いた。
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難解を通り過ぎていた。 サルベージダイバーの主人公は、海中に墜落した旅客機の初動調査に従事し、海中の機内で死体を9体発見するが、ブラックボックスが持ち出された痕跡と、10人目の旅客がいたとしか考えられない状況を確認する。その後、身辺を監視されるようになり、旅客機調査に同行した...
難解を通り過ぎていた。 サルベージダイバーの主人公は、海中に墜落した旅客機の初動調査に従事し、海中の機内で死体を9体発見するが、ブラックボックスが持ち出された痕跡と、10人目の旅客がいたとしか考えられない状況を確認する。その後、身辺を監視されるようになり、旅客機調査に同行した同僚が海外の現場で事故死するに至っては、この作品は旅客機墜落を巡る陰謀ごとが骨子になり進行するものと考えるよね、ふつうは。 身辺監視から逃れるように、転々とゆかりのある街を訪れては旧友と会い、過去に自殺した妹への偏執的な愛情、原爆開発に携わっていた物理学者であった父との確執が感じられるエピソードが語られる。妹の主観で、彼女自身の妄想のエピソードが本編に挟まれるが、そのすべてが旅客機墜落の陰謀ごととは関係がなく、しかも難解だ。主人公の彼は、今どこにいて何について語っているんだ?と、僕はストーリーを追うことを放棄した。そのままストーリーが感じられないまま物語は終わってしまう。 主人公の語りを借りて、作者コーマック・マッカーシーが哲学しているんだろうが、難解すぎて僕には理解できない。本作は2部作として、作中のエピソードで出てきた妹の視点で『ステラ・マリス』という作品があるが、差し挟まれたエピソードと同様の物語が展開すると思うと、とても手に取る気持ちになれない。
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https://www.nikkei.com/paper/article/?ng=DGKKZO80137090Z10C24A4MY5000
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「ステラ・マリス」を読むまで全貌は掴めないが、ただただ世界は孤独で悲しく深淵だ。 そういう世界を最期まで描き続けた、追悼コーマック・マッカーシー。
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